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湾岸都市アトレアの災厄

1082年15日目

前回の予言からあっという間に過ぎたこの4年間、魔物以外の原因で世界は大きく変わってしまった。しかし俺達がやる事は変わらず、大災厄までの予言を一つ一つ回避するだけであった。

アトレア港で魔物の出現を待っていると、珍しくレイラが俺の前に現れた。

「災厄の時が訪れましたね。私達不死の命を持った者にとって、あっという間の時間ね。」

「けど...それはその感覚は不老不死でなくてもそうだよ。俺だって元の世界にいた頃は、1年があっという間に過ぎていったさ。災いと災いの間の間隔なんか、長いに越した事は無いんだからな。」

「そうね...そうでなくても人々は"黒死病"や魔物に苦しめられている。今の世界は生きるに厳しいのでしょうね。

「"生きるに厳しい"か...戦争があった頃は、皆そう思っていたのかな...。」

すると魔物が突然、海の中から現れた。不意を突かれた団員達は一斉に武器を構えた。

「スカイ!魔物が現れました。」

「来たか...行くぞ、皆!」


【オーガ 巨人族 レベル08】

・体力400 ・攻撃力14 ・素早さ7.0 ・防御力 16×2 ・回復力14

特徴•••2巡目に怒りの一撃(21〜28)、3巡目に力を溜めて倍の攻撃をする。


2回攻撃を防ぎ、回復力も中々高い。体力が29以上無い団員は、補助を受けなくては戦死する可能性大であった。

俺は前列を剣闘士・戦士・術者(ピック)・祈祷師。中列を俺と魔術師。後列をヴァルキリーにした。魔術師が祈祷師、祈祷師がヴァルキリーを補助する編成にした。体力が低いピックは1度だけなら耐えられるので、補助を付けなかった。そしてピックに持たせていた"石蛇の晶石"は魔術師に持たせた。晶石はあと2.3回の戦闘で壊れてしまいそうなくらいガタが来ていた。


聖炎騎士団と魔物との戦闘が始まった。ピックが先手を取ったものの、オーガの防御でダメージは半減された。続く戦士の攻撃はかすり傷程度であった。次に魔物の攻撃は戦士に向けられ、体力が残り20となった。次に来る怒りの一撃が戦士に向けられたら、戦士は命を落とす。そして剣闘士が攻撃し、祈祷師が魔物を石化させた所で1巡目が終わった。

俺は戦士と魔術師に指示を出し、精霊を呼び出してもらった。空に現れた魔方陣から、全身に炎を纏った鬼神...精霊インフェルノが現れた。精霊が雄叫びを上げとてつもない業火を魔物にぶつけると、石化した魔物は大ダメージを受け、動きを封じるバリアーを張った。

2巡目に入りピック・戦士・剣闘士・祈祷師の順で攻撃し、魔物の石化も解けて戦闘が終わった。次に魔物は力を溜めてからの倍攻撃をする。魔物の力溜めを阻止する事は出来ないが、2回防御を終えた魔物にダメージを与えるチャンスを逃したくなかった。俺は隊列を変更しなかった為、後列で回復を続けていたヴァルキリーは魔物の急所に必中する事が出来ていた。

3巡目に入り、再びピックと戦士が攻撃した。魔物は地団駄を踏んで力を溜め、後の剣闘士・祈祷師の攻撃を受けた。この時点で魔物の体力は1割程となり、あと一息であった。俺は隊列を変え、ピック・祈祷師・魔物が自回復を行った。

そして迎えた4巡目。ヴァルキリーの攻撃は防御されたが、魔物の回復力以上のダメージを与えた。次に俺は剣闘士の支援を受けて攻撃し、これも防御されたがダメージを与えられた。そして魔物の倍攻撃は俺に向けられ、結構なダメージを受けた。最後に魔術師がアイテムの効果で魔物を石化させて戦闘は終わった。魔物の体力は残り僅かとなり、隊列を変えずに戦闘を続け、ヴァルキリーの一撃で魔物を倒す事が出来た。


「やった...これで予言は回避だ。」

団員達に労いの言葉をかけ、すぐに王都へ戻る準備をさせた。するとレイラが俺の側に現れた。

「スカイ...私からもあなたに労いの言葉をかけてあげたいけど、その前に予言書を開いて下さい。」

レイラの言う通りに予言書を開くと、1082年の予言と内容は変わっていた。しかしその後の予言を目にして、俺の中にある達成感が無くなってしまった。

「次の予言は...1087年!?しかもその次の予言は1092年で、またここに災厄が来るのか!?」

「5年後の予言は破滅の予言とは関係無いですが、10年後の予言を回避出来なければ、世界の流れは悪化してしまいます。」

「くそっ!俺達が必死に戦ってもたった5年しか魔物の勢いを止められないのか!?このままじゃ本当に大災厄が来る前に世界が滅んじまうよ!」

俺は本心をありのままに話した。ゴールが目の前にまで見えているのに中々辿り着けないような焦りによるものか、それとも大陸中で蔓延する黒死病の勢いで大勢亡くなる人々を見て来た事による憤りなのか分からなかった。そんな俺を見てレイラは俺の肩に手を乗せ、真っ直ぐな瞳で俺を見た。

「諦めてはなりません。これはあなた一人の戦いではないのです。小さな災厄から伝染病まで...全ての災厄から人々を守りましょう!」

「レイラ...そうだな。俺が諦めたら、今まで共に戦って来てくれた仲間達に申し訳ない。やってやる...俺には無限の体力と不老不死があるんだ。必ずこの世界を救ってやる!!」

俺は水平線の彼方に向かって決意を叫んだ。 そのせいか少しだけ気持ちがスッとし、皆の元へ向かおうとした時、船着場で一人蹲っている子供がいた。

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