#21
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観測所は非常に質素な作りだった。
天体望遠鏡や振り子時計、観測時に撮影された天体写真などが展示されていたが、どれも埃をかぶっていて、長期間誰も訪れた形跡がなかった。
ただ一つ、床の足跡を除いて。
「誰かいたんだ……。」
悠真はかがんで足跡の先を辿った。
その足跡にもうっすら埃が積もっているところを見ると、前回の訪問者も相当以前のことらしかった。
「多分、1人で来たんだ。そして……。」
足跡は奥の壁に立てかけられた大判の写真の奥で消えていた。
ヒトの背丈ほどの大きさの写真。
白い大きな丸に小さな黒い点が重なっている様子が写っている。
悠真は壁まで進むと、そっと写真をめくってみた。
するとそこは壁がくり抜かれて下に降りる階段が現れた。
冷気はここから噴き出していた。
美咲は更に力を込めて悠真の腕を掴んだ。
「大丈夫。罠はなさそうだよ。……多分。」
悠真は冗談めかして言ったが、自分でも場違いだなと思い、気まずい気分になってしまった。
しかし美咲は頷いて一緒に降りる意思を示す。
コンクリートの打ちっぱなし階段はひどく劣化していて、所々ひび割れや欠けているところが目立った。
冷気が徐々に強くなり、2人はまた身を寄せ合いながら一歩ずつ、確かめるようにして降りていった。
照明がなく、外の光が届かないくらい深く降りた頃、ようやく一枚の扉に行き当たった。
悠真はその扉に見覚えがあった。
何故ならそれは悠真の自宅の玄関ドアだったからだ。
「お帰りなさい悠真さん。」
ドアが悠真を認証して解錠した。
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