再会
1098年1日目
最後の災厄まであと1年を切り、新たな団員を加えても育成する余裕は無かった。現時点で騎士団は俺とマナの他...魔女・魔術師・サムライ・僧侶・神官・アーチャー・ヴァルキリー・術者・冒険者・祈祷師の計12名となった。あと一人加えられなく無いが、入団希望者は来ていなかった。
「あと一人...前列で戦える人材が現れてくれればなぁ...。」
騎士団本部で考え事をしていると、マナがやって来た。
「今度の災厄は、今のままじゃ不安なの?」
「不安が無い訳じゃないけどな。精霊の加護を受けた団員が2組いて、何とかなりそうだ。」
そう...今の騎士団には切り札の精霊が2体いる。アーチャーと魔術師によるエアリーと、サムライと冒険者によるアマノミツルギだ。この2体をベルフェザード戦に使えば、苦戦を強いられる事は無い筈だ。
「やはりマナの言う通り...戦士でもいいから騎士団に加えるべきだったな...。」
「ふぅん...。」
「そう言えば。ずっと気になっていたんだが、マナが探している人ってどんな人だ?」
「えっ?えぇっと...髪が短いけど逆立ってて、短めのあご髭を生やしてたよ。そして金髪だった。」
俺はマナのヒントを基に似顔絵を描いてみた。美術の才能は今ひとつだが、特徴を描く事は出来た。
「目や鼻はどうだ?」
「目はキツイ感じかな?鼻はスカイと同じくらいだよ。」
俺はキツめの目と一般的な話を描いてみせた。髪型はウニのようなトンガリ頭にし、アゴの部分を黒く塗った。出来上がった似顔絵は不出来だったが、如何にも悪人面であった。
「こんな奴を探しているのか?」
「う、うん。そうだよ。」
「因みに名前は?」
「えぇっと...忘れちゃったかな?」
ウォルターへ行きたがらない時といい、探し人の名前を忘れたといい...マナは俺に何かを隠しているようだった。
1099年1日目
遂に予言の年となり、この日はフォレスの村に現れた魔物を討伐した。すると村の方から、見覚えのある人物が声をかけて来た。
「スカイ!やっと会えたな。」
「ライト!?何でここに...牢屋に入れられてたんじゃ?」
「いつの話だよ。それよりチビスケもいるのか?」
ライトがきょろきょろ見渡すと、ゆっくりとテトが現れた。
「僕に一体何の用だよ?」
「またお前に会えて良かったぁ。あぁ!そうだ。実は、スカイに伝えなきゃならない事があるんだ。」
「俺に?」
「レミリア修道院の長が、遂に黒死病で倒れたんだ。長は人々の信仰の象徴だったから、それが黒死病に倒れた事で人々は恐慌状態さ。この状況が続くとマズイ。長を助けてやって、皆に希望の兆しを見せてやってくれないか?」
「助けてやりたいのは山々だが...俺達はまだ黒死病の治療法を知らないんだ。それにあそこは...」
「?どうしたんだ、スカイ?」
レミリア修道院...あそこは俺にとっては、もう二度と足を踏み入れてはならない聖域だった。ライトは俺の様子を心配したが、話を聞いたテトがライトを疑った。
「おいお前!話は本当にそれだけか?」
「くっ、勘が鋭いなお前...実は雪山に、あの"死神"ジードがいるって噂を聞いたんだ。僕は...そっちの噂を確かめたいんだ!」
「お前まだ懲りてないのかよ!?今度会ったら間違いなく殺されるぞ!」
「それも覚悟の上さ!"世界に真実を伝える"...これが僕の信念だから!」
ライトの覚悟は本物だった。俺もジードが雪山にいるかを確かめてみたくなった。
「分かったライト、お前も一緒に来い。」
「本当かい!?ありがとう!」
「但し...これから修道院へ行って雪山を登る頃には、吹雪が吹き荒れているだろう...それでもいいのか?」
「あぁ...」
「分かった。」
俺達はライトを同行させ、先ずは修道院へ向かった。するとマナがライトに尋ねた。
「あの...ジードって...ジード=ヴィロウズ?」
「えっ?そうだけど、凄いね君!奴の名前を知っているなんて。」
「えっ?え、えぇ...」
「僕は必ず奴の真実を暴いてみせる。"死神"と呼ばれた殺人犯の正体を!」
「...」
その時、マナが一体何を思っていたのかは、誰にも分からなかった。




