入団希望者、再び現る
住民達の騒ぎ様は時計塔が突然鳴りだした時と同じ位だった。俺達は住民の1人に話を聞く事が出来た。
「時計塔を占拠した奴がいるらしいんだ。なんて罰当たりな事を。」
「この街の人間の仕業か?」
「とんでもねぇ。あの時計塔に近づく奴は、<深淵>にだっていねえよ!」
「闇ギルドが絡んでいないのなら、あんたらで何とか出来るんじゃないのか?」
「何言ってんだよ。もし魔物がいたらどうすんだよ!魔物相手はあんたらの仕事だろ?」
「少しは自分達で何とかしてみせろよ。ホントこの街の連中は頼み事だけは1人前だな!」
「とにかく俺達も早く時計塔へ行こう。ユナが心配だ。」
俺とライは時計塔へと走りだした。
時計塔へ到着すると、ユナが塔の下にいた。
「スカイ!」
「ユナ!何かあったら本部へ来いって言っただろ?何かあってからじゃ遅いんだぞ。」
「うん...。けど魔物が来た訳じゃないから。」
「この騒ぎの元凶は人間なのか?」
ユナは塔のテッペンを指差した。するとそこには1人の人間が登っていた。
「やっぱ都会はデッカイなぁ~!俺の故郷とはまるで違うや!」
「おいお前!そんな所で何やってんだ!」
ライが犯人に向かって叫んだ。
「あれぇ~。なんでこんなに人が集まってんだぁ~。」
「お前のせいで騒ぎになってんだよ!早く降りてこい!」
犯人は潔く塔から降りてきた。住民達も一安心して塔から離れていった。
「いやぁ~、俺この街初めてなんで。土地勘掴むために高い所からこの街を見ようかなと。」
「田舎者の上に馬鹿ときたか。」
「馬鹿とはなんだよ馬鹿とは!」
「馬鹿な奴程、高い所が好きなもんだ。」
「オッサンには言われたかねぇよ!」
「テメェ、僕のどこがオッサンだよ!」
犯人はまだまだ若い青年だった。恐らく俺より年下に違いない。それにしても彼が身に着けているオレンジのバンダナと小麦色の肌は、バルトウェイのガルドを思い出させられる。
「おいスカイ!ボーっと見てないで、お前もこいつに一言言ってやれ!」
「スカイ?もしかして聖炎騎士団の団長 スカイ=フィールドさんですか!?」
「えっ?あっああ、そうだけど。」
まさか自分の名前をフルネームで呼ばれるとは思わなかったので、少し動揺してしまった。
「そうでしたか。父と母からスカイさんの事を聞いてます。俺、聖炎騎士団に入団したいんです。」
「呆れた奴だ。街の外からの入団希望者とはな。」
「それで、君の両親はなんて名前なんだ。」
「あっはい!ガルドとケーラです。以前、バルトウェイの自警団にいました。」
「ガルドとケーラ!?お前、あの2人の子供なのか!」
「はい!それで、フィリンさんとリーフさんはどうしたんですか?」
「フィリンは訳あって王都へ行って、リーフは故郷へ残ったんだ。」
「そうでしたか...。あの2人にもバルトウェイの事を伝えたかったんですが...。」
「それなら騎士団本部で聞こう。入団希望者なら大歓迎だ!なあライ。」
「まあ、この街の連中よりか...。」
俺達はガルドとケーラの子供のエイドと一緒に騎士団本部へと帰った。エイドは魔物の襲撃を受けたバルトウェイを復興させた2人の話と、養子にしたフランの事も話してくれた。エイドの笑い方は父ガルドにそっくりで、目の形がケーラに似ていた。
【エイド 15歳 戦士】
・体力30 ・攻撃力10 ・素早さ12.0 ・衰退期まで30年
エイドはガルドと同じ戦士だった。しかしまだ15歳だからか、戦闘に組み込むのは難しいかもしれない。
「エイド、暫くはライの言う事を守るように。戦い方は俺とライが教えてやるよ。」
「スカイ団長!それなら大丈夫っすよ。親父に徹底的に叩き込まれましたから、直ぐにこの騎士団の戦力になれますよ。」
「馬鹿かお前は!入団して間も無いお前が、直ぐになれる訳ないだろ!」
「オッサンよりかは役に立つさ!」
「だからそのオッサンは止めろ!勇敢と無謀は決して同じじゃ無いんだぞ!」
「わっ分かったよ。」
ライの一喝にエイドは委縮した。ゴードンからリーフへ、そしてライへと受け継がれた教えは新たな団員に受け継がれようとしていた。
1026年 聖炎騎士団
・スカイ17歳(∞)・ライ34歳(21)・エイド15歳(30)




