イメージ通りのメンツなの
気になるのはクルセイダーさんと姫さんの関係だけど、聞いてみたらあっさり答えてくれた。
「僕の妻だよ」
「えっ!」
「何っ!」
「!?」
これには3人とも驚いた。
だってあの人、結婚していたの?
それに流星も知らなかったみたいだし、実は隠していた事柄だったのかもしれない。
「ま、自宅にいけばわかることだけど、流星くんも知らなかったっけ?」
「あ、ああ。既婚者だとは聞いていたが、まさかお相手が貴方とは」
「ログインする時間はお互いずらしているからね。とはいっても、妻がログアウトしている時間は……おっと、いけない」
わざとらしく腕時計を確認すると、クルセイダーさんは伝票を持って机を確認する。
「妻と他の客人も待たせているし、そろそろ行くとしよう。タカマチくん、それはやっぱり?」
「……すみません。もう食べられません」
「仕方ないね。これだけ片付けていこう」
食べるのは男性陣に手伝ってもらい、クルセイダーさんを助手席に乗せて姫さんの家へと案内してもらう。
その間、デス子ちゃんと後部座席に座っていたけど。
「……何かな?」
「わたしも大きいやつにしたらよかった」
「え、物足りなかったの?」
「いいえ。でも兄さんが……何でもない」
それだけ言って、窓の外へぷいっと向いてしまった。
何よ、リアルのデス子ちゃんって素直じゃない分可愛いじゃない!
案内された場所はとある高層マンションだった。
駐車スペースもきちんとあり、マンションの中もセキュリティが万全だ。
最上階。とまでは行かないけど、クルセイダーさんたちの部屋は10階よりも上にあるらしい。
普段はこんな高くまで上がらないから、ここから見る景色はちょっと怖い。
「ささ、どうぞ入って」
「失礼するぞ」
「お邪魔します」
「失礼しますっ!」
部屋に入って最初に目についたのは、65インチのテレビだった。
この部屋といい、大きなテレビといい、この人達ってお持ちなの?
それと、高そうなソファーに3人の人物が座って話していた。
1人の女性と、2人の男性。
多分というか、絶対あの女性が姫さんだ。
「ああ。少し遅かったね」
「喫茶店で少し話し込んでね。彼らを連れてきたよ」
「……ほう。これで揃ったな。まずは座りたまえ」
男性2人の視線と、女性の視線をうけながら私達は腰を下ろす。
1、2……全員で7人。私達は1つのテーブルを挟んで先客と向かい合う。
「さて諸君、よくぞ集ってくれた。リアルでは初対面のメンバーもいるので、まずは自己紹介といこう」
クルセイダーさんはいつの間にか台所へ立っている。
ということは、ここにいる全員がギルメン?
流星よりも大人の男性が久我で、その隣の生意気そうな少年が草かな?
「もう気づいていると思うが、私が黒百合だ。皆からは姫と呼ばれているが、実際はそんな器でもない普通の女さ」
そう言った女性は、長い黒髪をした綺麗なお姉さんだった。
部屋着なのか、ゆったりとしたネグリジェワンピースを着ている。
スタイルは……スラッとして動きやすそう。
どうしてかな? 私たちの胸部装甲は、僅差でデス子ちゃんの勝利だ。
でも鼻筋の通った小顔と長い睫毛、大きな瞳は、姫と呼ばれるだけのスペックを兼ね揃えているみたい。
中身はともかく、クルセイダーさんも良い妻を迎えたものだ。
私が姫さんに見惚れていると、向かいに居た少年がボソっとつぶやいた。
「呼ばせているの間違いじゃ……ヒィ!」
「そこの少年、何か言ったかな? そういえば今日は泊まってもらう予定だが、生憎と部屋が少なくてね。誰か一人は外で寝泊まりしてもらうことになるかもしれない」
「それ暗に出てけって言っているよね! 俺も客なんだけど!」
あれが漆黒のウィード、間違いないわ。
もし久我だったら性格が違いすぎるもの。
「なら早く自己紹介したらどうだ? 皆も待っているぞ」
「チッ、リアルでもこの扱いかよ。まあいい……俺が漆黒のウィザードだ。今年は受験もあるからあまりインできないが、よろしく」
受験ってことは、高校3年かしら。
隣の久我らしき人物と頭1つ分の身長差はあるけど、さすがに私よりは身長がある。
短髪でキリっとした目に、いかにもカッコつけてきましたとでも主張していそうな黒いPコートを纏っている。
それと銀の十字架のネックレスを見せつけるようにしているけど、チャラいという感想よりも、背伸びして可愛らしいという感想が先に出る。
「自己紹介はきちんとしたまえ。君は漆黒のウィード……いや、違ったか。ただの草だろう?」
「違っ! その呼び名はやめろ!」
「えっ、私に負けたら何でもいいって言ったよね? あの時の『何でもしますから!』って言葉は嘘だったの?」
「そんな事言ってねぇよ! というかお前がタカマチか!」
今度は私に視線が向けられる。
ちょうどいいや。
「初めまして、タカマチです。この中では一番の新人なので、お手柔らかにお願いします」
「ああ。よく来てくれたね。我らアジシャンズは君を歓迎しよう」
「次は私ですね。そもそも、皆さんは私が敗北したせいで召集されたわけでもあり、この度の責任は私にあるともいえます。とはいえ、こうやって集まる機会ができただけでも――」
「久我、長い」
スーツでビシっとキメている大人の男性は、やっぱり久我だ。
サングラスをかけて髪型も固めている。
第一印象では鬼ごっこで追いかけてくるハンターかと思ったけど、久我はやっぱり久我だった。
「今回は私もサポートするのでよろしくお願いします」
「え、久我ってアカウント停止中じゃないの?」
「何を言っているのですか? 敗北はしましたが通常にインはできますよ。タカマチさんが言ったとおり、すぐログアウトしたら助かりました」
久我、生存確認。
ならギルメン全員で奴と戦えるってわけね!
彩ちゃんの敵討ち、してやるんだから!
「ちなみに勝算は?」
「まずは決闘に持ち込め。話はそれからだ」
……敵討ち、できるかな。




