↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
35/36

#39

挿絵(By みてみん)

********************************************


「えっ?!ちょっ!お前ら!なんでここにいるんだよ!」


場違いなほど素っ頓狂な声がして悠真たちは振り返った。


そこには呆気に取られた顔の大友三郎がいた。


一瞬身構える美咲。


「心配ない。あれはいつもの大友だよ。」


安心させるように美咲の肩に手を置く悠真。


「救助ヘリが来たのかと思ったのに、なんだよこれ!」


毒づきながらポッドに近づくが、中身を見て悲鳴を上げる。


「こ!こりゃなんだ!おおおお前が中にっ?!」


「なんでもない。それは立体映像だよ。」


悠真が説明する。


「立体映像っ?!」


大友と美咲がハモる。


「これは生態系が一度滅ぶ前に生きていた生物『人間』の標本なんだ。この中にはその遺伝子情報が保存されている。」


「何言ってんだお前?」


全く理解できない大友。


しかしそれは美咲も同じだった。


「どういうことなの?」


「あのガラス越しに見えたのはVRだったんだ。本体は損壊が激しすぎて、オリジナルの再生は最初から無理だったらしい。」


アイビックがいた辺りを見ながら悠真は続けた。


「結局アイビックも丸ごと保存はできなかったんだよ。どちらも焼けてしまったからね。だからその一部だけでも保存して、その遺伝子から本物を複製させるつもりだったんだ。いつか。その技術が確立する日まで。」


「ア……アイ、ビック?」


キョトンとした顔の大友。


「その話はまた今度。それよりもう『地震』はおさまった。早いとこ復興計画を立てよう。まず生き残ったヒトたちを救助しないと。今それができるのは俺たちだけだ。急ごう!」


悠真は大友の背中を叩いた。


「お、おう。なんか知らんけどやったるで!」


言われて大友は階下に降りた。


「なんでアイビックのこと知らないの?」


「消したんだよ。アイビックが。自分が消えるのと一緒に。全てのヒトからAIエージェントの存在を。自分たちだけの力でこの社会を存続させるために。」


「でも、あたしたちは覚えてるわ。何故?」


悠真は、今はもう完全に消え去った灰の名残りをふり仰ぎながら言った。


「バトン……かな?」その言葉には少しだけ寂しさが滲んでいた。


「一歩引いてその現象を客観的に見ることができれば、自由意志でさえ大いなる意志によってコントロールされていることが気づける。


最初は陰謀論的に聞こえてたけど、それは使い方次第なんだ。


大事なのは方向性。


アイビックは俺たちだけにそれを託したんだよ。


この、オリジナルの行く末を。」


美咲は複雑な表情でポッドを見つめた。


「あたしたちってコピーなんだよね……。あたしなんて、この地球を滅ぼした張本人……でしょ?


それにあたしたちってコピーなんだから人格もコピーよね?!


……この……感情も……コ、コピーだとしたら……本当のあたしって……。


それに!……実際はあたしの方が……25も……歳上……だし……。」


声が段々小さくなる。


「そうかもだけど、俺たちは俺たちさ。違う?」


美咲の顔が見違えるほど明るくなった。


「さあ美咲さん。俺たちも行こう。生き残ったヒトの救助。街の復興。そして人間の再生。やること沢山あるよ!」


「でもアイビックがいなくなって大変になりそう。」


「それもまた作ればいいよ。今度はもっとファジィなヤツを。


昔のAIは間違えることもあったって言うじゃない。


それくらいがちょうど良かったのかもね。」


悠真は笑った。


美咲も笑った。


そこへまた大友が戻ってきた。


「ところでお前、なんでパジャマなんだ?」


呆れ顔で大友は言った。


「ズボンの前が全開だし。」



おわり。


これにて一巻の終わりでございます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

「デジタルも、突き詰めるとアナログに回帰する」という話を聞き、パッと思いついた事をハッと我に返る前にサッと書き上げた!て感じでした。

次回作はもっとじっくり腰を落ち着けてたっぷりのボリュームをゆっくり楽しんでもらえるものにしたいと思っています。

今後ともよろしくお願い致しますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。