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選択の代償、再び

 「リーフが病気!?それは本当なのか?」

「フォレスの村から来た商人から聞いた話なんだけど、何でも高熱から始まって、体中に黒い斑点が出来て、最後は体が動かなくなっちゃうんだって。」

「そんな...あいつが...まさか...。」

「リーフって、昔ゴードンって人に鍛えられた人ですよね?」

「あぁ...そして、ライの師匠でもある。」

「...。」

「まあなんにせよ、体調管理には十分気を付けてね。バイバイ秀哉。」

そう言い残すと、レダは本部から出て行ってしまった。

「ライ、エイド、ちょっと出てくる。後は頼む。」

「えぇ!?ちょっ団長!」

「止めとけ。今はそっとしとけ。」

「けどよぉ。」

「僕よりもあいつの方が余程なんだ。もしかしたらフィリンも...。」

「リーフさんと同じ病気に?」

「分からないが、可能性はあるかもな。」

衝撃的だった。いや、ずっと気付かない振りをしていたのかもしれない。人は生まれ、やがて死ぬ。それは絶対の運命。寿命を全うするか、する前に亡くなるかの問題だ。俺はこんな当たり前の事も忘れてしまったのかもしれない。

失意の俺にテトが追い打ちの様にやって来た。

「おいシュウ!レイラ様がお呼びだ。さっさと来い!」

そうだった。俺はもう1つ、忘れていた事があったんだ...。


 「遅かったですね、天野秀哉。」

「あんたが言いたい事は分かってる。これから準備を整えて、湿地帯を通るルートで...。」

「いいえ、今すぐエヴァレス山脈を超えなさい。」

「待ってくれよ!今の時期は雪と氷で山は危険な状態だ。湿地帯の方なら、時間はかかるが比較的安全だ。」

「あなたがいけないのですよ。私は今すぐ王都へ向かえと言ったのに、あなたはそれを無視しました。まるでバルトウェイの時の様に...。」

俺は反論出来なかった。確かにあの時も俺はレイラの言う事を聞かなかった。そのせいでバルトウェイとゴードンが...。

「最早猶予はありません。今すぐエヴァレス山脈を超えて王都へ行きなさい。でなければ、世界は大きく傾いてしまいます。」

「...分かった。けどせめて...リーフに一目会わせてくれ、病床の身なんだ。」

「お前、自分が何言ってんのか分かってんのか?」

テトがいきなり会話に入り込んだ。

「お前はこの世界を守るって使命があるんだぞ!いちいち1人1人の人間に構ってる暇なんてお前には無いんだぞ!こうしている間にも魔物はこの世界を滅ぼそうと力を付けてきてるんだぞ!」

「天野秀哉。これはあなたが選んだ選択の結果です。甘んじて受け入れなさい。」

俺は悔しかった。ただユナを助けたかっただけなのに、そのせいで仲間を危険な道に進ませる事になってしまうなんて...俺には...悲しむ事も出来ないのか...


 騎士団本部へ戻ると、皆は王都へ行く準備をしてくれていた。

「団長。準備出来ました。」

「長旅でもバッチリだよ。」

「魔物が来たって平気です。」

「オラ達なら屁でもねえぜ。」

「団長殿、号令を。」

団員達が俺を信頼してくれている。けど俺は、そんな団員達の思いを踏みにじる事をしなくてはならないなんて...。

「皆...その事何だが...。」

 -10分後-

「何だってぇーーーー!?」

団員達は猛反論した。

「この時期に山越えなんて無茶だ!」

「そうさね。なんでそんな無茶をしなくちゃいけないのさ!」

「あんたはオラ達を殺す気か!」

「団長殿!」

「団長、皆の気持ちは俺にも分かる。幾らなんでも危険過ぎる。それにライだって。」

「...。」

「ライ、気持ちは一緒だ。けど俺達は進むしか無いんだ。」

「お前...。」

「俺が恨めしいか?ならその思いを俺にぶつけてくれ。それでライの気が済むなら、それでいい。」

「団長!」

「お前...何で...何でだよ...何でそんな恥ずかしい事言えんだよぉーー!」

ライの拳が俺の右頬に当たった。俺はその勢いで吹き飛ばされ、ライはリーフから貰った水晶石を握り締めた。

「団長!...ライ、てめぇ!」

「よせエイド!これで良いんだ。」

「団長...。」

「他にも何か言いたい奴は遠慮無く言ってくれ、殴ってくれたって構わない。それでついて来てくれるのならな。」

「...。」

「皆、スカイ団長の命令だ。大人しく従おう。」

「ライ...。」

「ゴメンよ、ライ。ゴメンよ、リーフ。」

エイドや他の団員達も、渋々俺の決定に従ってくれた。

次回、いよいよ王都へ向けての危険な山越え。非常にも過ぎていく時の流れは、スカイを容赦無く急かす。そして山を越えた先に楽園があるとは限らない。

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