騎士団と”死神”の旅立ち
様々な出来事があったものの、俺達は何とか下山し修道院へと到着した。エレナは何度も頭を下げて、俺達にお礼を言ってくれた。
「本当にありがとうございます。何とお礼を言っていいのやら...」
「いいんです。ユミが無事ならそれで...けど、そうなると長の病が...」
「はい、こればかりはもう...祈るしかありません。」
そう...俺達が雪山超えをしようとした目的は、長の病を治す薬を手に入れる事だった。カムロンがデマだったと吐いた以上、俺達に為す術は無かった。するとジードが俺達の元に近づいて来た。
「へっ。祈りなんざ腹の足しにもなりやしねぇ。」
ジードは懐から紙切れを取り出し、それをエレナに押し付けた。
「...雪山に生える白銀苔を熱湯で煎じて飲ませな。煎じ方はこの紙に書いた通りだ。特効薬とはいかねぇが、死に至らなくて済むぜ。ジジイの症状が良くなったら、他の街のヤツらにも作ってやるといい。」
「あ...ありがとうございます!」
俺はジードが黒死病の薬を知っている事に驚いた。だが最後に会った時、ジードはまだ黒死病の薬について知らなかった筈...
「ジードお前...黒死病の特効薬を探す為に脱獄を...?」
「言ったろ?俺が殺す前に死なれちゃ困るってな。それに色々調べたお陰で、黒幕の正体が分かったぜ。」
「やはり黒死病の蔓延は、人間が関わっていたのか!」
「あぁ。発生は自然だったろうが、ここまで流行るには訳がある。死人を掘り起こしたり、ネズミを繁殖させたり、田んぼの水に銀の水を混ぜたり...。」
「それが黒ずくめの...女の仕業か!?」
「そこまで知ってるなら話が早ぇ。<黒い魔女>或いは<黒の災い>とも呼ばれてるそいつは、今<アバトの行人>と結び付いてとんでもない儀式を始めようとしている。ガキの人柱なんざ立てて、絶望から生まれる平和を祈るなんて、クソみてぇな儀式だ。それがサバト<黒の祈り>だ。」
俺はジードの話を聞いて全身が震えた。止めなくては...これ以上多くの人々の命が奪われるのを。
「ありがとうジード。皆、行くぞ!」
俺は号令をかけ、<黒の災い>の野望を阻止しようとしたが、ジードが俺の服の襟を掴んだ。
「まぁ慌てるな。次に行われるサバトの時期と場所は分かってる。どうせなら一網打尽にしようぜ。」
「...お前も来てくれるのか?ジード。」
「あぁ、俺の為にな。」
【ジード 38歳 戦士】
・体力38 ・攻撃力18 ・素早さ15 ・衰退期まで8年
ジードは俺達と共に<黒の災い>を倒す事を提案し、俺もそれに同意した。俺は世界の為、ジードは自分の為と目的は異なるが、倒すべき敵はお互い同じであった。ジードは戦士としては高い攻撃力を持ち、即戦力に申し分無かった。
こうして俺達は"死神"ジードを騎士団に加え、次のサバトが行われる場所へと向かう。そしてそれはエレナとユミ、ライト達との別れでもあった。
「それじゃあ僕は王都へ戻るよ。」
「良い本書けよ。」
「勿論さ!"死神"ジード=ヴィロウズの真実!これは世紀の特ダネだ!!」
ライトは念願だった"死神"の真実を得られて興奮していた。そしてテトとの別れを惜しんだ。
「チビスケ...僕の事を、忘れないでくれよ。」
「泣くな!生きてりゃきっとまた会えるさ。」
「そうかな...じゃあ約束だ!」
「あぁ、約束。」
ライトの小指にテトの小さな両手が触れて、2人は再会を約束した。
「おじさん、バイバイ!」
「へっ。殺し損ねたな。」
「いぃーだ!あたしを殺せるもんなら、殺してみなさい!」
「...今度じっくりな。」
「ありがと!またね!!」
ユミの無邪気な笑顔に、ジードは不敵な笑みで返した。ジードが悪人ではなかった事が分かってから、彼の"殺す"が本心かどうかが分からなくなった。
最後に俺はリリの銅像に積もった雪を払い、頭に帽子を被せた。
「じゃあなリリ。全てが終わったら、また会いに来るよ。」
次の目的地へ向かう俺達を、エレナとユミは最後まで見送ってくれた。こうして俺達聖炎騎士団は"死神"ジードを加え、"黒い魔女"...<黒の災い>の野望を阻止する為に次のサバトが行われる場所へと向かった。その場所の名は...夜の都ディース。
1099年 聖炎騎士団 ・スカイ17歳(∞)・マナ22歳(13)・ジード38歳(8)




