白き檻の夢
――光が満ちていた。
温かく、柔らかな光に包まれた部屋。
まだ夢の中のような白い部屋の中心で、
ライズはゆっくりと目を覚ました。
「お目覚めかな、ライズ君?」
穏やかな声だった。
白い髪が淡く光を反射し、
その姿はまるで絵画の中の天使のように見えた。
「……あなたは……」
ライズが言葉を探すより早く、
青年――レウコンは微笑んだ。
「僕の名はレウコン。君を助けた者だよ」
「……助けた?」
ライズは眉を寄せる。何かを思い出そうとする。
けれど、頭の奥に霧がかかっているように何も浮かばない。
「何か……誰か、大切な人がいた気が……」
声が震える。
レウコンは首を傾げ、優しく笑った。
「君は黒竜に捕まりそうになったのさ。あまりの恐怖に、忘れてしまったのかもしれないね?」
「そんな……黒竜なん、て……」
瞬間、脳裏に黒髪の男が過ぎる。
赤く鋭い目をした恐ろしい姿。
「あぁ……やだ。来ないで……!!」
頭を抱え蹲る。
ガタガタと体が震える。
「可哀想に、よほど怖い目にあったんだね?」
優しくライズの頭を撫でてレウコンは笑みを浮かべた。
「ここには僕しかいない、安心して」
柔らかな声が響くと、
先ほどの恐怖が嘘のように消える。
何も考えられなくなって、ただ心酔していく。
「…………はい」
「うんうん、素直な子は大好きだよ」
そう言ってレウコンは椅子に腰を下ろす。
「さて、セシルドの血を引く弟は……どう動くかな」
微笑みながら、天井を見上げる。
「黒竜でありながら人間を守った、あの奇妙な竜――その“意思”が本当に血に宿るなら、きっと僕を退屈させないはずだ」
薄く笑うその瞳は、氷よりも冷たく、美しかった。




