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女神と創造神 再び

1083年10日目

遂に術者ピックが退団した事で、騎士団に主力と呼べる団員が居なくなってしまった。精霊を呼べる団員も衰退期に入った事で戦力としては危険と判断し退団させた。そして現在の騎士団は俺の他は...騎士・僧侶・ヴァルキリー・サムライが1名ずつ。戦士・冒険者・神官・術者が2名ずつだった。入団希望者に欲しい人材が来なくなったのも黒死病等の影響なのかと思いながら、俺は各地に現れた魔物を今の団員達で何とかするしかなかった。


魔物討伐をすると共に街で情報収集を行うと、再びあの男の噂を耳にした。黒死病と同じくらい人々を恐怖させている犯罪者..."死神"ジードだ。

「今度は教会で祈りを捧げていた人々を皆殺しにしたそうだ。しかも今回は毒薬を使っていなかったそうだ。」

「という事はつまり...」

「あぁ。直接手を下したんだろうよ。あいつは血も涙も無い冷酷無慈悲な悪党だ。<深淵>もよくあいつを手懐けていられるなぁ。」

「ちょっと待て!?奴は<深淵>の人間なのか?」

「あぁそうさ。あんなのがのうのうと生きていられるのは、闇ギルド<深淵>のお陰さ。あそこは王都の親衛隊だって手が出せないくらいだからなぁ。」

<深淵>の名を聞くと、嘗て同じギルドに所属していたヤエを思い出す。彼女も昔は汚い金持ちの家を爆破する前科があった。だとするとジードという奴も、何らか理由があって殺人を犯しているのではと考えたが...毒薬を用いてまで大量殺人を犯す奴を美化する事はとても出来なかった。


騎士団が大陸中を駆け巡っている一方で、女神レイラは一人人気のない場所で創造神エルゼシオンと交信していた。目的は勿論、黒死病の勢いを止める術を聞く為だ。レイラは地上で起きた事を全てエルゼシオンに報告した。

『謎の伝染病か...』

「はい!人間達は黒死病の猛威に苦しめられています。このままでは人間達が全て生き絶えてしまいます。」

レイラは少しでも知恵を貸してもらえるように訴えた。しかしエルゼシオンは淡白であった。

『予言書には伝染病の記述は無い。余計な事に気をとられず、"アルバレスの正予言"を遂行せよ。』

「しかしエルゼシオン様...!」

レイラが必至に訴えるも、エルゼシオンは彼女に怒鳴った。

『何度も同じ事を言わせるな!!"精霊の門"が開きさえすれば、地上の穢れは浄化されるのだ。レイラよ、お前は人間達に影響されすぎておる。これ以上儂を失望させるでないぞ。』

そう言い残すと、レイラの交信は断ち切られてしまった。エルゼシオンの助力を得られなかったレイラをテトが心配した。

「レイラ様...大丈夫ですか?」

「テト...女神として生きるってどういう事なのかしらね?」

「僕は、迷ったり悩んだりする女神様もいても良いと思います。」

「ありがとうテト...。」

「おーい。レイラ!」

遠征から戻った俺は、レイラに進展がないか聞こうとしたが...2人の様子を見て大体の事を察した。

「スカイ...。」

「黒死病の対抗策は...見つからないようだな。」

「ごめんなさい。あなたは大陸中を駆け巡って魔物を倒しているのに...。」

「謝んなくて良いよ。俺も黒死病について何も進展していないんだからさ。」

「...。」

「...。」

暫く沈黙が続き、俺はレイラの側に腰を下ろした。

「スカイ?」

「何だよお前!?本部に戻んなくて良いのか?」

「少し疲れた。ちょっとくらい休ませてくれよ。」

「じゃあレイラ様の側にいるなよ!」

「レイラ...お前が消えるまでいるよ。それくらい良いだろ。」

「...えぇ。」

するとレイラも俺の側に腰を下ろした。テトも気を利かせたか分からないが、近くにいなくなった。お互い無言のまま時が流れていった。俺はレイラの顔を見なかったが、彼女が悲しんでいる事は確かだった。そんな彼女の悲しみを少しでも和らげてあげる事が出来たかどうか、俺には分からなかった。

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