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最大多数の最大幸福

 1007年15日目


 遂にこの時が来た。ゼオンという男がこの街を滅ぼすと予告してきた年だが、一体いつなのか奴は言ってなかった。この時の為に、街には避難用の洞穴を用意し、食料も約1週間分の貯蔵がある。本部で待機している団員達もいつも以上に魔物の襲来に警戒している。僕もゼオンとの戦いをイメージトレーニングしながら武器の手入れをしている。ほんの僅かしか戦わなかったが、何もしないよりは遥かにマシだった。

フィリンが団員達の健康状況を僕に伝えた。ゴードン以外は皆万全だった。だけどケーラとガルドが本部にいないのはどういう事だろうか?

 「皆、ガルドと女の子が魔物に攫われたわ!」

ケーラが息を切らして本部まで駆けつけて来た。なんという事だ。もしゼオンとドラゴンが来たら、今の戦力では不安だ。なんとしてでもガルド達を助けなくては。

「皆、今から2手に分ける。僕とリーフ、ケーラ他4名でガルド達を救出。スカイとゴードン達はここで待機。以上だ。」

「フィリン、スカイも連れて行け。その方が速く戻って来れるだろう。」

「でも万が一の事があったら。」

「いいから行け!それに今日奴等が来るとは限らんじゃろう。」

「ゴードンの言う通りだ。今ここでガルドを失う訳にはいかない。行こう団長。」

「分かった。直ぐに戻ってくる。だから無茶しないでくれ。」

「分かっておるわい。リーフ、フィリンとスカイを頼んだぞ。」

「分かりました師匠。」

僕らはゴードン他団員2名を残して、救出に向かった。


 僕らが街の入口に着いた時、あのフードの女性が待っていた。

「どこへ行くのですか。もうすぐ災厄が訪れます。」

「仲間と街の子供を助けに行くんだ。そこをどいてくれ。」

「あなたにとって守るべきは街ですか?それとも2人の人間ですか?」

「両方に決まってるじゃない。2人を助けたら直ぐにここへ戻るわよ。」

「それでは間に合いません。2人の為にこの街を犠牲にするとは正気とは思えません。」

「万が一奴等が来ても、それなりの準備を今日までしてきた。でも奴等と戦うには仲間を助けなきゃいけないんだ。」

「本当に愚かですね。ならば好きになさい。その代わり、何が起きても私を恨まないでくださいね。私は今日まで何度もあなた方に警告し続けてきたのですから。」

そう言い残すと、また彼女は突然消えてしまった。そして僕らはケーラの案内で魔物の元へと走り出した。


 僕はあの女性の言った事を何度も思い出した。本当に奴等が来たらどうしよう。街には避難出来る場所があるが、全員無事でいられるだろうか。僕らの選択は間違っていないだろうかと。

そうこうしている内に現場へと辿り着いた。魔物は巨木を持った巨人だった。


 【ジャイアント レベル02】

・体力120 攻撃08(怒りの一撃12) ・防御力06 ・素早さ 2.0 ・回復力 04

特徴・・・10秒間力を溜めた後の攻撃は威力2倍


やはり攻撃力が高かった。しかも威力の高い攻撃を仕掛けてくるのが厄介だ。攻撃力が高い術者を守り、リーフの遠距離攻撃、そして僕が敵を引きつけ体力の低い術者達に向かわないようにしよう。


 戦闘は思ったよりも長期戦となった。敵の守りが固いせいで高攻撃が中々通らず、術者を守ることにフィリンとケーラが奮闘した。僕も大剣で敵の体制を崩そうと試みるが、武器の巨木に吹き飛ばされてしまった。このままでは街に戻る時には皆疲弊して、ゼオンとの戦いどころではないと思った。しかしその時、僕の目の前をリーフが駆け抜けた。

「止せリーフ!早まるなぁ!!」

フィリンが叫ぶが止まらなかった。巨人は巨木を振りかぶろうとしたその時、リーフが短剣を巨人の目に向かった投げつけた。巨人は悲鳴を上げて体制を崩して仰向けになった。

「今です皆、一気に畳み掛けましょう。」

リーフの声に皆が一斉に巨人に向かった。術者とケーラは魔法攻撃を、僕とフィリンは剣で攻撃し続けた。何とか魔物を退治できた。そしてガルドと少女フランを救出できた。

「すまない皆、俺のせいで危険な目に遭わせちまったな。」

「ごめんなさい。今日お母さんの誕生日だから綺麗な花を摘みたかったの。でも一人は危ないからってケーラさんとガルドさんがついて来てくれたの。そしたら魔物が来て、私動けなくなっちゃって。」

「もういいのよ。2人が無事で良かったわ。」

「今回はリーフが機転を利かせてくれたお蔭で魔物を倒せたよ。ありがとうリーフ。」

「いやぁ、皆が命懸けなのに自分だけ安全な所にいるのが出来なくて。」

「リーフ、説教は後でしてやるから覚悟しとけよ。」

「すっすみません団長。」

皆が勝利の喜びに浸っていたその時、ガルドがどこかを指刺した。

「おっおい、なんだか煙が上がっているぞ。」

「あれは。まずい、街の方だ。皆早く戻るぞ。」

僕らは無我夢中に走り出した。早く戻らなければゼオンが街の人々を皆殺しにしてしまう。そして皆はある事を強く願っていた。

「ゴードン、僕ら(俺・私達)が戻るまで死なないでくれ。」

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