救出、脱出、急展開!
「秀哉、助けに来てくれたの?」
「当たり前だろ。ユナが俺達に助けを求めたんだから。」
「...ありがとう。私、本当に嬉しい。」
「キッシャッシャッシャッシャッシャ!まさかまたお前らと会う羽目になるとはな!」
ユナが囚われていた部屋にはギルがいた。
「ギル!ゼオンはどうした?あいつはいないのか。」
「俺がいつもあいつと一緒だと思うなよ!それに、お前らを始末するくらい、俺1人で十分だ!」
確かに、ギルがドラゴンへと変身したら、俺達で勝てるかどうか不安だ...。
「やめてギル!秀哉達に手出しはさせないわ!」
ユナは両手を広げて、俺達を守ろうとした。
「ユナ!?何故こんな奴らを守ろうとする。こいつらが何をしたのか、分かっているだろう!」
「けど秀哉達は違う。彼らは私を助けようとしてくれたわ!」
ユナとギルはどういった関係なのだろうか?俺達がユナに何かしただろうか?
「まさかあいつ、本当に魔物と何か関係が...」
「馬鹿野郎!あの子がそんな訳無いだろ。」
「お前に馬鹿呼ばわりされるとはな...」
「ヤエはどう思うんだ?」
「知らない。」
「依頼以外は無関心かよ...」
「ちっ!まぁ良い。お前らの始末はいつでも出来る。例え俺が自ら手を下さなくてもな!」
ギルは高く飛び上がり、部屋の天井を突き破った。
「キッシャッシャッシャッシャッシャ!このオンボロ砦がお前らの墓場だ!」
すると砦が揺れ、音を立てて崩れ出している。
「秀哉、早くここから避難しなきゃ!」
「ああ。俺とヤエが先頭を走る。エイドとライはユナを頼む!」
砦の崩壊は段々と大きくなっていった。ギルが火を噴いたのか、火の手まで上がっている。
「団長、このままじゃ皆死んじまうよ!」
「諦めるな!退路はまだ塞がっていない。道が無いなら、ヤエの爆破で切り開く!」
「ちょっと待て!ただで崩れそうな状況なのにそんな事...」
「待てない。」
ドガーーーーーン!!ヤエは再び、ライが台詞を言い切る前に爆薬を投げた。
「こんなオンボロ砦で生き埋めなんて恥ずかしい死に方はしたくないぞ!!」
砦の崩壊はあと30分くらいのところまで来てしまった。砦の入り口に戻ろうにも、退路はもう無かった。
「団長、爆破で生じた火の勢いが、もうすぐそこまで迫ってる!」
「かといって、このままじゃ生き埋めは免れないしな...。」
「ヤエ!爆薬はあと何個ある?」
「あと1つ...。」
「...はは、その1つでここから出られなきゃ。俺達お終いかよ...。」
「諦めるな!俺は最期まで諦めたくない!」
絶体絶命の窮地に立たされてしまい、打つ手無しかと思った時、一瞬だけ冷たい空気の匂いを感じた。
「!?穴だ...。この空間の中に、外へと通じる穴がある。そこを爆破すれば!」
「穴って、どこもかしこも塞がれてて、見つかりっこないっすよ!」
「時間が無い!爆破するよ。」
ヤエが意を決して爆薬を手に持った。
「仕方が無い。こうなったら、ヤエの腕に全てを賭けよう!」
「それしかないのかよ!」
「おいヤエ!天才爆破泥棒の経歴に恥じない仕事をしてみせろよ!」
「あぁ...。あれはな...。」
「なんだよ?」
「適当にやってたんだ。」
ドガーーーーーン!!
爆風の勢いで目を閉じてしまったが、それが俺達の前方に吸い込まれて行くのを感じた。
目を開けると、ヤエが作り出した出口の前に佇んでいた。逆光で顔は見えなかったが、俺は彼女が仕事をやり遂げた達成感を感じているのだろうと思った。
「いい仕事だ。」
ライが思わず口からヤエを称賛した。
俺達は無事に西の砦から生還した。勿論ユナも怪我は無かった。そして俺達はユナを本部に残し、闇ギルドへと向かった。
「今回は世話になったよ。ヤ...彼女のお蔭で目的を達成出来たよ。」
ここでは名前を出してはいけない事を思い出し、とっさにヤエの名前を伏せた。
「随分と派手な事をしでかしてくれたな。まぁ、あの砦の解体はいずれ俺達がやろうと思っていた所だ。」
「...。またな。」
ヤエは別れの挨拶を簡潔に済ませて、俺達と別れてしまった。
「最後まで素っ気無い奴だったな。」
「けどあいつ”またな”って言ってたぞ?」
「”またのご利用を待っている”って事だろ?」
「それじゃあ、俺達は本部に戻るか。ユナが待っているしな。」
俺達は騎士団本部に戻り、戦いの疲れを癒していた。思えばベルフェザードと戦って、そのままユナ救出に向かったのだった。俺以外の団員の疲労はピークを越えていると言っても可笑しくない。
「あら秀哉。聞いたわよ。西の砦で大活躍したんだって?」
「大活躍って...。あれはヤエのお蔭だよ。」
「そうそうレダさん、俺達すんごい目に遭ったんすよ!」
「秀哉達があの子を助けにいっている間、あたしがあの子の濡れ衣を晴らしてやったんだからね。」
「そうか、ありがとうレダ。」
「も~。そんなんじゃなくて、もっと気持ちを込めて頂戴よ。」
「気持ちを込めてって...。」
「レダさん、俺の気持ちならいくらでも...。」
レダが例の如く、エイドに1発食らわせた。
「うるさい!」
「すみません...。」
「あっそう言えば。前にそこの冒険者と組んでた弓使いが病気だってさ。」
「なっ何だって!?」
レダのふとした発言に、俺とライは衝撃を受けた。
レダから知らされたリーフの病、この病が後に世界を大きく震撼させるものになる事を、スカイ達は知る由も無い...




