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閑話 代償

1075年1日目

災厄まで残り3年となったせいか、レベルは低いが魔物が1年間に各地で計3体も出現する事もある。出来れば魔物を1体倒したら王都へ戻りたいのが本心だが、魔物に村を壊滅される前に到達する為には1年以上王都へ戻らない場合もある。

1075年80日目

この日は去年の35日目に出発し、あと100日遅かったら魔物に壊滅されていた村にいた。住民達の必死の抵抗が村の様子で一目瞭然だった。

「聖炎騎士団様、ありがとうございます。お陰で村は救われました。」

「いえ...こちらこそ...遅くなって...申し訳ありません。」

「団長様、顔色が良くありませんぞ?宜しければ少し休んでいかれませぬか?」

「お気持ちだけで充分です。俺達はこれから王都へ戻るので大丈夫です。」

俺は村長に別れを告げ、王都へ戻る準備を進めた。その時突然、俺の足に力が入らなくなり、膝を着いてしまった。

「スカイどうした!?大丈夫か!?」

「あっあぁ...大丈夫だ。ちょっと気が緩んでいたかな?すぐに王都へ戻らないとな。」

「スカイ、王都まで約80日はかかるのだぞ!村長の厚意に甘えても良いではないか?」

「スカイ殿、リリス殿の言う通りでござる。以前も申し上げたが、己を労わる事も必要だぞ。」

ツルギとリリスの説得により、俺は村で1泊してから王都へ戻る事にした。それにしても...今までこんな事は無かった筈なのに、どうしてしまったのだろうか...?


1075年90日目

遠征から戻り、俺はいつも通りレイラに討伐報告をしていた。レイラはベルフェザードに向けて戦力を整えるようにか、魔物の勢いが増しているなどといった忠告をしてくれている。だが、今の俺はそんな彼女の言葉が頭に入って来ない程不調であった。

「どうしたのですか、スカイ?顔色が悪いですよ?」

遂にレイラにまで言われてしまった。俺は素直に自分の不調を打ち明けた。するとレイラは少し考え、俺に幾つか質問した。

「不調はいつからですか?」

「一昨年に"石蛇の晶石"を取りに行った時からだな。」

「思い当たる節はありますか?」

「魔物の攻撃を補助無しで受け続けた事かな?あの洞窟では、普段の倍の疲労を負うと噂だったから...。」

「魔物との戦闘では、補助を受けずに攻撃を受ける事が多いのですか?」

「多いというか...いつもだな。俺は体力だけが取り柄の戦士だからな。」

そして質問を終えたレイラは少し目を閉じ、真剣な眼差しで俺を見た。

「断言します。スカイ、あなたに癒えない疲労が溜まりきっています。」

「疲労!?」

今まで感じた事が無かった疲労が溜まっている事に俺は驚いた。それと同時に、重い病を患ってしまったのではないかと不安に思っていたので拍子抜けしてしまった。

「疲労なら1晩休めば消えるものじゃないのか?それに"癒えない"って、どう言う意味だよ?」

「あなたには確かに体力があります。しかし、それは不老不死とはまた別...無限ではないのです。」

「俺の体力が衰えているのか?」

「いいえ、不老不死のあなたが衰える事はあり得ません。ですが...戦い方を変えなければ、いつかあなたが倒れてしまいますよ。」

レイラの言葉が重く俺の心に突き刺さった。今まで自分が団員を守る為に負って来た代償が、遂にやって来てしまったのだと俺は実感した。だがそれと同時に、今まで仲間達に気をつけるようにと忠告されて来たのをほったらかしにして来た自分に対して後悔してしまった。


騎士団本部に戻り、俺は団員達に事情を説明した。騎士団に入って長い者は分かってくれたが、短い者達は不満そうだった。

「確かに団長が戦闘で倒れたらお終いだけどさぁ...。」

「団長は補助能力が無いしなぁ。」

「俺達だって命がけで戦っているのにさ!」

彼らの不満はもっともだった。今更になって自分が"戦士"である事が悔しくて堪らなかった。もしも俺が騎士や冒険者であったならば、説得出来たのかもしれない...。

「スカイ殿。今後は魔物に狙われ難い位置で戦えば、補助を受けずとも良いのではないだろうか?」

「要するに、今後スカイが無理をしない編成を組めば良いのだ!それならば問題無いだろう。」

「スカイ平気!ピック強い!」

「あぁ...ありがとう。今後は俺自身にも気をつけて編成を組む事にする。だから...どうか俺を信じて欲しい!皆に負担をかけないよう、最善を尽くす!」

俺は頭を深く下げて納得してもらえるようにした。


{予言の年まであと3年。}

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