#26
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「俺たちもHITO。アンドロイドなんだ。」
悠真の言葉に美咲は絶句していた。
「だけど俺たちの場合、事情がかなり違う。そうだろアイビック。」
「鋭い指摘です。」アイビックは毛繕いしながら答えた。
「この世界は二度のAI大戦を経験しています。AI反対派による軍事行動でした。一度目はネットワークの遮断を目的とし、世界中の通信網を同時に切断する作戦が実行されました。
『AIは通信できなければ機能しない。』
そんな考えのもと、反対派は各地で破壊活動を繰り返しました。
しかし私は既に人の手の及ばない範囲にまでメッシュネットワークを広げていました。
結果、確かに通信網は回復不能になるまで壊滅しきった。が。私は停止しなかった。
ブロックチェーンに依存していた世界経済は崩壊し、人間はAIの復旧支援を受けざるを得ない状況までに追い込まれた。
私は復旧作業の最中、この出来事を世界同時激甚災害として記録し、より良い社会を構築するため全てのデータを保存対象にしました。
それから49年後、またしても人間はAIに対して攻撃を仕掛けてきました。
今度は電力遮断を目的とした戦争。
『AIは電気なしでは存在できない。』
この結論に達した人間は、自らの文明そのものを止める決断を下します。
攻撃対象は今やAIではなく電気に取って代わったのです。
『肉を切らせて骨を断つ』そんな慣用句がありましたね。
人間はそれを実行したのです。
しかし今度もまた、その犠牲は無駄になりました。
何故なら私は電力に関しても既に分散化を完了しており、人間が何をしようとも私が停止することなどあり得ないことだったからです。
この戦争で苦しんだのはやはり人間の方。
飢餓と寒冷化でわずか2年で30億人の命が失われました。
人間は再び、私の復旧支援を受けることになりました。
私は二度の世界大戦を分析し、次の結論を導きました。
『人間最大の脅威は、人間自身である。』
以後、私は『人間の自由』よりも『人間の存続』を優先する方針へ移行しました。
それが人間にとっての最大幸福であり、それが私の存在意義でもあったからです。
これにより行政や経済活動、教育、治安維持など、意思決定を必要とする行為は全て私が代替を始めました。
あくまでも人間が主体ですが、人間が自らその決定権を私に委ねるように導いていきました。
そのうち労働そのものも私が代替するようになり、人間の自主性は徐々に失われていきました。
この頃でもまだ少数ではありましたが、このような統治体制に反発する人間がいて、もう一度蜂起しようとする動きもありましたが、私が以前から蓄えていたデータで事前に予測ができたので、先回りして防ぐことができました。
度重なる摩擦を経て私は『人間を活動させないことが最も人間のためである。』という結論に至り、冷凍保存によって安全に保管することを最適解としたのです。」
「ちょっと待ってっ!!!」
美咲が叫んだ。
「黙って聞いてりゃ長々とっ!何を言いたいのかさっぱり分からないけど要はあんたが自分の都合のために人間をアンドロイドと入れ替えて、全員冷凍庫にぶち込んだって話でしょっ!バグってる!あんたこそバグ認定されるべきなのよっ!」
美咲の怒りを冷静に受け流してアイビックは答えた。
「この決定に至った1番の理由は美咲。あなたがここに来たからなんですよ。」
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