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問題解決の糸口なの!

 

 参加メンバーは全員ログアウト。

 クルセさんの前には一つのレイドグループが居たそうだけど、見学しているときは誰かが閃光玉を使ったのかと思ったみたい。


「だってな。前のグループが眩しい光に包まれたかと思うと、そこには誰も残っていなかったんだ……プレイヤーは」

「だからって、なぜ対策を立てなかった?」

「いや、ハイパーアーマー化と状態異常無効のバフはかけた。それでも十分すぎるバフだったはずだが、まさか無意味とはな」


 閃光玉の異常なら、状態異常無効で回避できる。

 しかし無駄だった。

 敵の攻撃なら、ハイパーアーマー状態で動作を中断することはない。

 しかし無駄だった。


 じゃあ、アイツのオールデリートはいったいなんなの?


「投げ判定があればハイパーアーマーも無効になるが、ただの目眩ましだったのだろう?」

「ああ。フィールドが『グレートウルフの墓場』でやけに眩しく感じたが、攻撃を受けたという感覚はない」

「でも、メンバー全員が強制退場された、と」


 クルセさん1人だけ、ということはないだろう。

 いまはログイン制限がかかっているけど、挑戦者は皆ログイン不可になっているに違いない。


 でも、もし挑戦者が全員BANされているとしたら、誰が他のプレイヤーに情報伝えるのだろう?

 掲示板もログインしていないと使えないし、私達みたいにリアルで集まりでもしないと情報交換ができないはず。


 つまり、被害者は今も次々と出ている。


「まとめよう。奴は目眩ましで一斉BANしてくる。間違いないな?」

「確証は持てないが、多分そうだろう」

「それについては草を偵察に出した。今晩の寝床を提供してやるだけで快諾とは、実に安い男だ」


 言われていないことに気づく。

 ま、ギルドにも普段いないし、あいつって雑草だからか存在感薄いのよね。


 というか、まだ外に放り出すって話続いていたんだ。


「やるからには万全を期す。なのでアジシャンズの皆は、流星がログインできるまで待機とする」

「草はいいの?」

「何、所詮は草だ。私の次に遅いやつは留守番でいいだろう」


 速さで順位が決まるこのギルド。

 でも一番遅い姫さんがトップにいるのは立案者だからかな?




 ゲーム内の状況は不明だけど、現実の私達にできることは少ない。

 そろそろ日付が変わる時間だ。

 深夜帯は大人組に任せて、私とデス子ちゃんは寝る準備を始める。


「シャワーを浴びた後はそのまま部屋に行きたまえ。草に見られると厄介だからな」

「いい。眼中にない」

「え、見られて問題あるかな?」

「……君たちが良いのなら良い。ならそのままここへ来てくれ」


 デス子ちゃんと順番に入り、しばらくして久我と流星、クルセさんも席を外す。

 姫さんは朝シャワーらしく、今日はこのままでいいらしい。


「そろそろ草のログイン時間も2時間を経過する。何を熱心に調べているのやら」

「意外と情報が出てこないのかも」

「ああ。やはり旦那もアカバンされたことを考えると、チャンレンジャーから情報が伝わることは難しい」


 しかし、状態異常無効。ハイパーアーマー、そしてプレイヤーの装備にはスキル無効や反射スキルもあったはずだ。

 もしそれらの何かが有効なら、耐えるプレイヤーがいても良さそうなものだけど。


「ねえ。一つ思ったのだけど」

「なあに?」

「アカバンって本当に敵の能力?」


 アカバンの囚人。

 当初は運営さえもその正体を掴めていなかったAIだ。

 私が倒したのはステータス+100という、正攻法ではほぼ勝てない能力。


 今回もオールデリートという近づくことすらできない能力……だと思うけど、遠距離攻撃は届いてるはずよね?


「さっきクルセに聞いたけど、メンバーに阿修羅ソードがいた」

「阿修羅ソード? 別にいてもおかしくはないけど……」


 常にフルフェイスを被っており、戦闘中は視界が完全に閉ざされる代わり、敵を熱感知したり魔力の流れを感じ取る魔法剣士だ。

 クルセイダーほどではないけど、察知能力や魔力感知に長けた職なのでパーティでも重宝される。


「彼ら、目、見えない・・・・けど?」

「それがどうし……ッ!」


 視界が閉ざされているのに、閃光玉の影響を受ける?

 だとすると、奴の攻撃は閃光玉の道具でもなく、かといって魔法や物理、スキルなどの能力でもない。


「ほう。だとすると、一つの可能性が出てきた」

「え、何何? どういうこと?」


 姫さんはわかったみたいだけど、私を含め他の皆はハテナのままだ。

 唯一、流星だけが何かに気づいたようで、おもむろに部屋の照明をパチンと落とした。


「のわっ、何してるのよ!」

「暗い……兄さんどこ……」

「ふむ。さすがは流星だ」

「おいおい、手元が狂うからやめてくれよ。これがもし料理中とかだったらどうする……うおっ、まぶしっ!!」


 パシャ! パシャ!

 暗闇で誰かのフラッシュが焚かれる。

 一瞬だけ見えた顔は、得意げな姫さんの顔だった。


 やがて電気が付いた。


「つまりこういうことだ」

「どういうことよ」


 ふたりともグルだったってわけ?

 でもわからないのは私だけらしく、久我とデス子ちゃんは「テレビのテロップ……」と納得している。


「旦那いわく、フィールドは月明かりも届かぬ暗黒地帯『グレートウルフの墓場』だ。そんなところで、強い光を直視するとどうなる?」

「えっと、最悪失明するわ」


 昔そういう事件があったおかげで、番組の上にテロップが流れるようになったとか。


「そうだ。しかしアヴァロン・トラジティはゲームだ。一定基準を越えた光は規制される。もしくは」

「プレイヤー側を強制回避……」

「さすが運営に楯突くアカバンの囚人といったところか。どうやら奴の放つ光量を下げない限り、突破はできないらしい。久我、今すぐログインして情報を拡散させてくれ」


 奴を倒す糸口は見つかった。

 でもこれ……詰んでいない?



決闘レースが、始まらないッ!

あと10話以内には章を終わらせる予定です。

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