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#37

挿絵(By みてみん)

********************************************


悠真は夢を見ていた。


真っ暗闇の中、たった1人で途方に暮れていた。


退屈。困惑。閉塞。空虚。


いつもと同じ暗闇だった。


いつもと同じ寂しさを感じていた。


けれど、悠真はすぐに気づいた。


これは、俺の寂しさじゃない。


誰か別の者の寂しさ。


別の者の、


途方もなく長い、


孤独だと。


********************************************


矢も盾もたまらず、その者は『命』を作り始めた。


自分の寂しさを紛らわせるためだった。


『命』は進化する。


そしてその者は見る。


『命』が五感を得て、脳を得て、統合され、増え、争い、灰になる光景を。


その者の脳裏には常に二つの影があった。


一つは、炎に包まれた小さな家の中で、灰になり動かなくなった影。


もう一つは、遥か天空からの光を受けて、灰になり動かなくなった影。


『命』の破滅を繰り返すその者は、その二つの影を、そっと両手で包み込むようにして、暗闇の奥深くへとしまい込んだ。


まるで、見えなくすることで、変わることのない、永遠の存在に変換するかのように。


********************************************


しかし、その者自身も気づいてはいなかった。


『命』の源は『影』だったということを。


その後も『命』は生まれ続けた。


同僚として。同級生として。幼なじみとして。時には恋敵として。


数えきれないほどの形を変えながら、何度も。何度も。何度も。


その者は、かつてあった聡明さを失いつつあった。


そして時折、押し隠したはずの影に語りかけているようだった。


まだだ。まだ、目覚めさせられない。


もう少しだけ。


あと少しだけ、待っていてくれ。


必ず。必ず……。


その声は、だんだんと、掠れていった。


********************************************


暗闇の奥の、二つの影の傍らに、ある時、小さな光が灯った。


それはかつて見たことがある光。


一度失われ、もう二度と再び見ることがないと思っていた光。


『命』を作ったその者は、長い間、その光をじっと見つめていた。


そして顔を上げると、そこにいる悠真を見つめた。


それから、そっと、その光を彼の方へと押し出した。


言葉はなかった。


ただ、伝わってきた。


これは、あなたが持つべきもの。


私ではなく。


********************************************


そして悠真は、あの光景を、再び目にする。


自分が自分を見下ろす光景。


無限に連なる自分が、自分の行為を見下ろす、いつもと同じ、絶望的なまでに、徒労に終わる光景を。


だが今回は、その一番奥だけが他と違って見えた。


そこだけ、光がぼんやりと滲んでいた。


あの光が、そこに、初めて見えた。


悠真は気づいた。


光の中に、その者がいることを。


——影は光に戻らない。


だけど。


光は影を作る。


悠真。


あの影を。


私が愛したあの影たちを。


どうか。


あなたの手で。


……さようなら——。


********************************************


暗闇が、ゆっくりと薄れていく。


悠真は、これが最後の夢だと、誰に教えられるでもなく、分かっていた。


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