ようやく出番なの!
流星とデス子ちゃんの自己紹介も終わり、とりあえずは誰が誰かは把握できた。
じゃあ、あとはこの6人で……ん?
「そういえば、クルセイダーさんはギルメンじゃないの?」
「僕はAGI重視というか、バフがメインだからね。でも今回の作戦にはサポートとして参加する予定だよ」
なら、こちらの陣営は7人ってことでいいのかな?
「では、今日は一泊二日で集まってもらったことだ。いつアカバンの囚人が出てきても良いよう、まずは漆黒の草にゲーム内で待機してもらおう」
「漆黒のウィードだ! 草呼びはやめてくれ!」
「でも待機が必要なのは間違いない。ログイン制限から考えても一人ずつが適任だろう」
掲示板で情報を集めるにしても、ゲーム内でしか開けない仕様だ。
リアルに情報を伝えるには、誰かが待機してログアウトする必要がある。
再ログインには一時間の規制もあるし、一人ずつが妥当だろう。
「本当に交代制なんだよな? まずは俺が行ってもいいが、仲間外れにはするなよ。絶対だからな!」
「それフリよね?」
「違うわ!」
ブツクサ文句を言いながらも、草は自分のデバイスを取り出すと床に寝転んだ。
その姿を、全員で見つめる。
「……何だよ。文句あるのかよ」
「いや、いくら掃除していると言っても、そこでログインされると邪魔なのだが」
私も「ここでログインするの?」と驚いたけど、姫さん的にもありえない行動だったみたい。
詳しく聞くと、客間があるので男性陣はそっちでログインしてくれとのこと。
私とデス子ちゃんだけ姫さんの自室でオッケーとの許可をもらった。
「そ、それを早く言えよ!」
「まあ、君が寂しいというなら許可しても良いが。でもせめて、壁側に寄ってくれないか?」
「そんな気遣い要らんわ! いいさ、1人でも待機してくるわ!」
「客間には僕が案内しよう。こっちだ」
草って、リアルでも同じ扱いなのね。
彼の性格もあるだろうけど、なかなか弄りがいのある先輩じゃないの。
うるさいのが1人消えて、あとの順番は適当に決める。
「夕方から夜は君たち2人が行くと良い。男性陣と私は深夜でも大丈夫だが、2人はきついだろう。まずは、草が帰ってきた後にログインしてもらい、寝る前にもう一度だけ頼もう」
「待っているだけというのも暇なので、二人一組でも良さそうですね。待機している間は決闘でも行い時間を潰す。そうしたら、奴も釣れるかもしれません」
「ナイスアイデアだ、久我」
草の次は二人一組になるらしい。
ログイン規制とかローテーションとかは大丈夫なのかしら?
決闘をするため、私とデス子ちゃん、久我と流星で交互にログインする。
クルセさんはソロでいくらしいけど、肝心の姫さんはというと。
「今は私が動くときではない」
だそうだ。
まあ、姫さんは姫さんよね。
でもそれだと。
「ちょっとまって。草は誰と走るのよ?」
「何、勝手に一人で走るだろう」
それでいいのかしら?
待機している間はヒマだ。
姫さんは自宅だからか、のんびりとしているし、私とデス子ちゃんはヒマすぎて宿題をすすめている。
「飲み物は何が良い?」
「あ、私は紅茶で。何でも良いです」
「ココアをお願いします」
「わかった」
クルセさんは主夫といった様子で、テキパキと家事をこなしている。
……姫さんは?
「何だい?」
「い、いえ! 何でもないです!」
「タカマチ。人の家庭は様々」
デス子ちゃんの言うとおりだ。
クルセさんがそれでいいなら、いいのだろう。
「流星はどうする?」
「ミルクでも貰おうか」
「久我は?」
「余ったもので良いですよ」
「わかった」
ちなみに久我と姫さんはブラックコーヒーだった。
「ドロー! 俺は手札からジャンク・シンクロンを召喚! このカードの召喚に成功した時、墓地からレベル2以下のモンスターを対象にし……」
「この瞬間手札からDDクロウを墓地に捨て、効果発動。対象のモンスターを除外します」
「何ッ!」
久我と流星は趣味が合うらしく、カードゲームで盛り上がっているようだった。
私も一時期やっていた頃があったけど、どこに仕舞ったっけ。
ふと、気になったことがある。
「そういや久我も免許持っているなら、何で電車なの?」
「恥ずかしい話ですが、この前違反で捕まってしまいましてね。いまは免許停止期間なのですよ。ああ、ゲーム内ではスピード出し放題なので、もう何も怖くない! アカバンされなくて本当によかった!」
どうしようもない理由だった。
「フン。車で満足していいのか? バイクなら風を切る感覚がクセになるぞ」
「くっ、私も免許さえ取りに行けたら! 時間さえ確保できたら!」
「そうだな。この私もバイクにはたまに乗るが、あれは良い乗り物だ」
「え! 姫さんもバイク乗るの!?」
そんなことを話しながら盛り上がっていると、申し訳なさそうにクルセさんが近づいてきた。
さっきまで夕飯の用意をしてくれていたけど、買い出しのお願いかな?
「おい、すまないが……彼が来たぞ」
「彼? ああ、草か。どうした、寂しいのはわかるが、役目は完遂してくれ」
「寂しいのはわかるけど、出てくるのはやすぎ草」
「お前もバイク乗るか? 草」
「顔にヨダレの後がついてる草」
「お前らその呼び名はヤメロォ!」
ギャンギャン言う草はスルーして、クルセさんが通訳をしてくれる。
「つまりは、アカバンの囚人が出たらしいぞ。その情報を持って帰ってくれた」
初っ端から?
でも3回も倒さないといけないからありがたい。
あとは誰が行くかだけど……。
「これも運だ。順番通りタカマチ君とデス子君が行くと良い」
「え、いいんですか!」
「腕がなるわね」
今度は逃げずに勝ってやるんだから!
……その心意気は、予想以上にファンシーだった部屋を見た瞬間にブチのめされたけど、勝ってやるんだから。
ブクマ、評価ありがとうございます!




