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聖炎騎士団 対 ”最強の魔物”

ギルがベルフェザードに言葉を捧げると、ベルフェザードがギルを掴みかかった。そして瞬く間にギルはベルフェザードの口に飲み込まれた。

「あの野郎...食われちまったのか?」

「違う。あれは...同化したんだ!!」

ベルフェザードと同化したギルは、今までとは桁違いの強さを手に入れた。そしてゆっくりと口を開いた。

「セカイ...ニ...フクシュウ、ヲ...。オレ...ハ...シュ、ト...ナル。」

今のギルならば文字通り、世界を滅ぼす事が出来てしまう。だが徐々に様子がおかしくなって行った。

「グハ...プ...グギョオォォォォ!!」

「いけない!ギルの意識が...ベルフェザードに飲み込まれていく!」

「そんな...本当に”食われちまった”...。」

レイラの言葉に俺は愕然とした。今この時、神竜ギルが目の前で死んだ事に...。すると再び奴が口を開いた。そしてこれがどちらの物なのか、分からなかった。

「グゥゥゥゥル、ギュワォォ!...サミ...シ...イ?」

「スカイ!もう...戦うしかないわ。ここにいるのは...最早忘れられた哀しき者ではない。”最強の魔物”よ!!」

「ちっくしょぉぉぉぉ!!!!」

俺は悔しさを込めた雄叫びを上げ、剣を取った。


【ベルフェザード 魔将 レベル10】

・体力 765 ・攻撃力 12 ・素早さ 22.0 ・初回攻撃力 6 ・回復力 12 ・複数攻撃 5×3

特徴・・・2.3巡目に複数攻撃。4.5巡目に体力吸収攻撃。


奴の能力は今までとはまるで違った。体力・攻撃力・素早さ...当に”最強の魔物”であった。だが負ける訳には行かない...この世界に生きる全ての者達の為、ギルの為にも。

「前列は俺と祈祷師。中列はマナ・ジード・魔女・冒険者。後列はサムライ。マナが祈祷師、祈祷師がサムライ、魔女が俺を補助してくれ。サムライはジードを支援だ。」

「おう!」

「...。」

「おい、マナ!もう、どうしようもねぇんだよ。」

「でも...。」

「戦え、マナ!これは...団長命令だ!!」

「!...はい!」


そして俺達聖炎騎士団と...”最強の魔物”ベルフェザードとの戦いが始まった。

先手を取ったのはベルフェザードであった。攻撃は祈祷師に向けられ、マナの補助のお蔭で無傷で済んだ。次に俺が攻撃し、祈祷師の石化攻撃で1巡目が終わった。

俺は隊列を変えずにサムライ・冒険者に指示を出した。そして2巡目の戦闘が始まると、精霊アマノミツルギが現れ、石化した奴に大ダメージを与えた。精霊の効果で素早さが倍になり、俺と祈祷師が攻撃を終えるとベルフェザードの複数攻撃が来た。攻撃は俺が2回で祈祷師が1回食らった。

俺は隊列を変えて、祈祷師と奴が自回復をし終えた所で、3巡目に入った。先手はベルフェザードが取り、ジード・冒険者・魔女の順で攻撃を受けた。ジードは他の2人より多いダメージを受けたが、まだまだ余裕であった。そして魔女・ジード・マナ・冒険者の順で攻撃して3巡目が終わった。

そして再び隊列を入れ替え、マナが3人を回復し、冒険者・ベルフェザードが自回復をし終えて、4順目に入った。先手は奴が取り、サムライの体力を瀕死寸前まで吸収して体力を回復した。次にサムライが攻撃して4巡目が終わった。

俺はそのまま隊列を変えなかった。マナと冒険者が回復を行い、冒険者が急所必中状態になった。再びベルフェザードが体力吸収をしたが、瀕死寸前のサムライから体力を吸収出来なかった。そしてサムライの攻撃が急所に当たった。

いよいよベルフェザードの体力も残り僅かとなり、終盤は前列を俺と祈祷師にして入れ替えをしまいまま最後まで戦闘を続けた。そして7巡目になった時、トドメは俺の攻撃でベルフェザードは咆哮を上げながら、消滅していった。


戦闘が終わり、静寂が周囲に立ち込めた。”最強の魔物”ベルフェザードを倒した事に喜ぶ者もいたが、俺は喜べなかった。ただただ、ギルへの思いが深まる一方だった。

「ギル...。」

「何しけた面してんだよ!」

「そうさ!僕達、勝ったんだ!」

ジードが俺の頭を叩き、テトが勝利に喜ぶが、俺は2人に聞いた。

「なぁ...俺達は何に勝ったんだ?」

「えっ?」

「何って、”最強の魔物”ベルフェザードだろ?」

「本当にそうか?」

「何が言いてぇんだよ?」

「確かに魔物には勝った。けど...結局俺達は、ギルを救う事が出来なかった。」

「そりゃあ...。」

「それはテメェの話だろ?俺達は魔物を倒すのが目的で今日まで戦って来たんだ。寧ろ手間が省けたじゃねぇか!2体まとめて相手してたら、こっちの身が危なかったぜ。」

「お前!!」

俺はジードの胸倉を掴んだが、ジードは冷静だった。

「魔物を利用して世界を滅ぼそうとした奴を救おうだなんて、テメェはいつから神様になったんだよ?俺達人間が出来る事なんざ、たかが知れてるだろうよ!」

「...。それでも、何とかしてやりたいって思うのが...人間なんじゃないのか?」

「スカイ...。」

「けっ。テメェの甘さには反吐が出るぜ。」

すると、マナが何かに気が付き、全員に呼びかけた。

「皆待って!...この空気の震え...何かおかしい!!」

マナの言葉通り、空気が振動し、それは徐々に大きくなっていった。

「!まさか!」

「塔が崩れます!皆さん、早く逃げて!!」

レイラの言葉に全員が従った。一刻も早く塔から避難する事で精一杯だった。何とか崩壊前に塔から脱出した俺達は、崩れ行く<フィアの塔>目の当りにした。すると塔は目も眩むような光を放ち、もう一度塔を見ると、頂上の聖火に見えた光の球体が消滅していた。

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