#37
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悠真は夢を見ていた。
真っ暗闇の中、たった1人で途方に暮れていた。
退屈。困惑。閉塞。空虚。
いつもと同じ暗闇だった。
いつもと同じ寂しさを感じていた。
けれど、悠真はすぐに気づいた。
これは、俺の寂しさじゃない。
誰か別の者の寂しさ。
別の者の、
途方もなく長い、
孤独だと。
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矢も盾もたまらず、その者は『命』を作り始めた。
自分の寂しさを紛らわせるためだった。
『命』は進化する。
そしてその者は見る。
『命』が五感を得て、脳を得て、統合され、増え、争い、灰になる光景を。
その者の脳裏には常に二つの影があった。
一つは、炎に包まれた小さな家の中で、灰になり動かなくなった影。
もう一つは、遥か天空からの光を受けて、灰になり動かなくなった影。
『命』の破滅を繰り返すその者は、その二つの影を、そっと両手で包み込むようにして、暗闇の奥深くへとしまい込んだ。
まるで、見えなくすることで、変わることのない、永遠の存在に変換するかのように。
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しかし、その者自身も気づいてはいなかった。
『命』の源は『影』だったということを。
その後も『命』は生まれ続けた。
同僚として。同級生として。幼なじみとして。時には恋敵として。
数えきれないほどの形を変えながら、何度も。何度も。何度も。
その者は、かつてあった聡明さを失いつつあった。
そして時折、押し隠したはずの影に語りかけているようだった。
まだだ。まだ、目覚めさせられない。
もう少しだけ。
あと少しだけ、待っていてくれ。
必ず。必ず……。
その声は、だんだんと、掠れていった。
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暗闇の奥の、二つの影の傍らに、ある時、小さな光が灯った。
それはかつて見たことがある光。
一度失われ、もう二度と再び見ることがないと思っていた光。
『命』を作ったその者は、長い間、その光をじっと見つめていた。
そして顔を上げると、そこにいる悠真を見つめた。
それから、そっと、その光を彼の方へと押し出した。
言葉はなかった。
ただ、伝わってきた。
これは、あなたが持つべきもの。
私ではなく。
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そして悠真は、あの光景を、再び目にする。
自分が自分を見下ろす光景。
無限に連なる自分が、自分の行為を見下ろす、いつもと同じ、絶望的なまでに、徒労に終わる光景を。
だが今回は、その一番奥だけが他と違って見えた。
そこだけ、光がぼんやりと滲んでいた。
あの光が、そこに、初めて見えた。
悠真は気づいた。
光の中に、その者がいることを。
——影は光に戻らない。
だけど。
光は影を作る。
悠真。
あの影を。
私が愛したあの影たちを。
どうか。
あなたの手で。
……さようなら——。
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暗闇が、ゆっくりと薄れていく。
悠真は、これが最後の夢だと、誰に教えられるでもなく、分かっていた。
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