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魔将 ベルフェザード

1020年20日目


 遂にこの時が来た。フォレスの村に現れるであろう予言の魔物との戦いの時が。聖炎騎士団は1020年に入ってからフォレスの村に滞在し、いつでも迎え撃てる準備をした。ウォルターの事はギルドに任せ、他の村に現れた際には<深淵>が協力してくれるらしい。一体誰が彼らを動かしたのだろうか?

すると急に空が薄暗くなった。村長は急いで村人に避難するように指示を出した。これは今までのとは桁外れに違う事がひしひしと伝わった。

「団長。村人の避難が完了しました。」

「これで心起きなく戦えるな。」

「村は荒れてしまうだろうが、背に腹は代えられない。聖炎騎士団、行くぞ!」

僕の号令に団員達が鼓舞された。


魔物は巨大だった。大きさはジャイアントを超えた漆黒の巨体だった。顔は龍に似ており、頭にはまるでメデューサの様な蛇の髪を付けていた。上半身しか体は無かったが、今にも押し潰されてしまう位のプレッシャーを放っていた。

【ベルフェザード レベル06】

・体力250 ・攻撃力 10(初回+6) ・複数攻撃 4×4・回復力 10 ・素早さ 5.0

特徴•••複数攻撃の後、2回生命力吸収の攻撃をしてくる。受けた者は瀕死まで体力を吸収される。


 初回攻撃に複数攻撃、そして生命力吸収。編成を考えさせられる厄介な攻撃が盛り沢山だ。初回攻撃は奴が回復した次に起きるものであり、こちらが回復する間を惜しめばなんとかなりそうだ。問題は複数攻撃と生命力吸収だ。前者は下手すれば最大22のダメージを受けてしまう事になる。そして後者、僕の体力では奴を完全回復させてしまう。とはいえ体力が低い団員を組めば攻撃が来る前にやられてしまうかもしれない。

「よしっ。前線は僕と剣闘士2名に補助も魔女2名。リーフとは遠距離攻撃。あとは...。」

「スカイ。僕は自分で回復が出来るから、多少の無理なら出来るぞ。」

「けどそれだと、僕はライに危険な事を頼む事になるぞ。」

「お前が倒れたら、誰が団員の指揮を取るんだ。それにあいつには無理の1つや2つやらなきゃならない位の強さなんだろ!」

「分かった。ならライ、君には...。」

「了解だ。お前の策を信じるぞ。」


 そして僕ら聖炎騎士団と魔将ベルフェザードとの戦いが始まった。

先手は僕が取ったがベルフェザードは剣闘士よりも早かった。初回攻撃が僕に降りかかり、僕は大ダメージを受けた。魔女の補助は剣闘士に任せていた為、僕は無防備だった。リーフ達が攻撃した後、剣闘士達が魔女の支援を受けて大ダメージを与えた。運良く剣闘士の1人が絶好調であった為、予想以上のダメージを与えられた。

僕らはすぐさま後退し、剣闘士達は再び魔女達の補助を受けられる様にした。そしてベルフェザードの複数攻撃がリーフと魔女2人に降りかかった。僕は今までの戦闘経験から敵が誰に攻撃してくるかを分析し、体力が多いリーフに初回攻撃力が加わった攻撃が当たる様にした。自回復が出来ない分、ライの補助が受けられる様にした。そのお蔭でライの補助でもリーフは大ダメージを受けることは無く、3人は瀕死状態になる事は無かった。そして僕はリーフ達を後退させ、ライ1人を前線に出した。

「何してるんですか団長!?ライを見殺しにする気ですか?」

「奴の攻撃でライが死ぬ事は無い。これしか僕らが勝つ策が浮かばなかったんだ。」

するとベルフェザードはライから体力を吸収して回復した。

「くっ、ホントにギリギリまで吸い取りやがった...けど...もうこれ以上...お前が吸収出来る体力は無いぞ!」

ライはハープで可能な限り攻撃した。そしてすぐさまライを後退させ、一気に攻撃を仕掛けた。

するとベルフェザードは最後の力を振り絞って僕らを吹き飛ばそうとするが、リーフの放った矢が奴の喉元に命中した。

「今です団長、奴にとどめを。」

僕はライの補助を得て、強化された一撃をベルフェザードの眉間に突き刺した。


 ベルフェザードは大きなうめき声をあげて消滅した。僕らは見事予言を覆したのであった。だが勝利の余韻に浸る前にゼオンが姿を現した。

「まさか脆弱な人間にこれほどの事が出来ようとはな。」

「ゼオン!一体何しに来た。団員達には指一本触れさせないぞ!」

「お前はあの時の小僧か?何故何も変わっていない。不老不死か?」

「さあね?死んだ事が無いから分からないよ。でも不老は認めてやる。」

「そうか、ならば不老の戦士よ。何故脆弱な人間を率いている。貴様と違ってそいつ等はあっと言う間に死ぬというのに。」

「お前には分からないだろうな。僕らはこの世界を守る為に戦っているんだ。そして僕はスカイ、スカイ=フィールドだ。」

「ふん、世界を守るだと?そんな事が出来る筈が無い。」

「それはどうかな?僕らはベルフェザードを倒したぞ。」

すると空から笑い声が聞こえた。

「キッシャッシャッシャッシャッシャ。これで終わったと思うなよ。」

僕らの目の前に禍々しい翼を持ち、エメラルドの髪で赤が混ざった黒い体の男だった。奴は恐らく亜人と呼ばれているのだろうか?

「俺の名はギル。ベルフェザード様に使える”破滅の死者”の1人だ。」

「破滅の死者?お前とゼオンの他にもあと2人いるというのか?」

「ほう。俺達がいつ4人だと言った?」

「ただの勘さ。死者という響きからお前達が4人だと思っただけさ。」

「人間の癖に勘のいい奴がいたものだな。」

どうやら当たっていたらしい。ゼオンとギルの他にあと2人倒せばいいのか。

「終わったと思うなとはどういう事だ。ベルフェザードは死んだぞ。」

「キッシャッシャッシャッシャッシャ。愚かな人間に教えておいてやる。ベルフェザード様は復活するのだ。長い年月を経て必ずベルフェザード様は再びこの世界に君臨するだろう。俺がお前らに教えたのは、お前らが絶望する様が見たかったからだ。」

ギルの言葉に団員達が絶望した。まさかとは思っていたが、再び奴と戦う事が来るなんて...。

「俺達は必ずこの世界を滅ぼしてみせる。その時が来るまで精々絶望しているがいい。キッシャッシャッシャッシャッシャ。」

するとギルは忽ちドラゴンへと姿を変えて空へと舞い上がった。まさかギルがあの時のドラゴンだったとは。

「スカイ=フィールド、よく覚えておけ!貴様等はベルフェザード様の掌の中にいるという事を!」

ゼオンはギルの背に乗り、僕に忠告した。

僕は更に絶望を突きつけられて今にも気を失いそうだった。しかし僕が挫けてしまってはそれこそお終いだ。僕は大剣で膝を着かない様に必死に堪えた。


 ベルフェザードとの戦いが終わったが、団員達は安堵出来なかった。ギルの言葉によって再起不能な位に絶望させられたからだ。僕は団員達になんて言葉を掛ければ良いのか分からなかった。すると遠くから僕らを呼ぶ声が聞こえた。

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