#9
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「アラインメントが必要なのは俺かもしれない……。」
仕事を終え帰宅した悠真は上着を着たままベッドに突っ伏して呟いた。
枕元で寄り添うようにアイビックが話しかける。
「バイタルデータの値はこの半年間、正常値を保っています。心配いりませんよ。」
「心配だよ!猶予時間が10秒も縮まったんだぞ!」
「あなたの年齢からすると猶予時間9秒はまさに平均値です。心配いりませんよ。」
同じ言葉を繰り返すアイビック。
少し恨めしげな目線を送ってから悠真は答えた。
「美咲さんのことも心配だ。アラインメントが外れたら……。」
「美咲さんはきっとあなたと同じ部署に移籍したいんですよ。」
アイビックが耳元で答えた。
「どうして?俺なんか別に特別なスキルもないんだよ?」
「特別なスキルがあったら納得がいくのですか?」
「そりゃあそんな奴がパートナーだったら自分のスキルアップにも繋がるんだから当然でしょう。俺なんかと一緒にいたってメリットなんかなんにもないよ。」
「悠真。あなたは今かなり視野が狭まっていますね。もっと俯瞰して見ることをオススメします。」
「どういうこと?」
「腹ペコで死にそうなのに深い森の中にいると自分がどこにいるのかさえ分からなくなる。でも木に登って、てっぺんから辺りを見渡せばすぐ近くにレストランがあることが分かるようになる。」
「何その微妙な例え。」
「本能。個性。親密。どれも感情に突き動かされる衝動的な現象のように思われますが、それはあなたがその渦中にいるからです。
一歩引いてその現象を客観的に見ることができれば、自由意志でさえ大いなる意志によってコントロールされていることが、きっと気づけますよ。」
「もうちょっと具体的に言って。」
「美咲さんは悠真のことが好きなんです。そして悠真。あなたも美咲さんのことが好きなんです。」
悠真はフリーズした。
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