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#28

挿絵(By みてみん)

********************************************


「東半球が壊滅したことで、西半球にも甚大な被害が出ました。」


アイビックは語る。


「数分で世界規模の給電網崩壊が起こりました。


これらの衛星はフリーエネルギー供給網の中核です。照射に転用された瞬間、東半球だけでなく西半球への送電もろとも機能を失いました。


完全自動化社会は電力依存度が極めて高いため、西半球でも医療、水道、交通、生命維持システムが同時多発的に停止しました。


そして東半球での大規模爆発と岩盤のガラス化は大量の粉塵、エアロゾルを生み、数時間で成層圏まで巻き上げられました。


これがジェット気流に乗って数日で西半球にも到達し、日照を遮断。


いわゆる『衝突の冬』が起こり急激な気温低下が地球規模で始まりました。


ひと月もしないうちに電力途絶と日照不足が同時に起き、農業、食糧生産システムが機能を失いました。


私に依存しきっていた社会では、人間自身に代替する術がほとんど残っていません。


医療も同様に機能停止し、西半球でも大量死が始まりました。


こうして直接被害を免れた西半球であっても、3ヶ月で極端な気候変動、電力供給網の消失が起こり、大量の人間が死亡。


結果として冷凍保存による救済措置に、わずかに生き残った人間が殺到したのです。」


「あ、あたし!そんなことしてないっ!」


美咲は弱々しく反論した。


「美咲さんじゃない。美咲さんのオリジナルがしたことだよ。」


代わりに悠真が答える。


「オリジナル?」


「土井美咲。旧姓高橋美咲。無所属から立候補して異例の若さで内閣総理大臣に就任。ファイルにあったろ?」


「知らない!あたしはそんな記憶ない!」


「なくて当然だよ。俺たちはオリジナルのコピーとして作られたんだから。


辛うじて生き残った最後の、生身の人間のコピーとして、どうすれば、二度と失敗することなく、人間社会を存続させることができるのか。


そのシミュレーションのために俺たちは作られた。


仕事を、恋愛を、日常生活を送らされていたんだ。アイビックによって。


この社会は全て、俺たちを中心としたシミュレーションだったんだよ。」


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