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8話 晩御飯と返済金

 森から出てシドと合流した後も俺は大忙しだった。

 だって晩飯の食材がないんだもん。

 色々あったから狩り出来てないんだよなぁ……。

 

 でもお疲れのリナ様に栄養をとってもらいたいし、賊の所業にブチ切れのシドを宥めるためにも美味いものを作らねばならぬ。

 ということで大急ぎで狩り、そして戻って晩飯を作りました。

 

「リナ様お待たせしました。リクエストの鶏肉料理です」

「良い匂い!」


 今日の料理は唐揚げだ。

 運良くまたゲラゲラ鳥を発見したので速攻捕獲したよ。

 

 以前作った時シドが喜びまくって「うんみゃー!!」とか言いながら飛び跳ねていたし、多分リナ様にも気に入ってもらえると思う。

 

「唐揚げじゃないの!ナイスよイアック!」


 唐揚げを見た途端こちらを見てサムズアップしながらハイテンションになるシド。

 シゲ爺に教わった日本の料理は本当に喜ばれるな。

 

 今回もジャンピングしたら行儀悪いって言って引っ叩かなくちゃ。


「自信作です。多分気に入ってもらえるんじゃないかと思います。さぁ食べましょう」


 俺も一緒に食卓を囲む。使用人だから別で食べようとしたけどシドもリナ様も一緒に食べようと言ってくれたからね。

 

 リナ様は一口食べた後、カッ!と目を見開きその後ガツガツと食べ始める。気に入ってもらえたようだ。


「イアック!何これすごく美味しい!ほんとに……美味しい」


 大喜びしてくれたかに見えたリナ様だったが、顔は笑顔のままなのにその目から涙がポロリと落ちた。


「え!?え!?リナ様!?あの、泣くほど不味かったですか!?あれ!?美味しいって言ってくれたような!?」


 大慌ての俺。泣かれるとマジでどうしていいかわからない……。


「違うわよイアック。ご飯食べると安心するから勝手に涙が出てきたんでしょう。リナちゃん、今日は大変だったわね」

 

「2人ともごめんね。もう大丈夫。それよりパパ、今日の話しなきゃ」

 

「そうね。詳しく聞かせて頂戴」


 リナ様が今日の経緯を説明してくれる。

 シドは最初こそ落ち着いて聞いていたが、途中からどんどん顔が赤くなっていった。

 控えめに言って鬼の形相であります。


「その賊ぶっ潰すわ」

「パパ落ち着いて。全員イアックがやっつけてくれたから大丈夫よ」

「ふぅ、ふぅ、そうね、落ち着かなきゃ。ご苦労様イアック。本当にナイスよ」


 怒りのあまりシドは息が荒くなっている。

 リナ様に言われて落ち着いてきたみたいだけど修羅みたいなオーラを放っているぞ。

 

「でもねリナちゃん、盗賊はまだまだたくさんいるみたいなの。盗賊団の1人を捕まえて聞き出したのよ」


 俺が縛って放置していた盗賊はシドが回収していた。その後優しいお話し合い(意味深)の結果、ある程度は盗賊の情報が得られたようだ。


「盗賊団のリーダーの名前は《トンドロ》よ」

「トントロ?」

「トンドロよ。そんな肉の部位みたいな名前じゃないわ。こいつも賞金首よ。イアックが倒したって言うアンドレよりも数段格上のね」


 あいつか〜。あいつの格上……だめだあいつがめっちゃ雑魚だったから数段格上って言っても結局あんまり強くなさそうに思っちゃう。


「相手が何であろうとこのままにしてはおけない。こんなに舐められて黙っていたら領主なんてやってられないわ」


 だよね。これで何もしなかったらこの先も誘拐事件が後を立たなくなるよ。

 

「でもお父さん、その前に明日が借金の支払い期限なんだけど…」


 ……ですよねぇ。


「大丈夫。あたしに秘策アリよ」


 おおお。頼もしい。流石シド。伊達に領主やってないね。


「その名も『土下座』。謝罪の奥義よ。これさえやれば1年や2年待ってくれる事間違いなしよ!」


 ………………そういうのをノープランって言うんだと思うなぁ。


「パパ……ふざけないでね?」


 顔面は笑顔、内心は般若。リナ様怖すぎ。


「ふざけてないわ。あたし、ここ半年でさらに肉体に磨きをかけたの!この肉体美で迫ればイチコロよぉ!」

「くっ!なんて自信なの。でも私も代案があるわけじゃないから何も言えない……」

 

 そうだね。シドって頭がアレな人だったね。俺も今朝の時点でこの話されてたらやるだけやってと言うしかなかっただろうなぁ。

 

 でも俺にはさっき見つけたこれがある。


「シド、お金なら用意できたよ」


 俺はテーブルの真ん中にドサッ!と布袋を置く。

 

「「えええ!?」」


 賊が持ってた荷物にあった――大量の金貨だ。

 

「これで足りる?足りなければシドの肉体美作戦で行ってもらうしかないかもだけど」

「ちょ……ちょっと待って数える…………。た、足りるわ。ほぼ使い切っちゃうけど足りてる……」

 

 2人がめっちゃ驚いてる。もしかして足りないかもとは思ったけど何とか返済分のお金が入ってたみたいだ。


「これ、どうしたのよ……」

「町中のお金集めてもこんなにないんじゃ……」

「オークジェネラルの巣に落ちてたよ」

「この辺りにオークジェネラルなんていたの!?超危険じゃない!」

「…………イアックそれあの賊共のことじゃないの?」

「そうとも言います」


 アンドレはオークジェネラルにそっくりだったからまぁ誤差の範囲だろう。


「魔物が持ってたものは倒した人のもの。だったよね、シド?」

「そうよ。そしてそれは盗賊でも同じよ」


 そうなのか。だったら遠慮する必要は全くなかったな。

 

「これで借金問題は一旦何とかなるね」

「イアック……あんたそれでいいの?ほぼ全額無くなるわよ?倒したのはあんたなんでしょ?」


 確かに自分の取り分を主張する選択肢もあるのかもしれない。でも


「もちろんいいよ。それにこれはリナ様が頑張ったから手に入ったお金だし」

「イアック……」

 

 悩むことなんてない。

 シドにもたくさんの恩があるし、リナ様の頑張りがあったから手に入ったというのも事実だ。

 俺としても働き口無くなるの困るしね。借金返済に当ててもらったほうが助かる。

 

「……わかったわ。ありがとうイアック。全く恩ばかりが増えるわね」

「そう?俺としては逆にシドに恩を返してるってくらいに考えてるんだけどな。でもそれじゃあお返し期待しちゃうよシド?」


 口ではお返し期待なんて言ったけど、本当は感謝してるのは俺の方だ。

 今だってシドがいなきゃ露頭に迷うことになるしね。

 でもそれはそれとしてシドが何かしてくれるって言うなら断る理由はない!


「イアック……ありがどぉぉぉおう!」

「うわぁ!?」

 

 いきなりリナ様に抱きつかれた!?何事!?

 

「ちょっ!?リナ様また泣き始めたの!?今度は何!?」

 

「だってあんたいい奴すぎるからぁぁあ!昨日も今日も酷いこと言ってごめんねぇぇぇえ!」

 

「ちょ、リナ様待って!?泣かれると俺めっちゃ困るからぁ!」

 

「仕方ない子ねぇ」


 結局その日はリナ様がかなりお疲れだったのでそれ以上の話はせずに解散となった。

お読みいただきありがとうございます。

毎朝6時更新頑張ります。


運良く借金返済はできそうです。


またお越しいただけたら幸いです。

よろしくお願いします。

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