善行と言う名の”無駄”
【ネクロマンサー レベル 06】
・体力 230 ・攻撃力 08 ・素早さ 14.0 ・防御力 08
特徴・・・攻撃した後、1分事に攻撃力強化(1.5倍)。これを3回行う。
今回はまた厄介な能力を持っている魔物との戦いになってしまった。攻撃力強化を3回やられたら、俺達は36のダメージを負う事になってしまう。ライや魔女の補助があっても防ぐ事は出来ない。勝つ為には、攻撃力強化を行っている3分間で奴を倒す事だ。
「今回は団員の回復を無視した全力攻撃の編成で行く。」
「全力攻撃!?」
団員達が今まで聞かない言葉に驚いた。
「前線は俺とサムライ、剣闘士、エイドの4人。ライはエイドを、魔女はサムライを、僧侶は剣闘士を補助するように。以上だ。」
「おいちょっと待て!俺達の補助は1度の攻撃で1回しか受けられないんだぞ。再び補助を受けるには、一度後退してまた前線に上がらなきゃならない事は分かっているだろ!」
「あぁ、けど奴は攻撃した後、3分間は手を出してこない。俺達が後退しなきゃ、奴は俺達の攻撃を防御しない。最初に言ったが、これは回復を無視した編成だ。」
「俺達前線4人に勝利がかかっているって事っすね。」
「そうだ。俺達の中で最も攻撃力が高いのは俺とサムライ、剣闘士、エイドの4人だ。万が一間に合わなかったとしても、奴の攻撃で戦死者を出さない編成を組んでいる。だから俺達は負けない。負けちゃいけないんだ!」
「そうだな。早いとこ魔物を倒さなきゃ、赤ん坊が危ないからなぁ。」
「了解っす!」
作戦内容を伝え終え、魔物との戦いが始まった。
魔物は杖からビームのような攻撃を繰り出し、その攻撃は運悪くエイドに当たってしまった。
「大丈夫かエイド?」
「ライの補助のお蔭で無傷っす!」
「けど油断すんなよ。次に奴がお前に攻撃してきても、僕の補助は無いぞ。」
「ここからが勝負だ。一斉攻撃だ!」
魔物は透明なバリアーを張ったが、魔女の補助を受けたサムライの一太刀で呆気なく破れた。その後、俺とエイドの大剣、剣闘士のハンマーが魔物にダメージを与えた。
魔物の体力は半分まで削れたが、ここから3分間奴が攻撃力強化に入った。魔物は杖を両手で持って、呪文のようなものを唱え始めた。
「早く倒さないと厄介だぞ。」
「ああ、もしまたエイドに攻撃がいったら...。」
「団長!縁起でも無い事言わないで下さいよ!」
俺達4人は再び攻撃を仕掛けた。魔物もバリアーを張らなかった為、攻撃が防がれる事は無かった。魔物の体力は残り3分の1になったが、魔物の強化が終わらないか不安だった。そしてその不安は的中した。あと一押しの所で魔物の強化が終ってしまい、威力を増した攻撃が俺に向けられた。
「団長!」
「俺の事は気にするな。もう一押しだ、振り絞れ!」
最後はエイドの攻撃で魔物は消滅した。回復を無視した事により、戦闘は20分位で終了した。
「これで魔物はいなくなったな。」
「そうですね。早くホワイトベリーを採って戻らないと、赤ん坊が...。」
「良質で必要最低限の数を採って行くか。」
ウォルターからは馬車で来たので、帰りもさほど時間はかからなかった。騎士団本部ではレミリアが心配そうな顔で待っていた。
「団長様!」
「院長!赤ちゃんの容体は!?」
「ええ、なんとか頑張っています。それで、ホワイトベリーは...。」
「大丈夫です。この通り。」
「ああ...。ありがとうございます!なんとお礼をしたら良いのか...。」
「そんなのいらないよ!早く赤ちゃんの元へ行ってくれ!」
「はい。このお礼は必ず!」
レミリアは深々と一礼して、本部を後にした。
「良かった...。間に合って。」
「ああ、これで良くなって欲しいものだ。」
「心配しなくても、あれは僕が厳選した物だ。街で売ってる物よりずっといいさ。」
「そうだな。」
俺は心から1つの願いを思った。こんな時代でも元気良く育って欲しいと...。
1035年75日目
騎士団の戦力、出現した魔物の討伐等々、色んな事を考えている内に、あっという間に年月が過ぎてしまった。別に怠惰に過ごしていた訳では無いが、このままで良いのか不安になってきた。
「団長...。日に日に顔色が悪くなっていますね。」
「無理もないさ。僕だって震えが止まらない時があるんだ。」
「今度の予言の魔物は、そんなに恐ろしい相手なのか?」
「ああ、下手すりゃ死ぬかもしれない相手だ。しかもそいつは10年以上前に1度倒した筈なんだ。」
「それじゃあ、そいつは今度倒しても、また復活するかもしれないのか!?」
「そうかもな...。俺達はいいかもしれないが、あいつはひょっとすりゃあ永遠に奴と戦い続けるかもしれないな。」
「けど...。滅びの予言を全部回避出来れば、世界も団長も救われるよな?」
「そうなって欲しいけどな。」
ライとエイドに余計な心配をかけてしまったなぁ...。俺は気分を変える為に、本部を出ようとした。
「なあスカイ...。あんまり無理するなよ。」
「そうっすよ。俺達、どんな魔物が相手でも負けませんから。」
「あぁ...。ありがとう。」
俺は街外れの森へ来た。もうすぐベルフェザードとの戦いが近いから、女神レイラに一言助言を貰おうかと思ってしまった。すると妖精テトが俺の元へと来た。
「なぁスカイ...。お前らが前に助けた修道院の...。」
「孤児がどうかしたか?」
「あいつ...。変だよな...。」
「俺はまだ会った事が無いんだが?」
「!!な、なら良いよ。何でもない!お前、この事レイラ様に言うなよ!」
テトは慌てて何処かへと飛んで行ってしまった。
「?」
「テト?どうかしたのかしら?」
レイラが音も無く現れた。
「さあなぁ。あいつの事は良く分からん。」
「まぁ、いいでしょう。それより天野秀哉。いよいよ来年に迫ってきましたね。」
「あぁ...。またベルフェザードと戦うんだな。」
「騎士団の今の戦力ならば、きっと予言を回避、良い流れを作る事が可能でしょう。
「ありがとう。実はその事がずっと不安だったんだ。あんたのお蔭でスッとしたよ。」
「良く頑張っていますね。秀哉。」
「まぁ...。予言には関係ない孤児を助けたりしたしな。」
するとレイラの顔が急にキリっとなった。
「隊が強くなる為にはどんな無駄も良しとします。」
「無駄って、どういう事だよ。」
俺は女神の”無駄”という言葉に怒りを感じた。期待してた訳ではないが、女神なら善行を褒めると思っていたからだ。するとレイラは表情を曇らせた。
「いえ...。何でもありません。」
素直に謝るとは思わなかった。そしてレイラは表情を整えて話し始めた。
「とにかく!来年の流れを作ったら早急に!王都へ向かいなさい!」
1036年 聖炎騎士団
・スカイ17歳(∞)・ライ44歳(11)・エイド25歳(20)
再び魔将ベルフェザードとの戦いが始まります。




