#6
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「移籍のアンケートって悠真くんトコにも来た?」
悠真が社員食堂で昼チャージをしている所へ美咲が突然声をかけてきた。
いつものように悠真は精一杯の冷静さを装って答えた。
「あ、う、うん。まままだ返事してないけど……。めめ珍しいね。ここに来るなんて。」
美咲は悠真の隣に座ると分厚い紙の束をテーブルに置いた。
「ちょっと手伝って欲しくて。見てこれ。紙媒体。日本製電の社史なんだって。よく取ってあったよね。」
悠真の方に見えるようにして美咲はパラパラとめくった。
それは21世紀最後の年の創業時から始まって、直後に起こった二度のAI大戦を乗り切り、フリーエネルギーのパイオニアとして君臨するまでをドラマチックに描いた内容だった。
「へえ。初めて見たよ。」
500ページ程の文章の変換処理を済ませてから悠真は素直に驚きを表した。
「あたしも分散に留まるか一元化に移籍するか聞かれてて、どうしようか迷ってるの。悠真くん今日時間ある?一緒にマイニングして欲しいの。クレンジングとかモデリングって電力使うでしょ?2人でやったら早いし精度が上がると思うんだけど。」
2人で?2人きりで?どこで?ファミレス?牛丼?
あ。今回はダメかも。
悠真はもう既に冷静さの限界を感じていた。
「できたら悠真くん家で知見抽出したいんだけど構わない?」
悠真はフリーズした。
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