表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
133/175

二度目の雪山越え 前編

1099年15日目

<レヴァレス山脈 アグナ山頂付近>

俺達はあの時と同じ雪山超えを目指していた。先頭を歩くユミを俺が守り、騎士団全員でライトやレイラ、エレナとカムロンを護衛していた。あの時と違って急ぐ事は無かったものの、もたもたしてると吹雪に体力を奪われてしまう為、ゆっくりと進む事は出来なかった。俺は幼いユミは勿論、一般人のライトの事が心配だった。案の定彼は最後尾を歩き、俺達に追いつくのがやっとだった。

「さ、寒い...」

「お前、引き返すなら今だぞ?例え雪山を超えたって、"死神"に会えるとは限らないんだぞ?」

テトがライトに説得するが、彼は首を横に振った、

「例えジードに会えなくても...皆頑張っているじゃないか!?僕だって何か手伝いを...うわっ!?」

ライトが深い雪の中に埋もれてしまった。まだこの辺りは大丈夫だが、先へ進むと崖などがあり、落ちたら一巻の終わりだった。

「チ、チビスケ!助けてくれ!足がはまって動けないよ!」

「ったく。手伝うどころか。足引っ張ってるじゃないか。」

テトが呆れながら、ライトを救出した。彼の真実を明らかにするという探究心は認めるが、正直俺は諦めかけていた。

「ライトには悪いけど、ここにジードはいないかもな。どうせ潜伏するなら、森の中や廃墟といった場所にいるんじゃないかな?」

「...でも...潜伏以外に目的があるとしたら?...彼はきっと来ている筈。何日だって粘っている筈よ。」

俺の予測に対し、マナが意見を述べた。彼女がここまで言うのは、"気"を読む事が出来るからであろうか...。

「随分詳しいな?ジードのフルネームなんて、俺も聞いた事無かったのに...」

「...彼は有名人だからね。」

すると俺達の前に魔物が現れた。だが最後の予言に向けて戦力を整えた俺達の敵ではなかった。


戦闘は10分程度で済み、魔物からのダメージは受ける事無く済んだ。

「皆無事か?いきなり魔物と出くわすなんて、あの頃と同じじゃないか。」

俺はもしかしたら<破滅の死者>のゼオン達が待ち構えいるのではないかと不安に思った。だが俺は心に誓ったのだ。もう二度あの悲劇をくり返すまいと...


<レイス山入口>

雪山超えもあと少しで半分というくらいにまで進む事が出来た。俺の記憶が正しければ、もうすぐ砦が見えてもいいくらいだ。俺はエレナにカムロンとの話を尋ねた。

「エレナ、修道院で話してた"王都の薬"って?」

「えぇ。カムロンが言うには、黒死病の特効薬が発明されたと...」

「そんな話...酒場や他の村や街じゃ聞いた事無いぞ?」

するとカムロンが俺達の会話に割り込んだ。

「...貴重な情報は、限られた人間にしか伝わらないものですよ。」

確かに彼の言う通りだった。黒死病の特効薬があると知れば...人々は死に物狂いで奪い合いをするかもしれない。しかし一体誰が特効薬を発明出来たのだろうか...

俺が色々考え込んでいると、ユミが笑顔で側に寄った。

「団長さん!さっきはありがとう。魔物に食べられちゃうかと思った。やっぱり"うでがたつ"ね!修道院の人達だけで来てたら大変だったよ。ねぇ?エレナもそう思うでしょ?」

「え、えぇ...まぁ...」

エレナははっきりしない応え方をして、俺達から離れて行った。

「...変なの。なんで"ありがとう"って言わないのかな?」

「大人は色々事情があるのさ。」

「ふぅん。...大人って面倒臭いんだね。あたしは大人になんかなりたくないなぁ。」

「まぁそう言うなよ。成長するのは、悪い事ばかりじゃないぞ?」

「そうかなぁ?」

「...大きくなれば分かるさ。だからユミ、生きろよ?最後まで生き抜くんだ。俺が守ってみせる。」

「うん!わかった。やくそく!」

すると再び俺達の前に魔物が現れた。先頭を歩いていたエレナの腕を、レイラが掴み引っ張った。

「ここにいては危険です!さぁ、こちらへ!」

「あ、ありがとう...」


戦闘が終わると、目の前に砦が見えて来た。

「良かった。まだ残ってたんだ...皆!あそこで休憩しよう。」

俺は全員が着いて来ているかを確認してから、砦に入る事にした。それにしても...砦と良い周りの岩の形と良い、まるであの時から時間が止まったように思えた。最後に砦の中に入ると、中も全く変わってなかった。団員達がそれぞれに休んだ跡、レミリアがヤエを治療した跡、そして...俺がエイドに殴り飛ばされた跡も残っており、微かに血痕が見えた。俺も疲れた身体を休めようと腰を下ろすと、エレナが俺に話しかけて来た。

「スカイ...大丈夫ですか?」

「あ、あぁ...ちょっと、昔の事を思い出してな...」

「私は...亡くなったレミリア院長から、あなたの事を聞きました。院長はあなたを恨んでませんでしたが、幼子の命を落としたあなたを...私は許せませんでした。何故辛い過去がある修道院へ来たのですか?」

「確かに俺にとってあそこは、踏み入れてはならない聖域だった。けど...俺には役目がある。」

「役目?」

「この世界を守り、守り抜いた世界で生きる事だ。それが俺と共に戦い、命を落とした者達への償いになると信じている。」

するとカムロンが慌ててやって来た。

「大変です!ユミが...」

「どうした!?」

「用を足す為に裏へ回ったのですが...私が少し目を離した瞬間に、吹雪にさらわれてしまいました!」

「おぉ!何て事...」

カムロンの言葉にエレナは卒倒してしまいそうだった。

「とにかく、すぐに探しに行くぞ!まだ遠くは行ってない筈だ。」

「足を滑らしていなければ良いのですが...」

「あまり悪い方へ考えないでくれ。皆、行くぞ!」

俺は団員達に号令を出し、エレナと共にユミを探しに出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ