フィリン、聖炎騎士団最後の戦い
僕らはフィリンと王都騎士団3名と共に魔物討伐へと向かった。魔物がどういうのかは分からないが、このままでは苦戦を強いられるのは確実だ。すると道中で術者達に出くわした。
「ドシタカ?ナニカアタカ?」
「実はこの先の村で魔物が現れたんだ。いきなりで申し訳ないんだが、手を貸してくれないか?せめてあと2人いればなんとか出来そうなんだ。」
「ソナライイノイゾ。オマラ聖騎団か?」
術者達の言語は独特で解釈に困るが、僕らの事は聖騎団と通っているらしい。
「ああ、僕らは聖炎騎士団だ。」
「ソカソカ、ソナラヨロンデテカスゾ。」
幸運にも術者2人が加わってくれた。そして彼らは騎士団に入団するつもりだったらしい。
「団チョ、イコトイウ。ジュ者怪我スグナル。タリョクイジョカフクストフダイジョニチカデル。(訳:団長、良い事言うぞ。術者は怪我を直ぐに治せる。体力以上回復すると普段以上に力が出るぞ。)」
術者が高い攻撃力を持っている事は知っていたが、これは初耳だった。術者が体力以上回復出来る戦術を考えれば、体力が高い魔物に有効かもしれない。
【ジャイアント 03】
・体力 200 ・攻撃力 8 ・防御力 6 ・素早さ 2.0 ・回復力 6
特徴・・・10秒間力を溜めた後、攻撃力2倍
魔物は2倍攻撃をしてくる奴だった。そして今の僕らには援護が出来ても支援が出来る者がいない事だ。
「フィリン、僕が魔物の2倍攻撃を何とかする。術者達には力を普段以上出せるくらい回復をさせよう。」
「何とかって。いくら僕らでも奴の攻撃を完全に防ぐ事は出来ないよ。」
「ダメージを抑えられれば良いよ。僕は自回復が出来ないから、フィリン達にダメージを抑えてもらうしか無いんだ。」
「団チョ、ムリシナデ。ジュシャモイチナラヘキヨ。」
「ありがとう。でも僕らの中で一番攻撃力が高いのは君らなんだ。何とか持ちこたえてみせるよ。」
「スカイ...。」
「前線は僕が。フィリンと騎士3人は僕の援護を、魔物が力を溜めたら術者が大ダメージを頼む。」
団員編成が終わり、魔物との戦闘が始まった。
魔物は高い体力と防御力のせいで中々倒れなかった。やはり僧侶や魔女のような支援補助が無ければ致命傷は与えられなかった。こうなれば術者の高攻撃が唯一の切り札だ。
「フィリン、僕らも出来る限り耐えてみせる。だから団長を後退させてくれ。」
「俺達だって騎士なんだ。この村もお前も団長も守らせてくれ。」
「あの威張り屋騎士団長に目に物みせてやろうぜ。」
「お前ら...。ありがとう。この戦い絶対勝つぞ!」
僕とフィリン、騎士も術者も限界まで戦い抜いた。そして約2時間後、魔物は討伐出来た。僕らは疲労困憊だった。すると王都騎士団がやって来た。
「貴様らいつまで休んでいるか!早く王都へ戻らねばならないというのに。」
僕は疲れた身体を奮い立たせてゴーン団長に怒りをぶつけた。
「あなたには団長を名乗る資格は無い!彼らは無理を承知でこの村を救ったのですよ。せめて彼らに労いの言葉の1つくらいかけてやっても良いじゃないか!」
「村の1つくらいなんだというのだ!我らは王都を守る騎士団だぞ。」
「あなたは王都を守れればそれで良いのか!?僕らはこの世界を守る為に戦う聖炎騎士団だ。」
僕らの活躍に村人達は感謝してくれた。そしてゴーン騎士団長に軽蔑の目を向けていた。
「くっ。これだから田舎は好かんのだ。お前達、王都へ帰るぞ。」
ゴーンが命令するが、団員達は動かなかった。
「ゴーン団長、我々は本日を以て騎士団を退団します。」
「なっ何だと!?」
「あなたのやり方にはもうついていけません。我々は聖炎騎士団についていきます。」
「かっ勝手にするがいい。貴様らの事は王都追放処分とする。せいぜい田舎で余生を過ごすがいい!」
ゴーンは顔を真っ赤にして村を出て行った。そして残った騎士達をどうするか悩んでいると、フィリンが僕に提案した。
「スカイ、僕は彼らと共に王都へ向かおうと思う。」
「フィリン、それってつまり。」
「君も知っている筈だ。僕はもう長くない。足手纏いにはなりたくないんだ。」
「そんな、あと2年は戦えるじゃないか。それからでも遅くはないと思うけど。」
「今からエヴァレス山脈を乗り越えれば、ゴーンよりも早く王都へ着く事が出来る。僕は彼らの無実を証明したいんだ。」
「そうか。でも出発は明日にしよう。今夜は送別会と祝勝会を開こうじゃないか。」
「スカイ、今までありがとう。僕も僕のやり方でこの世界を守るために戦うよ。」
僕とフィリンは握手をして共に滅びの予言に立ち向かう事を誓い合った。
翌日。僕らはフィリン率いる王都騎士団に別れを告げた。バルトウェイにいるガルドとケーラにこの事を伝えようとしたが、気軽に手紙を出せる程この世界は安全では無い。
「運が良かったな。もし山を登る時期が違っていたら、遭難しても可笑しくないからな。」
「王都へは山を登る以外に行く道はあるのか?」
「遠回りにはなるが、北西にある湿地帯を通る道があるな。」
「そうか。なるべく安全に王都へ向かいたいものだな。」
「どの道を選ぼうが、そこには必ず魔物がいるさ。甘い考えは持たない方がいいぞ。」
ライは僕に忠告した。確かに魔物との戦いは避けられないが、僕は目的地への道中で団員が体調を崩さないようにしたかった。
{次の予言まで あと2年}




