表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/175

王都襲撃 -後編-

 魔物の勢いは俺達だけでは抑えきれなかった。このままでは、団員達が動けなくなってしまう。

「エイド!ヤエ!ここからは別行動だ。俺達だけじゃ魔物は倒せない。少しでもいいから、住民達の協力を頼もう。」

「けど団長、王都の人間がそんな事...。」

「頼むんだ!全員に!王都を救えるのは俺達だけじゃない!1人1人がこの街を守れる英雄なんだ!」

「...。」

ヤエは1人どこかへ行こうとしたが、俺はヤエを呼び止めた。

「待つんだ、ヤエ!」

「何だ?」

「聖炎騎士団団長として命令する。...皆を守って、お前も死ぬな!」

「分かった。」

「エイドも頼んだぞ!」

「やるだけやってみるよ。」

エイドとヤエは俺から離れて行った。するとレダが俺の傍に寄って来た。

「ねぇ、秀哉。私も協力したげよっか?あたしのおねだり、効果抜群だよ。」

「借りを作りたいだけだろ?」

「あら、バレちゃった?まあ、期待しててね。」

レダはエイド達の後を負う様に去って行った。


ヤエは魔物から逃げる人々に声を掛け、協力してくれる者を探した。

 「逃げていては何も変わらない。手を貸してくれ!」

「そんな事言ったって、俺なんかが加わったって...。」

「いいや、変わる!1人が2人に、2人が3人になる。お前の事は私が守ってやる。だから頼む!」

親を捨てたと言われていたヤエの説得に、住民の心が確かに動いた。

「ヤエ...わ、分かったよ。」

住民は武器を取ってくると言って、逃げて来た方とは逆方向へと走り出した。そしてヤエは再び、一人でも多くの協力者を求めて走り出した。


時は同じく、エイドは酒場で協力者を探そうとしたが、人々は外の事など気にもかけずに酒を飲んでいた。

「何呑気に酒飲んでんだよ!?魔物が出たんだぞ!」

「知ってるよ。けど俺なんかが戦ったってどうもしないだろ?どうせ死ぬなら、好きな事して死にたいね。」

「死にたいなんて軽々しく言うもんじゃねぇ!世の中にはなぁ、まだ十分に生きちゃいない子供が死ぬ事だってあるんだぞ!」

「んなもん知るか!生きるも死ぬも、所詮運任せじゃねえか!」

「この野郎!!」

エイドが男に殴りかかろうとすると、レダがエイドを抑えた。

「はい、選手交代っと!」

「レダさん!」

「ねぇ、お兄さん?あたしの為に戦ってくれたら...後で良い事してア・ゲ・ル!」

「...坊主!武器を貸せ!!」

男は武器を手に酒場を出て行った。

「一丁上がり!どう、エイド?男って馬鹿だよね~!」

「...レダさん、良い事って?」

レダはエイドの腹を殴った。

「本当に馬鹿だよ!!」


 俺は王都の外れで、親衛隊らしき騎士を見つけた。

「おい!あんた親衛隊の騎士か?あの区画に隠れている子供達の保護を頼む。」

「ど...どうだろう?王様に伺ってみないと...。」

「そんな事してる暇無いだろ!いいから頼むよ。」

「し...しかし...。」

「さっさとやらんか!!」

後ろで怒鳴り声が聞こえた。するとフィリンが立っていた。

「フィ、フィリン様!」

「責任ならいくらでも取ってやる。いいから早くしろ!」

「は、はい!!」

騎士は慌てて子供達の保護へ向かった。

「ゴメンよ。僕以外の騎士は腑抜けてて...。」

「構わないさ。暫く一緒に来るかい?フィリンがいれば、騎士も言う事聞くだろう。」

「まぁね。王都の騎士は皆僕の教え子さ。」


 -2時間後-


ヤエとエイドが俺達と合流してきた。

「スカイ団長!こっちの方に魔物はいないよ!」

「私の方もだ。...街の皆のお蔭だ。」

「そうか、あとは...。」

「きゃあああああ!!」

何処からか女性の叫び声が聞こえた。

「スカイ団長!あっちの方だ。」

「エイド、ヤエ、フィリン。急ぐぞ!」


 俺達が駆けつけてみると、刀を構えた男がたった1人で魔物と向かい合っている所だった。猛々しく吼える魔物を前に、男は眉ひとつ動かさず、冷静に隙を伺っていた。

「あれ?...あいつは、確か...。」

ズバッ!!それは一瞬の出来事だった。男の居合切りが、魔物を一撃で仕留めたのだった。斬られた魔物は暫く周りをきょろきょろしたが、やがて大きな音を立てて倒れた。

「アリア殿、御怪我はござらぬか?」

「すげぇ!なぁ、あんた!あんたってサムライだろ。どこで覚えたんだ?」

エイドがツルギの剣技に興味津々だったが、ツルギは無反応だった。

「俺は聖炎騎士団のエイド!あんた、うちに入団してくれよ!」

「何言ってるのかしら?」

するとアリアが俺達の前に現れた。

「遅いじゃないの!親衛隊!ツルギがいなかったら今頃私、魔物に食べられてたわよ!」

「え?いや、俺は親衛隊じゃ...。」

「アリア殿、早くこちらへ。」

「王都の管理の甘さは問題ね。規則はどうなってるのかしら?全く...。」

「あんたツルギって言うのかい?俺さ、あんたみたいなやつと組んで...。」

「魔物がもう1匹。街の森へ逃げ込んでおるぞ。」

「!?何だって?」

「急ぐのがよろしいかと。拙者はこれにて、御免!」

「え?あ、おい!」

「エイド!最後の魔物を倒しに行くぞ!」


 森に逃げ込んだ魔物を倒し終え、王都の中央広場へ戻ると、魔物を気配は無かった。

「やった!スカイ団長、俺達勝ったんだ!」

「あぁ、俺達だけじゃない、街の人々の協力があっての勝利だ。」

「良かった。」

俺は予言書を確認すると、内容が変わっている事を確認した。すると、レダが俺達の方へ走って来た。

「秀哉!おめでとう!さぁ!あたしの祝福のキスを受けて!!」

「えっ!?いや、それは...。」

「レダさん!俺にも!!」

するとヤエが俺とレダの間に入って来た。

「スカイ、王様が呼んでいる。」

「あ、あぁ。そうか!レダ、またな!」

俺はエイドを引っ張りながら、城へと向かった。

「...やるわね、あんた。」

「...。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ