アリア局長と秘書ラパン
「あなたは確か.,.聖炎騎士団の...」
「アリア、ちょうど良かった。アリアからも何とか言ってくれよ。魔物に対抗するには、皆の協力が必要だとさ!」
「...ほぅ?市長のお嬢さんであるあなたが流浪の騎士団風情と親しいとは...」
アリアが市長の娘だったとは...しかし、俺たちを流浪のなんて...
「私は彼らとは親しくなんか無いは」
「では何故、彼らを市庁舎に通した?」
「王様からの書状があったからよ!」
「入市特例第16条を駆使すれば、無効に出来たでしょう?」
「あ...」
「それくらいの機転が利かなくてどうする?だから君はダメなのさ」
「すみ...ません。」
「頼りない事やってると入市管理局長の地位も剥奪するぞ」
「...」
この街ではやたらと条例が出てくるが、そのどれもが王都の協力を拒むものばかりかもしれない。全滅時にしか協力しないのだから...
そして俺は秘書に散々言われたアリアを気にした。
「おい...誰なんだ?」
「...市長秘書のラパンよ。お父様...いえ、市長のお気に入りよ。さっ、用事は済んだでしょう?早く帰って頂戴。」
「あ、あぁ。」
市庁舎を出て、俺はアリアに質問した。
「市長はあんたと秘書、どっちを信じてるんだ?」
「ラパンね。私は局長だから、ラパン程の権限は無いわ。」
「娘より秘書か...本当に規則に厳しいな。」
「それより...ごめんなさい。」
「えっ?」
「あなたたちの事を流浪の騎士団風情なんて言って。」
「言ったのは秘書だろ?」
「けれども、私もついこの間まではそう思ってた。あなた方の噂を聞くまではね。」
「そうか...この前の話だけど...」
「それは変わらないわ。フェルメアは王都に協力しません。」
「あぁ、そこはそのままか...あっ、じゃあもう一つ!」
「何よ!言っとくけど、ツルギはあなたたちに渡さないわよ。」
「違うよ。これは魔物とは別件さ。あんた、奇妙な病気の話は知ってるか?」
「奇妙な病気?」
「これは俺達が水上街ウォルターにいた頃に聞いた話だ。高熱から始まり、体中に黒い斑点が出る病だ。俺の昔の仲間がそれにかかった。」
「まだこの街では知らないわね。王都での発症者は?」
「まだだ。けどこれはきっと大きな感染症となる。だから、フェルメアも気をつけて欲しい。」
「...分かったわ。一応その病気の事も市長に相談を...」
「いや。これは君にお願いしたいんだ。市長に進言しても、あの秘書に止められるだろうからさ。」
「分かったわ。」
フェルメアから王都へ戻り、俺はこれからの事を考えた。まずは魔物の事だ。これからはより広範囲に魔物討伐へと向かわなければならない。従って、団員達の体調管理には十分気をつけなければならない。ヤエやエイドの他にも戦闘の要が不調だった場合には、それなりの編成を考えなくては...
次に謎の病気の事だ。この世界にはその原因を突き止めるのにかなり時間がかかりそうだ。もし見つかったとしても、それを治療する術を模索すると、10年以上もかかるかもしれない。これは大災厄が起こる前に何とかしたい問題だ。
最後は王都とフェルメアの意識改革だ。平和慣れした王都と規則に縛られたフェルメア、この2つの意識が同じ方向へ向けば、俺達だけで災厄を回避するという重圧を減らす事が出来る筈だ。
「レイラの助力があっても、まだまだ険しいなぁ...」
俺は気分を変える為に外へ出た。街の人々は数日前の魔物襲来を忘れたかのように、平穏な生活をしている。俺は王都の中央広場へ来る度に、<破滅の死者>ゴルゾフの存在を思い出す。恐らく奴が来るのは10年後の予言かもしれない。俺はいつか奴等と戦う時が来る事を、改めて決意した。




