第4次ベルフェザード戦 後編
<破滅の死者>ゴルゾフとの戦いから間も無く、聖炎騎士団と魔将ベルフェザードとの戦いが始まった。先手はツルギが取り、次にベルフェザードが攻撃をして来たが、魔騎士の補助のお陰で剣闘士のダメージは軽減された。最後に剣闘士が攻撃して1巡目の戦闘が終わった。俺はすぐに隊列を入れ替えたが、ツルギと剣闘士は回復出来なかった。対してベルフェザードは少し体力を回復して2巡目の戦闘に入った。
奴より速いピックが先手をとり、"石蛇の晶石"の効果で石化した。そしてリリス・俺・魔騎士の順で攻撃して2巡目が終わった。
俺は隊列を変えずに戦闘を続けた。そしてサムライと魔騎士に指示を出し、2人は詠唱した。すると頭上に現れた魔法陣から鋭い刃を持った蛇...アマノミツルギが現れた。精霊はその刃でベルフェザードに大ダメージを与えると眩い光を放って姿を消した。すると精霊のお陰で急に身体が軽くなった。
3巡目に入り、ピックの攻撃でベルフェザードの石化は解けた。しかし精霊の力で素早さが倍増した事で、残りの3人が続く事が出来た。そして奴が複数攻撃を繰り出し、最初の一撃は魔騎士に当たった。その後俺が2回、リリスが1回攻撃をくらって戦闘は終わった。
俺は隊列を変え、ピック・リリス・魔騎士が回復を行い、奴も回復し終えて4巡目に入った。奴はこれと次に体力吸収攻撃をする為、サムライが瀕死になっても隊列を変えなかった。5巡目が終わった時点で奴の体力は残り僅かとなり、最後は剣闘士の一撃で倒す事が出来た。
「これで...破滅の予言は回避出来たな。」
「此度の戦いは、手強いものでござったな。」
「スカイ...戦死者の墓は、村の人達が建ててくれるそうだ。」
「そうか...俺のせいで大切な仲間が...。」
「それは違いますよ!俺達だって、今回の戦いには命がけだったんですから!」
「そうですぞ団長殿、私はこの戦いで死ぬ覚悟でありましたぞ。」
「魔物倒した!皆頑張った!それで良い!」
「ありがとう皆。一人一人の力はとても小さいけど、一つに合わされば大きな力になる。それが俺達騎士団の...いや、人間の力なんだ!大災厄まであと20年、それまで頑張ろう!」
「おおおおぉぉぉぉーーー!!」
今回の戦いで、俺は改めて人間の強さを実感した。そして騎士団の名前の意味を思い出した。一人一人が持つ小さな火が合わさる事で大きな炎となり、聖火のように新たな勇者達に託し続けていく。最初はカッコ付けた感じがあったが、今では誇らしく思えるくらいになった。
1078年50日目
王都に帰還した俺は団員達から離れ、レイラの元へと向かった。そして彼女は俺を待っていたかのようにそこにいた。
「ゴルゾフとベルフェザードを倒せたようですね。」
「けど...奴はまた蘇る...。それにゴルゾフの最期の言葉の意味...まだまだ気が抜けないよ!」
「それでも貴重な一歩です。倒さねば全てが終わりなのですから。」
「今更だけど、過酷な戦いだよな。」
「けれども、その戦いもあと20年です!頑張って下さい!」
レイラの励ましに、俺は思わず吹き出してしまった。
「"頑張って下さい"か...下手な励ましだな。」
「まぁ!酷い!」
「慣れない事をするからさ。レイラはいつもみたいに、俺の尻を叩いてくれればいいのにさ。」
「私...あなたを馬車馬のようにしているつもりは...。」
「自覚してなかったか?」
「もう!知りません!!」
レイラが怒って姿を消してしまった事に、俺は慌ててしまった。
「ま、待ってくれよ!」
「何ですの!?」
再び姿を現したレイラの顔は怒っていたが、俺は深呼吸して心を落ち着かせた。
「ありがとう。80年も俺を支えてくれて。」
「な、何ですか急に?」
「本当は出発する前に言おうと思ったけど、やっぱり災厄を回避出来てからにしようと思ってさ。」
「スカイ...。」
「大災厄まであと20年、これからもよろしくな!」
「はい!」
俺とレイラは握手を交わし、共に災厄を乗り越える事を改めて決意し合った。
{異世界から来た青年が現れた999年のバルトウェイ襲撃より80年。この長い間、騎士団は休む事無く前進し、活躍の場を大陸全土に広げていた。文字通り、世界を、股にかけ魔物を倒し続けてきたのである。気の遠くなる年月踏み越えて来た騎士団にとって、大災厄の時は"もうまもなく"と言ってよかった。
だが、そんな彼らのやる気持ち嘲笑うかの様に、不吉な影が立ち昇る。"ベルフェザード""<破滅の死者>"といった予言の魔物は勿論の事、疲弊した人間達の中からも世界を揺るがす不穏な動きが見え始めていた。}
災厄を乗り越え、戦死者への追悼とベルフェザードを倒した勝利を祝う宴を終えた後、団員達は倒れるように深い眠りに就いた。だが一人だけ月を眺めている者がいた。俺は静かにその者の隣に近づいた。。
「隣...いいか?」
「スカイ殿...。」
月を見ていたのはツルギであった。俺は彼の隣に座ると、懐から瓶を取り出した。
「ツルギはこれが好きだとアリアから聞いたよ。」
「これは...清酒?」
俺は2つの御猪口に清酒を注ぎ、1つをツルギに勧めた。
「1杯どうだ?」
「拙者は構わぬが、スカイ殿は...。」
「俺だってもうすぐ90歳になるんだ。それに...頼むよ。」
俺はツルギに言おうとした言葉を止めて、ツルギに飲酒を頼んだ。この世界では未成年の飲酒は法律で禁じられる程では無いが、常識的にはアウトだからだ。
「1杯だけでござるぞ。」
「ありがとう。」
俺とツルギは御猪口を合わせ、一気に飲み干した。水のように飲めたが、喉に残る違和感に俺は苦い顔をした。
「やはりスカイ殿にはまだ早かったようでござるな。」
「あぁ...確かに"1杯"だけで充分だ。」
「...。」
「...。」
暫く沈黙が続いたが、俺が平静を取り戻した時にツルギが俺に向けて正座し、頭を深く下げた。
「スカイ殿、今日まで誠にありがとうございました!今後拙者はフェルメアへ戻り、アリア殿の護衛の任に戻るつもりでござる!」
「そうか...俺の方こそ今まで本当にありがとう。20年以上も俺を支えてくれて。ツルギがいなくても、残りの20年を何とか乗り越えてみせるさ。」
俺とツルギは共に握手を交わし、それぞれの使命を全うする事を誓い合った。
「スカイ殿...いや、天野殿。御武運を。」
「ありがとうツルギ。アリアと幸せになれよ。」
退団者•••ツルギ




