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広まる世界終末信者

1078年250日目

以前王様が言っていた通り、俺達の遠征中に野盗と遭遇する事が偶に起きた。とは言え、主犯である魔物を倒せば戦闘は終了するのでそこは有り難かった。遭遇する野盗も大した事がない編成を組む事も有れば、全力攻撃の編成を組む時もある。或いは前列が倒されるのを利用して、中列にアーチャーが構えている編成を組んでいる時もあった。同じ人間同士で争うのは心が痛むが、説得で何とか出来る訳でも無かった。

もう一つの不安はやはり黒死病の事だった。俺は団員達一人一人に、マスクと手袋を着用することを強く呼びかけ、団員間の貸与を固く禁じた。黒死病が空気感染する物なのか、或いはダニやネズミ等を媒介にして拡散する物かを調べる術は騎士団に無かった。今俺が団員達にしてやれる事は、手洗いうがい等の最低限の感染予防くらいしか無かった...。


1078年300日目

この日は要塞都市グラディウスへと訪れた。ルースは自警団を引退し、エレナと共に成長した子供達と過ごしていた。そしてルースの案内で、俺はガイラスの墓参りをした。

「ありがとうルース。ガイラスは幸せな人生を送れただろうか...。」

「勿論ですよ。聖炎騎士団に入団出来て、最期はエレナの笑顔を見届けて逝ったのですから...。」

「ありがと、おじちゃん...。」

街へ戻ると何やら人集りが出来ていた。俺は遠くから様子を見ると、そこにはアバトの行人がいた。

「世界は破滅へと向かっております。希望を持つ事は無意味です。全てを諦め、望みを来世に託しましょう!」

黒ローブの男が演説を終えると、人々は拍手をした。俺は見ていられなくなり、すぐにその場を去った。

「大丈夫ですか?スカイ団長。」

「あぁ。まさかこの街でもあいつらがいるなんて...。」

「最初は自警団も奴等を取り締まっていたのですが、来る日も来る日もあんな事を聞かされて、自警団もやる気をなくしてしまったんです。」

「この街の人々は、どれくらい奴等の考えに賛同しているんだ?」

「恐らく...いえ、もう半分は奴等の信者になっていると思います。俺もエレナも、子供達が影響されないようにするのが精一杯です。」

「そうか...ありがとうルース。俺達もすぐにでもこの街を出るよ。最期まで諦めるなよ。」

「はい!お義父さんに恥じないようにします。」

ルースと別れ、一人街を散策していると、レイラとテトが俺の前に現れた。

「スカイ見たか?アバトの行人に拍手する人々の数を?」

「あぁ見たよ。ルースの話じゃ、この街の半分は奴等の信者だ。」

「黒死病の猛威によって、人々が生きる事に絶望しているのですね...。」

「それでレイラ、黒死病について何か分かったか?」

俺の質問にレイラは目を閉じて首を横に振った。

「ごめんなさい。まだ原因が分かってないの...。これでは治療法も見つけられないわ。」

「そうか...俺は最低限の予防策を団員達にとっている。万が一感染者が出てしまった時は、俺が何とかする。」

「気をつけろよ!お前は不老不死であっても、疲労が溜まれば倒れちまうんだからな!」

「分かってる。引き続き魔物討伐は俺に任せろ。レイラも余り無理するなよ。」

「えぇ。」

レイラとテトと別れた俺は、すぐに団員達に出発の準備をさせた。アバトの行人の影響が、団員達に及ばないようにする為だ。災厄の時まで残り約3年...何とかしなくては、大災厄の前に世界が死んでしまう。

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