王都にある、街外れの森で...
フェルメアから戻り、俺は街外れの森へと向かった。目的は勿論、女神レイラに会う為だ。
「やぁ、待ったかい?」
「随分馴れ馴れしくなりましたね。」
「そうだな。以前の俺ならあんたに対して構えた姿勢を持っていたけど、今はとてもリラックスしてるよ。」
「そうですか...天野秀哉。いえ、スカイ=ウルメイア=フィールド。」
彼女が突然、この世界での名前に呼び直した事に少し驚いた。
「この度の活躍は見事なものでした。これからもこの調子でお願いします。」
「...」
俺は暫く沈黙してしまった。俺はてっきり、レイラの進言を無視した事をとやかく言われるかと思ったからだ。
「どうしたのです?」
「え?いや...あんたが俺を褒めるなんて、今まで無かったから...」
「私にだって、褒める事くらいあります!それに...」
レイラの表情が曇った。
「私にだって...色々考えてたのです。」
「”騎士団の中で誰が足手纏いなのか”とか?」
「予言書の内容をどのように解釈するのか?正義と正しさはどう違うのか?人間の強さはどこから来るものなのか...」
「女神も哲学的な事を考えてたりするのか...」
「とにかく!私決めました。」
レイラがキリッとした表情で言った。
「これからはあなたのやり方に委ねる事にします。その為の助力を惜しむ事は致しません。」
「そっそうなんだ...それはありがとう。けど、どうして急に...」
「私達、この世界を守るんですよね。共に目的を果たしましょう。」
「あぁ。そうだな。俺達、進む道は同じだしな!」
俺はとても嬉しかった。今まで上から指示を出すだけだったレイラが、俺達と同じ立場になってくれたからだ。彼女の協力があれば、これから先の未来もきっと守り通せると思った。
「これからもよろしく。レイラ!」
俺が手を差し出すと、彼女は少し躊躇いながらもそっと手を差し出してくれた。彼女の手は俺よりも小さく、とても暖かい事を知った。
{騎士団の活躍で、王都の危機は回避された。その戦いの中で、ニンジャは自分を縛っていた故郷と両親の呪縛から解放される。辛くももぎ取った勝利も、これから未来の事を思えば、一時的な物に過ぎなかった。この先、騎士団だけの力で災厄と立ち向かうのは力不足である。青年は王都で仲間を募った。しかし、長い間平和に慣れた国王を始め、人々の協力を得る事に苦戦する。その現実は騎士団を、とりわけ夢多き戦士をやきもきさせた。それでも青年は諦めなかった。僅かな賛同者と共に、騎士団は未来へと進み続ける。}
1037年25日
「スカイ、次の予言まであとどれくらい猶予があるんだ?」
「次の予言は1043年、あと7年もあるな...」
「そんだけ先だなんて...その間に衰えちまう団員は何人いるんすか?」
エイドの身体付きが逞しくなって、父ガルドと同じくらいに見えた。
「今のままだと...ヤエとエイドを除けば7人は確実だな。」
「って事は、このまま入団者が来なかったら、俺達たった7人になるんすか!?」
「最悪の場合はな...やはりフェルメアの協力を得ないと厳しいな。」
「団長。俺もう一度ツルギを誘ってみます。フェルメアへ行く度に俺...何回も何回も...何年だって誘いますよ。」
「わっ分かった。じゃあツルギはエイドに任せるよ。俺もツルギには来て欲しいし。フェルメアが協力してくれたら、ツルギが来てくれるかもしれないしな。」
「しかし、あの街が協力してくれるとは思えないな。」
「ダメ元で頼んでみるさ。こういうのはとにかく足を運び続けなきゃ。」
再びフェルメアへやって来た。今度は市長がいるとの事で、前回よりはいいかもしれないと思った。
「私がフェルメアの市長のオーロだ。この前は用事があって街を離れていたんでな。話はアリアから聞いておる。王都に協力してもらいたいとか?」
「はい。実は予言の魔物が、この街に現れる可能性が高いのです。その為の準備を、街全体で進めて欲しい事が一つです。」
「...」
「もう一つは、1049年に王都でまた災厄が訪れます。その際には是非とも、この街の協力が必要不可欠なのです。要件は以上です。」
「...うむ、そうだな...」
「市長!ご意見致します。」
部屋に突然一人の男性が入って来た。アリアとは違って、恐らく彼は秘書だと思う。
「一つ目の要件は、我が街の親衛隊ならば、魔物を迎撃することは容易と思われます。二つ目の要件は...近隣市街緊急時条例第8条によると、その街が全滅した時においてのみ、フェルメアの軍隊を派遣するとあります。...ご決定を。」
「うむ。すまんが、そなたの要求には答えられん。王都が全滅した時にのみ、フェルメアは協力致そう。」
「全滅した時にって...じゃああんた達は、それまでただ傍観してるだけなのか!?事は王都やフェルメアのそれぞれ済む話じゃないのに...」
「お引き取りを。」
俺は市長には何も伝わらないと諦めて部屋を出ようとした時、アリアが部屋に入って来てくれた。




