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13話 シドの旅立ちと賢者様(やらかし)

投稿の日付間違えました…。申し訳ありません…。

今日は2話投稿します。

 ⭐︎リナ視点 半年前、学園にいる頃


 パパが行方不明になったという知らせを受けてすぐ、私はお姉ちゃんのところに行った。

 

「お姉ちゃん大変だよ!私と一緒にライフシード領に戻ろう?パパを探さなきゃだし、領地だってこのままじゃ……」


 パパが心配で仕方ない。それに領地だってどうなってしまうのか。

 領主の娘としての責任を果たさないと。


「……リナ、あなた1人で戻りなさい」

「え……?」

「私は戻らない。私には……《ブレス》を持つ者としての大事な役目があるから」


 何を言ってるの?

 お姉ちゃん……パパが心配じゃないの?領民のみんなが心配じゃないの?


「父様の捜索は私がやる。それが私にできる全てよ」

「そんな……お姉ちゃん……」


 一緒にライフシード領に戻ってくれると思ってた。2人で力を合わせてこの難局を乗り切るんだって思ってた。


「もう行きなさい。しっかりやるのよ」


 役目って……それはパパより、領民のみんなより……大事なの……?

 

 私にはお姉ちゃんが何を考えているのかわからない。


 


 ⭐︎イアック視点

 

「ミラちゃんだって領地とリナちゃんのこと心配しているわ。だから私が戻ったと知れば安心するはずよ」


 ミラ様はライフシード領の緊急事態にもかかわらず王都の学園に残った。

 その理由は《ブレス》を持つ者としての《お役目》があるからだそうだ。


 生まれつき体の一部に不思議な力を宿している人がいる。世界的見ても数人というレベルの超希少な存在だ。

 

 それは神様に祝福されている証とらされている。神の祝福ブレスを授かった神の使徒とも言える存在。

 

 伝承では<世界を襲う災厄に対抗する力>と言われるその能力を強化し、自在に使いこなせるようになることが国から、ひいては神様からミラ様に課せられた《お役目》である。


「安心はするだろうけど……そもそも戻ってくればよかったんじゃないかなぁ?」


 普通は領地に戻る。

 ブレスとかお役目とか関係ないって思ってしまう。

 どうしてもブレスの鍛錬がやりたいならライフシード領でやればいいよね?


「……学園で最後にお姉ちゃんと話した時は一緒にライフシード領に戻ってくれないことを残念に思った。でも心が少し落ち着いた今は他に理由があったんじゃないかって思うの」


 他の理由か……。

 

 ………………

 …………

 ……

 

 そうか、他に理由があるのかも知れないな。


 人は基本的に<メリットの享受>か<デメリットの回避>のために動くと本で読んだことがある。


 そう考えたらミラ様は領地に戻る一択のはずなんだ。

 

 自分の家が収める領地がズタボロになるってドチャクソやばいデメリットでしょ。戻らない選択なんて無い。むしろすっ飛んで帰るレベルのはずだ。

 

 じゃあなんで戻ってこないの?って考えると……。

 

 <戻ることがそれ以上のデメリットになっている>……とか?

 いや、それならリナ様に詳しい話があってもいいし……それがないってことは……。

 

 もしかしたら<戻ろうとしただけで何か大きなデメリットを被る>……とか?

 

 ……わからないな。全部推測の域を出ない。

 

「お姉ちゃんもライフシード領が大好きだった。戻ってこないのは何か考えがあるんじゃないかと思うのよ」

「そうよ。ミラちゃんもここを大切に思ってる。だからあたしが健在だって教えてあげたいのよ」


 そうだな。

 ミラ様が戻る戻らないについての話はシドがいない状況っていうのが前提条件。

 もうシドは帰って来たんだから関係ないか。


「でもあたしが戻ってまだ3日よ。ずいぶん濃い3日だった気がするけどね……。こんなに早くまた領地を空けていいのかと思っちゃうのも本音なのよ」


 何だ。そんなの悩むまでもない。

 

「「行って来てよシド(パパ)」」


 リナ様とハモった。

 なんかバツが悪いんだが……。リナ様も顔が赤いし。


「あんたたち仲良いわねぇ」


 うっさい。ニヤニヤすんな。


「お姉ちゃんはきっと今でもパパの捜索を頑張ってるはず。早く安心させてあげて」

「行くならむしろ今がチャンスだよ。一時的に魔物が減ってるし、賊も討伐したタイミングだしね」


 シドが領地にいて最も頼れるのは荒事関係だ。だったら今朝の賊&魔物の大捕物が終わって荒事が減るこのタイミングが外出にはむしろベストだと言える。

 

「……わかった。2人に話して心が決まったわ。あたしは王都に行く。留守を頼むわよ」

 

「主目的は陛下へのお詫びなんでしょ?ボロボロに怒られて泣かないようにね」

 

「それは本当に心配!今から胃が痛くなるわ……」

 

「並み居る大貴族に見られながら陛下に叱責される……私がそんな状況に置かれたら極度のストレスで心臓が止まる……」

 

「脅さないでちょうだい!?」

 

 これでシドの王都行きは決まったな。だったらついでに

 

「あ、じゃあ他にもたくさん仕事して来てね」

「……へ?」


 へ?じゃないよシド。

 

「大役を託すからね?俺のやりたいことになんでも協力するって言ったよね?」

「あたしに何をやらす気!?」


 そりゃ大仕事に決まってるでしょ。せっかく王都に行くんだから失敗が許されない高難易度のミッションを丸投げさせてもらわないと。



 ◇

 

 「それじゃあ行くわね。後のことは頼んだわよ」


 シドが王都行きを決めて2日。準備を整えたシドはエルナさんとその護衛の方々と一緒に旅立つことになった。


 捕縛した賊の移送を手伝う代わりにエルナさんの護衛の方にシドも一緒に守ってもらうことになったからである。

 シドは自分の護衛代が浮いたって喜んでたよ。


「パパ、いってらっしゃい」

「シドこそ王都でやる事あるの忘れないでよ」

「任せなさい。いい報告を持って帰ってくるわ」


 シドには王都で難しい仕事をやってもらう。

 いい成果を持って帰って来てくれることを願う。


「リナちゃん、危険な魔物とか盗賊の残党が現れたりしたらイアックにすぐぶん投げなさい」

「ぶん投げってなんだよ……」

「あはは、わかったよパパ」

「遠慮しちゃダメよイアックはリナちゃんが考えてる10倍は強いからなんでも大丈夫よ」

 

 シドがいない間の荒事は俺が担当だ。まぁあんまり荒事自体なさそうなんだけどさ。


「ねぇイアックぅ」

「……何?っていうかその目は何?そんな目で見ないで欲しいんだけど」


 なんだその甘えた目は……ウルウルしてんじゃねぇキモい。絶対面倒なこと考えてるだろ……。

 

「リナちゃんの勉強見てあげてちょうだい。あんた頭もめちゃくちゃいいし」

「……いいけど」

「イアックって座学もできるの!?」


 リナ様驚きすぎ。神の園にいた頃、俺はシゲ爺が持ってた参考書や父さん達が持ってた歴史書なんかを読みまくってたからね。

 最終的には座学はシゲ爺や父さんよりずっとできるようになったんだよ。

 

 リナ様は学園から離れてる分勉強遅れてるだろうし、俺なんかでいいならいくらでも教えますけど……。

 

「リナちゃんにライフアーツを教えてあげてちょうだい」

「……いいけど」

「あれって私も使えるようになるの!?」


 基本誰でも習得できます。リナ様にはむしろ向いてる気がする。


「魔除けポーションの生産体制も確立しておいてちょうだい」

「うん。とりあえず自分たちで使う分とか急務だし、頑張るよ」

「私も生産隊長に就任したからには全力を尽くすわ」

 

 魔物対策の一環として絶対必要だ。

 リナ様も生産隊長として領民を引っ張っていってくれることになったし、とにかく頑張るしかない。

 

「ついでにあたしの仕事も進めておいてちょうだい」

「どんだけやらせる気!?」

「パパ……遠慮なさすぎ……」


 これが爺ちゃんが言ってたブラック労働か。


「なるべくやっとくけど……シドも俺との約束忘れないでよ?」

「あんたの無茶振り仕事もしっかりやってくるわよ」

「いや、そっちじゃなくてさ、俺との個人的な約束の方だよ」


 神の園からライフシード領までの旅路で俺はシドとある約束をしている。

 世間知らずな俺にシドが豊富な経験を活かして色々教えてくれるって言う約束だ。

 

「《賢者》としての約束の話ね」

「ギッックゥゥゥゥ!!!?」


 何をビクビクしているのか。

 頑張って働くんでちゃんと見返りよこせ。


「パパが……賢者?脳筋なのに?」

「実はシドはある分野だけは豊富な知識と経験があって、たくさんの体験談を話してくれたんですよ」

「え?どんなの?私も聞きたい!」

「あわわわわ!ストップストップストーーーーップ!」


 シドの賢者ぶりをリナ様に説明しようとしたら御本人からストップがかかる。

 すごく慌てているけどどうかしたのか。


「2人ともこの後行くところあるでしょ!後にしなさい後に!」

「え?ああ、うん、そうかな」

 

 確かにこの後俺とリナ様は行くところがあるし、挨拶はそろそろ終わりにしよう。


「じゃあパパ、いってらっしゃい」

「いってらっしゃい」

 

「行ってくるわ。リナちゃん、ライフシード領を頼んだわよ」

「わかった!任せてパパ」

「イアック、リナちゃんと領民のこと頼んだわよ」

「了解」

 

 こうしてシドは王都に向けて旅立った。



 

「ところでシド様、賢者って一体なんだったんでか?」


 エルナからシドへの問いかけ。

 遠巻きに会話を聞いていたため、《賢者》とは何か気になっていたようだ。

 

「……ナンデモナイ」


 シドは胃が痛いのかお腹を抑えながら俯いてしまう。

 

 (言えるわけないわ……《恋の賢者》だなんて……)


 イアックは神の園から出て自身のやりたいことをシドに話したことがある。

 素敵なお嫁さんが欲しいと言うものだ。


 それを聞いたシドはライフシード領までの道中、食事の席で酒を飲みながら自身の恋愛知識や体験談を語ったのである。


 (なんであたしは恋の賢者なんて自称したのかしら!?我ながら酔いすぎよね!?あたし恋愛経験なんてほぼないのに!)


 ドヤ顔でにわか知識と架空の体験談を語ってしまったシド。

 これが恋愛方向に自信のないイアックに刺さってしまい、アドバイザーを頼まれてその場で快諾してしまったのだ。


 (何か……何か考えなくちゃ!いいこと言ってあげなきゃ!)


 イアックの恋愛関係はどうなってしまうのか。

 それはシド次第――恋の賢者次第で変わるのかもしれない。

 頭文字に<名>と付くのか<迷>と付くのかわからないアドバイス次第で。

お読みいただきありがとうございます。

毎朝6時更新頑張ります。


イアック:お嫁さんが欲しいんだけどできるかなぁ?


シド:大丈夫よぉ!あたしがアドバイスしてあげるから!こう見えてあたしってば恋愛関係の知識は超豊富なの!


イアック: 頼りになるぜシド!あ、お酒切れたね、すぐ用意するからね。


シド:ありがとう!(グビグビ


イアック:じゃあアドバイス期待してるからね。


シド: まっかせなさい!体は男!言葉は女!男女のどちらも良くわかる!それがあたしなの!人呼んで恋の賢者様よおおおお!


イアック:スッゲェ!シドめっちゃカッケェ!


シド:オホホホホホホ!(グビグビ)ゲッハァ!


イアック:ゲップもデカいぜ賢者様!


次の日シド自分の暴走を思い返して頭を抱えることになる。


シド:あたしってバカなのかしら…?


もちろんバカであります。


またお読みいただけたら幸いです。

よろしくお願いします。

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