表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/175

選択の代償と滅びの予言書

 僕らは必死に走った。僅かな望みと願いを信じて街まで持てる力を振り絞って走った。そして街の入口の門が見え、遂に辿り着いた。

しかしそこには残酷な光景が広がっていた。


 バルトウェイの街は、跡形もなく壊滅されていた。子供たちの無邪気な笑い声が聞こえていた住宅地も、鉱山で取れた鉱石を加工していた工場も、そして自警団の本部もそこにあった痕跡だけ残して無くなっていた。絶望に打ちひしがれる僕らの前にあの男がいた。

「遅かったなぁ。貴様らが来るまで待ってやったぞ。」

ゼオンとドラゴンが僕らの前にいた。そして僕らを更なるどん底へと突き落す言葉を奴は放った。

「今の貴様らでは退屈しのぎにもならんと思うが、この老いぼれよりはマシか。」

ゼオンの前に血の海に溺れたゴードンがいた。僕らの願いは呆気なく消えてしまった。

「前任の団長の為とかほざいて俺に挑んで来よったわ。大人しくしていれば楽に死ねたものを。」

「許さないぞ...よくも師匠を!!」

リーフがフィリンを剣を持ってゼオンに向かって駆け出した。

「待てリーフ!ゴードンの言葉を思い出せ!」

リーフは我に返り踏みとどまった。


『大切なのは引かぬ心、そして間合い。我を失った時が最期だ。』


その時、ゼオンの剣がリーフの目の前を横切った。

「ほう、命拾いしたか。まぁお前たちはいずれ死ぬ運命にある。少しその時が先延ばしになっただけか。」

そう言い残すとゼオンはドラゴンに乗り、空へと飛んだ。

「覚えておくがいい。この世界はあのお方によって滅びる運命だ。精々その時が来るまで生きるがいい。」

そう言い残すとゼオンは高笑いをして空の彼方へと消えていった。


 バルトウェイの住民達は避難用の洞穴にいたとはいえ、30人にまで減ってしまった。人々はゼオンが言い残した台詞のせいで生きる事を諦めかけている。そして少女フランの両親はドラゴンに殺されてしまった。僕らの「バルトウェイの住民が生き残っていて欲しい。」という望みは一応叶ったのであった。

僕は街外れの沼地へ来た。そこにはあの女性が待っていた。

「どうです。これがあなた方の選んだ結末です。最初から街に残っていればこんな事にはならなかった筈です。」

「あなたは一体何者なんだ。僕らに一体何をさせたいんだ。」

「この世界を救って欲しいのです。その為にあなたをこの世界に呼んだのです。スカイ、いえ天野秀哉。」彼女が僕の本名を呼んで驚いた。そして彼女はフードを取ると、眩い光に包まれた。

「私は女神、レイラ=アリステラ。創造神エルゼシオン様の命により、この地に召喚されたのです。」

琥珀色の髪と瞳、背中には純白の翼を持ち、金の髪飾りを付けた女性が目の前にいた。そして彼女の両手から1冊の本が現れた。

「受け取りなさい天野秀哉。これは世界に訪れる災厄を記した予言書です。最後に訪れる大災厄から世界を守るのです。」

僕は古ぼけた分厚い本を受け取り、流し読みをして内容を軽く見た。そして最後のページには短い1文が記されていた。


"1099年 世界が死ぬ"


「どうして僕なんですか?あなたか創造神でこの世界を守ってくれないんですか?」

「我々はこの世界に干渉出来ません。そして私には大災厄を祓う力が無いのです。」

「だから僕に戦力を集める様にしたのか。だからニックとゴードンを切り捨てるように告げたのか。」

「全ては世界の為です。そして今も刻一刻と滅びの時は近づいています。次なる預言は5年後ですよ。」

女神は淡々と話を進めた。僕は予言書を読んで内容を確かめた。古文の様な記され方だったが、内容は解読出来た。

「努々忘れないように。あなた方の行動に世界の命運がかかっている事を。」

そう言い残すと、女神は光を放って消えてしまった。僕は予言書を持ってバルトウェイへと戻った。


 僕は団の皆に今後の方針を提案し、僕が別の世界から来た事も打ち明けた。団員達は驚きと怒りを僕にぶつけた。

「副団長が別の世界から?んなアホな。」

「ふざけんな!俺達は故郷を失ったんだ。なんで余所の事まで守らなきゃいけねえんだ!!」

「どうせ世界が滅びるなら。このままでいいじゃないか...」

「その預言書が本当かどうか分からねえじゃねえか!」

こんな状況で僕の言葉を信じろと言うのは無理がある。その時フィリンが立ち上がった。

「僕は信じるよ。でなきゃ今頃この街に生存者がいる筈が無い。」

「俺も信じます。師匠も副団長を褒めてました。」

「俺達は予言書の一部を身を持って知ったんだ。スカイが何者だって俺は信じるぜ。」

「皆、スカイが何者だろうとも仲間だってあの時決めたじゃない。」

フィリン達が皆を説得する。僕は涙が出るほど嬉しかった。こんな気持ちは千年祭が始まる前以来だった。

「スカイ、次の災厄は何処で起きるんだ。」

「ここから北西にある街、水上街ウォルターだ。」

「その街なら俺知ってます。故郷の村からその街の時計塔が見えてました。勿論道も知ってます。」

「よし、じゃあそこへ向かおう。もう2度とバルトウェイの様にさせない為に。」

僕とフィリン、リーフが預言に立ち向かう事を決心してくれた。しかし、僕らの予想を裏切る言葉がガルドから発せられた。

「すまねえスカイ...俺は行けねえよ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ