レミリア修道院での戦い
1026年15日目
予言の年になり、魔物が現れるであろう場所はエヴァレス山脈ふもとにあるレミリア修道院だった。
「聖炎騎士団様、どうか御武運を。」
「分かりました。レミリアさんも早く中へ。」
神官のレミリアは深々と一礼して修道院の中へと向かった。
「こんな女性しかいない場所を襲うなんて、破廉恥な魔物だぜ。」
「そうだな。だからこそ俺達が勝たなきゃならないんだ。」
俺達は魔物に対して厳戒態勢をとった。そして俺の視界にその姿が見えた。
【ゴブリンウォーリアー レベル 06】
・体力 240 ・攻撃力 7×2 ・素早さ20.0
特徴・・・全体への攻撃力 5
魔物は高い素早さと複数攻撃を持っていた。回復力が無いのはいいが、全体攻撃が気になる。
「前線は俺とサムライと剣闘士。ライは剣闘士を、魔術師はサムライを補助。後方にいる騎士2人はライと魔術師を援護。いいな!」
「はいっ!!」
戦いが始まり、先手は勿論魔物がとった。短剣のようなサーベルで俺と剣闘士に斬りかかった。剣闘士はライの補助のお蔭でダメージは無かった。
「ハァッ!」「てやぁっ!」「どりゃぁ!」
俺達3人の攻撃がゴブリンの体力を3分の1まで削った。するとゴブリンは腰袋から何かを取りだそうとした。
「ハッ!皆気を付けろ、何か来るぞ!」
ゴブリンは高くジャンプして、空から爆弾をばら撒いた。
「ウワッ!あの野郎、なんて事してくれたんだ。おい、後ろの2人!大丈夫か?」
「だっ大丈夫です!」
「俺達前線はまだ行ける。あと1回攻撃したら、ライ達と代わるぞ!」
「おうよぉ!」「御意!」
戦闘は約2時間で終わったが、魔物の爆弾で修道院にも少し被害が出てしまった。
「すみませんレミリアさん、修道院にも被害が出てしまって...。」
「何を仰いますか?あなた方がいなければ、私達はどうなっていた事か。」
「そうだぞスカイ、魔物に勝ったからいいじゃないか!」
「そうだな。じゃあ俺達はウォルターへ戻ろう。早く皆を休ませなきゃな。」
俺達は修道院を後にしてウォルターへと帰還した。
本部へ戻るとアーチャーと魔女が食事を用意してくれていた。
「皆、お帰りなさい!」
「休んでいた分の埋め合わせにはならないけど、沢山食べておくれ。」
団員達は嬉しそうに2人が用意してくれた料理を食べた。
「団長、実は報告したい事があります。」
「んん?何だい、もしかして退団するのか?」
「いえ、まだこの団には残ります。勿論彼女もです。」
「じゃあ一体?」
「あたいらに子供が出来たんだ。女の子でさ。」
「そうだったんだ。良かったなぁ。」
「いつかは騎士団に加わって、俺達の代わりにこの世界を救う存在になれればと思っています。」
「それは嬉しいけど、子供の将来は子供の自由でいいぞ。」
「はい、ありがとうございます。」
団員同志の結婚で子供が生まれた事、これは予言に打ち勝った俺達にとって微笑ましい報せだった。
夜になり、俺とライは街中を散歩していた。
「お前も随分この街に慣れたな。」
「まあな。もう20年位になるなぁ。ライももう立派な大人だな。」
「僕をからかっているのか?お前こそ、ホントに何も変わっていないなぁ。」
「そうだな。本当なら俺はもう44歳だな。ガルドとケーラはもっと歳いってるだろうし...。」
「昔の仲間か?」
「ああ、バルトウェイって街にいるんだ。俺らが別れた時に、ケーラの中に子供がいたんだ。」
「へぇ~。その子供は今どうなっているんだろうな。」
「あぁ。バルトウェイは元通りになったのか、親代わりになって育てたフランはちゃんと育っているだろうか、心配だなぁ。」
「おいおい、まさか今からバルトウェイに行くなんて言うなよ。次の予言だってあるんだし、それにまたあいつと戦うんだろ!
「そうだな。次に奴と戦うのは10年後、その後拠点を王都へと移さなきゃいけないな。」
10年後には嘗て戦った強敵、魔将ベルフェザードとの戦いが待っている。そしてその後の予言に立ち向かう為には、拠点を王都リゼルへ移さなければ間に合わない。
「そういや、王都へ行ったフィリンも今はどうなっているだろうな。」
「そうだな。王都へ着く時まで生きていればいいけど...。」
物思いにふけっていると、街の住民達がざわざわしているのに気が付いた。
「何かあったかな?」
「ほっとけよ。何かあったって、どうせ自分達でどうにかしようとしないんだから。」
「魔物だったらどうするんだよ!放っておけないだろ!」
「ったく。仕方が無いなぁ!」
俺とライは住民達から話を聞く為に走りだした。




