死闘に向けての戦力強化
1071年15日目
次の予言で現れるベルフェザードと、ゼオンの他<破滅の死者>との戦いに向けて、俺は理想の編成を考えていた。
先ずはベルフェザード戦に於いては、複数攻撃の後の2度に渡る体力吸収をどう対処するかだ。一番は複数攻撃に耐えて体力吸収で奴の回復量を少なくさせる事だが、戦士並みの体力で術者並みの自回復を持った団員はいない。
次に<破滅の死者>戦だ。ゼオンはバルトウェイで一度戦った事があるが、あんなのは今度の全く役に立たない。
ギルはその時になってみなければ対策を考えられないが、ゴルゾフは大体の予想がついた。奴は恐らく、過去にフェルメア監獄塔で戦ったアークデーモンと同じ特徴を持っていると考えた。となると厄介なのは石化攻撃の後の複数攻撃だ。石化され複数攻撃を全て受けると、俺以外の団員は間違い無く戦死する。そして奴が"体力の低い者を狙う"癖を持っていたら、尚更編成には細心の注意を払わなければならない。
最後に気になるのは、どちらかの戦いを終えた後の団員の疲労度だ。幾ら絶好調の団員でも、ダメージを受け過ぎれば絶不調となり、実力の半分も引き出せなくなってしまう。ツルギ・リリス・ピックの3人が万が一絶不調となってしまった場合の対策も考えなければならないとなると、頭がパンクしそうだ。
「団長、ちょっと良いですか?」
団員の声が聞こえて少し驚いたが、直ぐに気持ちを整えて話を聞ける姿勢にした。
「ど、どうしたんだ?」
「実は最近、ソシエラが元気無くて...どうしたらいいですか?」
ソシエラとは今騎士団にいる僧侶の事であり、相談に来た団員アーチャーと同じ隊列に組む事が多い。
「原因はやはり...今度の予言の事か?」
「多分そうなんです。あの人には色々良くしてもらっているし、戦闘でも回復してもらっているので、何とかしてやりたいなって...。」
「まぁ今度の戦いに不安になるのは仕方ない。俺だって<破滅の死者>と戦うのは今回が初めてだ。けど...俺は臆病になるのは悪い事じゃないと思う。」
「えっ?」
「俺は体力しか取り柄のない戦士だ。なのにもう70年も騎士団の団長で居られるのは、お前やソシエラ、ツルギ達の協力があったからこそなんだ。自分の力量に不安を感じても、それを補い支える戦い方をするのが俺達のやり方だ。だから心配しないでくれ。俺達なら勝てるさ!」
すると突然拍手の音が聞こえ、それと共に僧侶のソシエラが入って来た。
「中々の力説でありましたぞ。団長。」
「ソシエラ!?」
「確かに団長に比べれば、私は味方を支え、回復させる事に長けております。それなのに己の力に不安を持つなど、贅沢な悩みでしたな。」
「ソシエラ...あの...俺...。」
「エドウィル...何も言わなくても良い。お主とならば、どんな魔物にも負ける気がせぬ。」
「ありがとう、ソシエラ!」
思いのほか早く団員の悩みが解決して俺はホッとした。そしてエドウィルとソシエラの間に、強い繋がりが出来た事を確信した。
1071年300日目
アクラルイスにある街ヴェラに出没した魔物を討伐し、王都へ戻って来た。団員達の様子をチェックすると、期待通りエドウィルとソシエラに精霊の加護が付与されていた。
【エアリー:大ダメージを与えると共に、前列にいる者達に急所攻撃付与】
精霊の効果も中々良かった。だがそれでも不安要素はあった。それはエドウィルとソシエラの衰退期だった。前者は予言の年まで問題無いが、後者は3年前に衰退期を迎えてしまう。戦闘で精霊の力を借りるには、2人を編成に加えなければならない為、再び対策を考えなくてはならなかった...。




