25話 リナのモヤモヤ
ここはシドから与えられた俺の自室。そこで自作のアクセサリー制作に没頭していた。
「よし、完成だ」
俺の友達で神鳥レガのアオコがくれた青い羽のネックレスが完成した。
「大事なものだから無くしたくないと思ってしまっていたけど、これなら毎日身につけていられるぞ」
シド曰く、これはとんでもなく貴重な代物らしいけど、堂々としてれば普通の羽にしか見えないだろう。アオコからもらった大事な物だ、なるべく持っていたい。
「今日の宴会楽しかったな」
シドの帰還と交渉の成功を祝して宴会を行なった。
陛下からたっぷり契約金を貰ったのでエルナさんが仕入れてきてくれた食材をたっぷり使って領民のみんなにも振舞って大宴会になったのだ。
「でもリナ様が元気なかったな。どうしたんだろう」
リナ様は領民のみんなに囲まれて楽しそうにしていた。でも時折少し節目がちにしていることがあり、宴の席にしては元気がないように見えた。
「まぁ気のせいかもしれないし、明日また様子を見てみようかな」
⭐︎リナ視点
「……朝ね」
窓から朝日が差し、外には鳥の声がして今が朝だと言うことをこれでもかと伝えてくる。
「昨日は少しはしゃぎすぎたのかな。何だか起き上がるのが億劫」
何だか元気が出ないな。病気って感じじゃないんだけど……。
いけない、今日も朝ごはんの後は鍛錬に行かなきゃ。こう言う時は気合いで起き上がった方がいいよね。
着替えて食堂に行くと誰もいなかった。パパとイアックは先に食事を済ませているようだ。
「あ……イアック、今日は私の好きな卵スープにしてくれたんだ」
まだほんのり温かい。温め直さなくても大丈夫そうだ。
「美味しい」
優しい味付けが何だか心に染み込んでくるようで、食べ終わる頃には私は元気を取り戻していた。
◇
「リナちゃん、大分上達したわね」
「でしょ?パパにも負けないかもしれないよ」
今日からパパも鍛錬に参加するようだ。
ライフアーツはイアックが編み出したって聞いたし、パパは人に教えるほど使えるのかなと思ったけど余計な心配だったみたい。
パパはレベル3まで進んでいて、しかも教え方もイアックより丁寧でわかりやすい。さすがお弟子さんをたくさん持っていただけある。
「あら?そんなこと言っちゃうのなら手加減しないわよ?」
あ……なんか押さなくていいスイッチ押したみたい。
この後吐きそうになる程こってりみっちり鍛錬させられました。
「リナ様は何故調子に乗ってしまうのか……」
アンちゃん達のコーチをしながらイアックが呆れた顔をしているのが妙にムカついた。
◇
「クルミおばさん調子はどう?」
クルミおばさんをはじめ、ご年配の方々には魔避けポーションの生産をお願いしている。
畑を仕事は体力的にも辛そうだったが、魔避けポーション作りはそこまで体力は使わないから楽になったと喜んでいた。
陛下からも作れるだけ作れと注文が入り、ライフシード領民総動員で生産をしていた。
「だんだん慣れてきて楽しくなってきたところ。それにね、この歳になってまさかお国のために働けるなんて思ってなかったから何だか誇らしいのよ」
「そっか。それにしても何だか血色いいね」
「お給金もいただいてしっかり食べてよく寝てるのよ」
給金は全領民に前払いしている。そのお金でみんなエルナさんから食料や衣服など購入したようだ。
「あとはね、イアックさんが時々マッサージしてくれたりするの」
「え?そうなの?」
「不思議なくらいよく効くのよ。うちの人もそれですごく元気になっちゃって、ほら、あっちで生き生きして働いてるでしょ」
「本当だ。すっごい元気そう」
「イアックさんがみんなの健康状態をすごく気にしててね、こんな状態は良くないって行ってまた何か始めてくれるみたい」
「え!?それ初耳!」
「さっき言ってたことだから初耳で当然よ。こんなに気遣ってもらえてとても嬉しいわ。これもリナちゃんがずっと1人でもめげずに頑張ってくれたおかげ。ありがとうね」
◇
イアックはすごい。ちょっと前までは嫉妬したりしたけど、今はイアックが褒められると少し嬉しいくらい。
「私も頑張らなきゃ。学園に戻って、しっかり勉強して……」
あれ?さっきまでいい気分だったのに学園に戻らなきゃって思ったら何だか気が重いな。行きたくないわけじゃないんだけどな。
「座学がまだ心配だし、イアックに勉強も見てもらおうかな」
学園行き馬車の出立まで後数日ある。
半年分勉強が遅れてしまってるんだから、少しでも取り返しておいた方がいいよね。
そう考えながら歩いていると、イアックを見つけた。
イアックはエルナさんと一緒に楽しそうに話しながら客間に入って行った。
「エルナさんとイアック、これから何か打ち合わせかな?すごく楽しそうに話していたけど……もしかしてクルミおばさんが言ってたやつかな。それなら……」
――何で私は呼ばれないの
一瞬、とても黒い感情が湧き上がってきた。
すごくモヤモヤする。
何で私は呼ばれないのか、何でエルナさんとだけそんな話をするのか。
「違う。イアックが誰と何をしようと自由だ。パパからも好きにやりたいことやっていいって言われてたじゃない」
でも……
「もうすっごくモヤモヤするううう!」
私はその場にいられなくなり、鍛錬場に行って汗を流すことにした。
◇
「イアック!何を話してたのよ!」
しばらく後、エルナさんとの打ち合わせを終えたイアックを捕まえて問いただすことにした。
「リナ様、戻られたんですね。えっと、今はライフシード領で新しい事業を起こそうとしてて、その打ち合わせを」
「何それ聞きたい!すごく面白そうじゃない。ってあんたそんな面白そうなこと何で私を呼ばないのよ!」
「え?いや、リナ様は学園に戻られるのでは?」
そうだった。そうだよね。そうなんだよ。
もう一緒に何かすることはできない。できなくなるんだ。
「そうだけど……そうだけど!だから私は除け者で、エルナさんと一緒にやるんだ?」
「え?いや、エルナさんにも協力してもらいますが、マナ不全者のみんなにも手伝ってもらってですね」
黒い感情がまた湧き上がってくる。
私はもう一緒にいられない。
私はそれで悩んじゃってるのに、イアックはもう次を考えてるのが何だか悔しくて。
「もういい!!勝手にすればいいじゃない!!」
「えええ!?リナ様!?」
私はその場から逃げるように駆け出した。いや、逃げたんだ。
もうわけわからないよ。私ってこんなに嫌なやつだったのかな。イアックに、悪いところなんて一つもなかったのに。でも、何でこんなに……苦しいの?
お読みいただきありがとうございます。
毎朝6時更新頑張ります。
イアック: 今の会話は何が悪かったのか…女心はマジでわからない…
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