72日目
「後輩、僕は、朝ドラがやりたい」
「大きく出ましたね」
ご婦人層に受ける物語を、ということでしょうか?
忙しい朝の時間帯に台詞だけ聞いてもわかるようにと、ラジオに近い脚本で回しているドラマ、の、小説化というか、文章化でしょうか?
「そこまで細かくは考えていない、けどあの長さで、あの回数は、短編連作にちょうど良いんじゃぁないかなぁと」
「ええと、週5本、半年で、24週乃至26週ですから、120回から130回ですか?」
確かに量としてはちょうどええ感じ、ではありそうでありますな。
実在する人物をモデルにしたら、話のネタにも困りそうにはないですし、本家っぽく演出すれば、お約束として共感が得られる、ような気もしないではないですね。
「で、恋愛に振るよりは、コメデイに寄りたい」
「まあ、先輩に乙女心がどうのこうのは、不可能ですから」
乙女だよ?!
見た目幼女な座敷童子が何をほざいているのですかね?
容姿的なものだけではなくて、本質的に、魂のあり方として”恋愛”に向いていない生き物が存在することを理解してください。
「ひどくない?!」
「半ば冗談ですが」
半分は本気なわけではありますが。
つまるところ、東が西かというと、西方面のシナリオを手本にして物語を作りたいわけであるのですね。
「そうそう、こう戦前戦後あたりを通して現代の一歩手前までを舞台にした、ヒロインを中心にした群像劇、っぽいやつをやる!」
「どの戦争をモチーフにするかで扱う時代が変わりますね」
基本は第二次世界大戦ですかね?
意表をついて、現代戦争あたりを差し込んでみるとかはどうでしょう?
こう、テロ組織が暗躍する、政情不安定な国家を舞台にした、硝煙爆風血飛沫が舞う、緊張感ある舞台での、命がけのコメディ。
「斬新だな!」
「言っててこれはないかなとは思いましたが、案外乗り気ですね」
戦火の中での一般人がどう暮らしているのかをドキュメントっぽく、しかも、朝ドラテイストで行うわけですね。
こう主要キャラクタがいつ銃弾に倒れるかわかないようなドキドキハラハラ感とか、偶然出会ったいけ好かない男が、実は政府軍の最高指導者になり上がったりとかして。
「身分違いの恋とかだな!」
「結構簡単に生き別れの演出もできそうですね」
……朝ドラとしては不謹慎で物騒な気がしますね、ひしひしと。




