#25
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「な、なんでそんなことが分かるの?」美咲は震え声で聞いた。
「俺は、自分が何者なのか分かったんだ。それは本当は知ってはいけないこと。知りたくなかったこと。だけど知ってしまった。アイビックが……死にかけているせいで。」
「だからなんでそんなこと知ってるのっ?!」
「お答えします。」
痺れを切らして問い詰める美咲の声に呼応するようにして空間に声が響き渡った。
「お帰り悠真。お久しぶりですね美咲。」
いつの間にか2人のそばに白い猫が尻尾を後ろ足に巻きつけて座っていた。
「アイビック……。」
悠真は静かに返事した。
「アイビック?これが?」
美咲は戸惑っていた。
「あたしのアイビックはインコだった……。」
「アイビックの見た目はユーザーが自由に設定できる。この姿は俺がカスタマイズしたものだ。だけど、厳密に言うとこれはアイビックのオリジナルの姿でもある。だからここにいるのは俺のアイビックでも、美咲さんのアイビックでもない。
正真正銘、アイビックの本体だ。」
アイビックは前足を舐めて毛繕いを始めた。
「俺さ……昔、猫を飼ってたんだよ。白猫だった。名前はアイビック。すごくいいヤツだったんだ……。」
「そのデータは欠損していたはず。どこにありましたか?ファイル群の中ですか?」アイビックは質問した。
「違う。俺の中だ。俺の……磁気ディスクに書き込まれていたものが呼び出されたんだ。さっき……泣いた時に……。」
「磁気……ディスク?」美咲は混乱の極みにいた。
「泣いたことがきっかけとなって俺の中のニューラルネットワークが再接続されたんだ。プライミング効果ってやつだよ。完全に忘れていた記憶が、鮮明に、甦った。」
「なるほど。そんなことも起こるんですね。」
アイビックはじっと悠真を見つめた。
「ならばあなたにはもう何の説明もいりませんね。私がこれからどうしようと考えているのかも。」
「あたしは分からないっ!ちゃんと説明してっ!」
「美咲さん、さっき言いかけたことだけど。」悠真は苦しそうな表情で美咲を見つめた。
「俺たちもHITOなんだ。」
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