二度目の雪山越え 後編
<レイス山中腹>
俺達は懸命にユミを捜索した。足元に十分気をつけながら且つユミが雪に埋もれていないかを確認した。先程の砦で休憩出来たものの、吹雪の寒さであっという間に体力を奪われていった。それでも俺達は懸命にユミを探した
「ユミー!どこだー!?」
「ユミ!お願い!返事をしてー!!」
俺とエレナが大声で叫んだが、吹雪の音にかき消されているのか返事は無かった。するとマナの声が聞こえた。
「スカイ!魔物よ!」
「くっ...邪魔だーー!!」
大した相手では無いものの、戦闘で時間を消費した事に変わりはなかった。俺達は更に進んでユミを捜索した。カムロンの報告から約2時間経過した。早く見つけ出さなければ、ユミが凍死してしまう...
「ユミ!ユミ!どこにいるの?おぉ...そんな...まさか...」
「エレナ、諦めるな!俺達が必ず見つけ出してみせる。約束したんだ...だから、絶対死なせてなるものか!」
「...よろしくお願いします。」
吹雪の勢いは収まる事無く、視界は当にホワイトアウト状態であった。するとレイラが俺に話しかけて来た。
「吹雪で視界が見えないわ!」
「手探りで探すんだ!動く物は何でも見過ごすな!」
「スカイ...ごめんなさい。」
「何だ急に?」
「雪山登山がこんなに過酷なものだったのね。それを知らずに、あの時私は...」
今回レイラも雪山超えに同伴した事により、過去の行いを反省した。あの頃の彼女は、予言書の回避しか頭に無かったからだ。
「今その話は後だ...。それなら俺だって、あの時殴って悪かった。」
「スカイ...。」
「過ぎた事は仕方ない。大事なのは今だ!早くユミを見つけよう。」
「えぇ!」
「おーい!生意気娘!どこだー?...こんなところでくたばるヤツじゃないだろ!?」
テトも懸命にユミを探した。吹雪の中を飛ぶ事はテトにとってとても厳しい筈なのに、テトも俺と同じ思いである事が分かった。すると、魔物がテト目掛けて飛び掛かって来た。
「危ない!!」
間一髪でライトがテトを守ってくれた。助けた拍子で軽傷を負ったものの、かすり傷程度だった。
「ライト!?お前、僕を庇って...」
「もたもたするな!早く僕のポケットに入れ!」
「う、うん...借りが出来たな。」
ライトに言われた通り、テトはライトのポケットに避難した。
「へへっ。僕だってやる時はやるんだ!」
次々と現れる魔物を片付けながら、ユミの捜索は続いた。しかし、雪に足を取られ、吹雪に視界を遮られ、捜索は思うようにままならなかった。焦りが不安を煽る中、俺達は必死にユミの姿を求め続けた。
「ユミ!どこだ!?...これだけ探してもいないなら、もっと遠くまで飛ばされてしまったのかもしれない。もう少し先まで探すぞ!」
<レイス山頂>
とうとう山頂まで辿り着いたが、それでもユミはおろか、"死神"の姿も見えなかった。団員達の疲労も限界まで達し、俺自身も諦めかけたその時、ライトの声が聞こえた。
「スカイ!前から人影が...」
「人影?こんな所に人なんて...」
「まさか?...あれは...」
俺の視界にも人影を捉えた時、マナが人影に向かって叫んだ。
「ジード!」
「あぁ!何てこった!!それじゃあユミはジードの奴に...」
ライトが最悪の結末を想像したが、俺もそうであった。自己満足の為に殺人を犯す奴には、女子供も無いと思ったからだ。
吹雪の中から姿を現したのは、"死神"の二つ名を持つジード=ヴィロウズであった。ユミを無造作に抱えて歩いて来る。固く閉じられたユミの瞼には、濃い影が出来ていた。
ジードとは王都の牢屋で会った事があったが、直接対面するのはこれが初めてだ。逆立った金色の短髪で短い顎髭、目つきが悪く右眼に眼帯をつけていた。そして右肩にハリネズミのような防具を付けていた。
「...」
「ジード!お前...まさかユミを...」
「どけ!」
ジードが俺を押し退け、倒れた俺の上にユミを放り投げた。そして奴は何故かカムロンに近づいていった。
「よぉ。俺の前で"殺人"とはナメた真似してくれるじゃねぇか?」
ジードの言葉に俺達全員が衝撃を受けた。




