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”死神”の真実

「な、なんの事でしょうか?」

ジードの言葉にカムロンは動揺している。彼が少しずつ後退して行くにつれ、ジードが近づいて行った。

「へっ。人柱なんか立てたところで、黒死病は治りゃしねぇんだよ!怪しい女の言う事を鵜呑みにしやがって!」

「私はただ<黒の魔女>に...」

「黙れ!人を殺すのは、俺の仕事だ!」

ジードが怒鳴ると共に、持っていた剣でカムロンを斬りつけた。

「ぎゃあああぁぁーー!!」

カムロンは悲鳴を上げ、少しよろめいた後に崖から落下してしまった。彼の叫び声が吹雪の音にかき消され、ジードは剣に着いた血を雪で落としていた。

「どうやら"死神"は、人柱はガキよりテメェの方が良いってよ。」

「おいジード!一体どういう事だ!?ユミはカムロンに連れ去られたって言うのか?」

「奴一人の仕業と言うより、あの女に唆された集団の仕業だがな。大方<黒の祈り>への捧げ物にでもしたかったんだろよ。」

「あの女?<黒の祈り>って...?」

「...へっ。このガキには騎士団が付いていたのか。面倒なモンを拾っちまったぜ!」

するとジードが俺に放り投げ、今は俺の腕の中にいたユミがうっすらと目を開けた。

「ユミ!大丈夫か!?」

「...はっくしゃん!...うぅ...寒いし、体中が痛い!死ぬかと思った...こんちくしょう!」

「...はは、それだけ元気なら大丈夫だな。」

すると俺達の目の前から魔物が雄叫びを上げて向かって来た。

「マズイ!魔物だ!!ジード、ユミとエレナ達を頼む!」

「俺に指図すんじゃねぇ!」

ジードは俺に反発するものの、ユミとエレナ達を魔物との戦闘に巻き込まれないようにしてくれた。


戦闘が終わり、俺は改めてユミから事情を聞いた。彼女は確かに用を足す為に砦の外に出た。そしてその時カムロンに拉致され、この山頂へと置き去りにしたと言う。そしてそこへジードが現れ、数時間前に至るのであった。

「あたしがもうダメだって思った時、このおじさんに助けてもらったの!」

「今度おじさんって言ったら...殺すぞ?」

「いぃーだ!おじさんはおじさんだもん!」

「このガキ!ぶっ殺す!!」

ジードは相手が子供でも平気で"殺す"と言ったが、ユミは笑顔で受け流した。そんな2人の光景を見て、ライトは驚いていた。

「信じられないな。あの"死神"ジードが人助けなんて...」

「ジードは殺人もするし...人助けだって出来る人間よ。」

ライトにそう言ったマナの言葉で、俺は一つの答えを導き出せた。

「マナ?もしかしてお前が探している人って...」

「うん。ジード=ヴィロウズ。私、<深淵>で彼と組んでたの。...とは言っても、私が一方的に面倒見てもらってただけなんだけどね。」

「じゃあジードが闇ギルドに入った理由は...マナの為か?」

俺がマナに質問すると、マナの表情が曇った。

「...。知り合いもいない街で子供が生き残るには、闇ギルドに入るしか無かった。でも...いくら年齢制限が無いとは言え...5歳の女の子に回ってくる仕事は全く無かった。ひもじくて、寝る場所もなくて...そんな時、彼に会ったのよ。」

「お前、知り合いもいないのにどうしてウォルターへ行きたいなんて言ったんだ?」

「...騎士団の足手纏いになりたくなかったから...」

俺の質問にマナ悲しそうに答えた。嘘を言ったマナもマナだが、マナの言葉を鵜呑みにした俺にも非はある。あの時最後までマナを送り届けていれば、マナが闇ギルドへ入る必要なんて無かったのかもしれないが、今となっては後の祭りだ。するとマナの表情は一変し、いつもの笑顔へと戻った。

「ジードと組んでからは安泰だったなぁ!彼には色々教えてもらったの。戦い方から生き抜く術も...薬草の知識は、全部彼の受け売りよ!」

「けど、どうしてあんた達は闇ギルドを抜けたんだい?」

今度はライトがマナに質問し、再びマナの表情は曇ってしまった。

「...ジードが逃してくれたの。一人前になった私がカタギの人生を歩めるようにね。私を無傷で<深淵>から抜け出す為に、ジードは片目を失い、親衛隊に捕まった...。私...いつもジードに助けられてばかりだった。」

「...うぅ...そんな裏話を聞かされちゃ僕...うぅ...泣けてくるぅ!」

マナの話にライトは涙を流した。するとジードがマナに近づいた。

「へっ。相変わらず下らねぇ事喋ってくれやがるな、マナ!殺すぞ!」

「へへっ。さっきは助けてくれてありがとう!」

「へっ。王都の薬云々はあのガキを雪山におびき出すデマカセだったと、カムロンが吐いたぜ。」

「...そうか。ならもう雪山超えをする必要は無いな。修道院へ戻ろう。ところでジード、<黒の祈り>って?」

「話は後だ。戻るなら早い方が良い。どれだけ生意気でも、ガキはガキだ。数時間も雪の中に突っ込まれてたんじゃ、体力が持たねぇぞ。」

「そうだな。ならユミは俺が背負うか...」

「ジードも一緒に行こう」

「何でだよ?」

「相棒でしょ?私達?」

「...へっ。」

マナの誘いにジードは嫌々ながらも応じた。こうして俺達の雪山超えは、途中下山という形で幕を閉じた。カムロン以外全員無事であり、ライトの目的であった"死神"ジードにも会えた上、ジードの真実を知る事が出来た。

ジードから聞かされた<黒の祈り>...黒死病が各地に蔓延したのと関係があるのか、そして"黒の魔女"...俺は黒幕が彼女でない事を切に願った。

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