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山岳の街 フェルメア

王都の墓地にヤエはいた。両親の墓標は無く、巨大な墓標の前にヤエはいた。

「これが集団墓標か...」

「スカイ、エイドまで。」

「俺らも墓参りに来たんだ。」

「誰の?」

俺は懐からビンを取り出し、墓標の前に置いた。

「そのビンの中は...灰?」

「ただの灰じゃない、遺灰だ。」

「誰の?」

「ユナのだ。」

エイドとヤエは少し驚いた。

「ユナが炎に包まれた後、可能な限り集めたんだ。ほんのこれっぽっちしか無いけど...」

「...。」

「今日、オルボとミリィの事を教えてくれた入団希望者が来て思ったんだ。そろそろ騎士団に在籍していた団員達が亡くなってもおかしくない。これから先、この墓地に仲間の名前が付いた墓標が立つかもしれないと思うと...つい...。」

「団長!縁起でも無い事言わないで下さいよ。」

「ごめん...悲しんでいる暇なんてないよな。エイド、ヤエ、これからフェルメアへ行こうと思う。」

「ツルギを勧誘するんすね!」

「違う!フェルメアの親衛隊にも協力を頼むんだよ。」


王都からフェルメアは以外と距離があった。馬車が無ければ、約10日もかかるくらいだった。そしてフェルメアはバルトウェイと同じ山岳の街であり、少し懐かしさを感じた。

「聖炎騎士団団長スカイ=ウルメイア=フィールドです。アリア局長に会いたいのですが?」

「入市許可証を出して下さい。」

「それは無いけど、この街にも関わる相談をしに来たんだ。」

「入市許可証が無ければ、認められません。」

門番はロボットのように融通がきかなかった。するとルートスが後ろからやって来た。

「はぁ、はぁ、やっと追いついた...」

「ルートス!?どうしてここに?」

「王都の見張りから、スカイ団長達がフェルメアへ行くのを見たと報告があり、若しやと思って追いかけたのです。」

ルートスは懐から1枚の書状を出した。

「国王からの入市許可証です。これで聖炎騎士団を通して下さい。」

門番が内容を確認すると、入市を認めてくれた。

「ありがとうルー。まさかこんな手続きが必要とは思わなかったよ。」

「いえ、私もスカイ団長にお伝えするのを忘れていました。あと、ルーと言うのは止めてもらえますか?それは子供の頃の呼び名だったので...」

「そうか、ごめんよ。すぐに戻ってくるよ。」


フェルメアはとにかく規則に厳しい街だった。王都に比べてこの街は平和ボケしていなくて良いが、街に入るのに許可証を要するのはどうかと思った。そして俺達はやっとアリア局長に会う事が出来た。

「改めまして、私がフェルメア入市管理長のアリアです。」

「聖炎騎士団団長スカイ=ウルメイア=フィールドです。」

「本日はどのようなご用件で?」

「はい、実は...」

俺は彼女に滅びの予言の事を話した。そして再び王都に魔物が襲って来た時に対する協力を申し出た。ところが...

「お引き取り下さい。」

「どうしてですか?」

「親衛隊はこのフェルメアを守る為の戦力であり、王都を守る為の戦力ではありません。」

「しかし、俺達や王都騎士団だけでは予言に立ち向かえるか分かりません。これはこの世界の問題なのですよ。」

「規則は規則です。そんなに戦力が不足しておられるのなら、それを解消する案を考えれば良いのではないでしょうか?」

彼女の言う事も一理あるが、それが出来たらこの街へは来なかった。

「ご用件は以上ですね。では、街の入り口まではツルギがお送り致します。ツルギ、後は任せます。」

「承知。」

「...では、お願いします。」


俺達は帰る途中、フェルメアの人々にも協力を頼んだ。しかし...

「私は市民です。戦いは親衛隊の役目でしょう?」

「親衛隊の邪魔なんかしたら、それこそ罰則を受けてしまうよ。」

「私達市民は、自分達の力量以上の事はしません。」

王都の人々は動いてくれたのに、この街の人々は頑なだった。

「何だよ!事はこの街や王都だけの問題じゃないってのに!」

「自分達の役目が明確なだけでも、王都より良いかもな。」

「ヤエまで!役目、役目って、そんなの他人が押し付けたもんだろ!自分に何が出来るかは、やってみなきゃ分かんねぇだろ!?」

「落ち着けエイド!勇敢と無謀は同意義じゃないって、ライに言われなかったのか?」

「けどよぉ...」

そうこうしてる内に、フェルメアの入口まで着いてしまった。

「拙者の案内はここまでだ。騎士団殿、道中お気をつけて。」

「なぁツルギ、あれから少しは考えてくれたか?俺はあんたと組みたいんだ。」

「拙者はアリア殿の御身を守る使命がある。すまぬが、お主らと共には行けぬ。」

ツルギは正に侍だった。ヤエがニンジャと知った時も興奮したが、ツルギの一言一句にも興奮した。

「お前も役目があるからかよ!この前王都で戦ったじゃねぇか?」

「あれはアリア殿を守る為だ。その使命の為ならば、魔物だろうが何であろうとも斬り捨てる!」

ツルギは刀から少し刃を見せて言った。妙な発言をすれば首を飛ばされると思った。

「わ、分かった。うちの団員が迷惑をかけたな。これからもこの街へは何度か来るよ。」

ツルギは一礼して街へと去って行った。

「ツルギー!俺は絶対、お前を諦めないからなー!!」

エイドの叫びがツルギに届いたかは、誰にも分からなかった...

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