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まほカン  作者: jukaito


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第131話 福神! 少女の幸福と不幸は表裏一体! (Aパート)

「ただいま」

「よう、帰ってきたか」

 学校からアパートの部屋に帰ってきたかなみは、あるはずのない返事がしてきて硬直する。

「……なんで、あんたがいるのよ?」

 かなみは畳の上に居座っているそれに問いかけた。

「お前を貧乏にするために」

 それは、カビが生えた小判に手足が生えた小動物のようなモノは、堂々とそう答えた。

「帰って! この厄病神!!」

「なに!? 貧乏神に向かって厄病神とはなんたる言いぐさだ!」

「じゃあ、この貧乏神!!」

「おう、貧乏神だ!」

「偉そうに言ってんじゃないわよ!!」

「神様だからな!」

「貧乏神でしょ!」

「貧乏神でも、神様は神様だ! ありがたく敬えってんだ!」

「貧乏神を誰が敬うっていうのよ? それで何しに来たの?」

「何しに来たって言い草だな。俺とお前の仲じゃねえか」

 かなみがミドリと名付けた貧乏神は、我が物顔で部屋の真ん中に座ってくつろいでいる。

「一体どういう仲よ? 家に勝手入ってくるような仲だっけ?」

「俺はそう思ってる」

「私はそう思ってないわよ」

「つれないな。友達なくすぞ」

「大きなお世話よ。それで、なんで来たのよ?」

「おう! それなんだよ! 聞くも涙、話すも涙の話よ! あ、茶でも入れてくれ」

「だから、なんで偉そうなのよ?」

 文句を言いながら、かなみはお茶を入れる。

「それで話は?」

「おう、聞いてくれ! 実はな……俺や仲間は住処を追われたんだ!!」

「住処を、追われた……?」

 物騒な話になった、と、かなみは身構える。

 以前、かなみはこの貧乏神のミドリ(身体がカビのようなミドリをしていることからそう名付けた)と他の貧乏神の仲間のアカ、シロ、クロを見つけ出す仕事を引き受けた。

 その仕事のあとは、あるみが貧乏神を求めている組織に送り付けたらしい。

「奴がきたんだ!!」

「奴?」

 貧乏神は神妙な面持ちで告げる。

 その奴というのは敵らしい。それも貧乏神と敵対しているからには相当な敵のはずだ。

「奴って何なの?」

「それは――福の神だ!」

「福の神?」

 かなみは拍子抜けして首を傾げる。

「福の神って、福をくれる神様のこと?」

「そうだ! 福をくれるっていうとんでもねえ神様だ!!」

「いい神様じゃない」

「とんでもねえって!! いいか、福をくれるっていうことはな! 不幸をくれる俺達貧乏神の天敵ってわけだ!!」

「あ、なるほどね、天敵ね」

 かなみは納得する。

「それはありがたいことね。まるでゴキブリを食べてくれるクモみたいな感じね」

「俺はゴキブリかよ!?」

「自覚はあるのね」

「かー、なんて奴だ!? こんな奴の元に逃げ込まなくちゃならない身の上に泣けてくるぜ」

「いや、泣かれても困るんだけど……」

「本当に泣くわけねえだろ、バーカ!」

 そんな風に返されて、かなみは頭を抱える。

「そんで、俺達は福の神に襲われて、散り散りになって、俺はやっとのことでこの部屋にたどりついたんだ!」

「それはまたご苦労なことね」

 かなみにとっては他人事だった。

「おい、せっかく頼ってきてやってるのにその言いぐさはないだろ」

「いい迷惑よ。出て行ってよ」

「出てけって? 冗談じゃねえよ! 福の神が俺を追ってるんだぜ!? 今出ていったらそいつにやられちまう!! なあ、助けてくれよ!?」

 そう懇願されると、かなみは弱かった。

「そ、それは……」

「俺は非力で無力な貧乏神なんだ!? 福の神にやられる俺をかわいそうだと思わねえか!?」

「そ、それはまあ確かに……やられるのは、ちょっとかわいそうかも、って思うけど……」

「だろ!? そうだろ!? だろ!?」

 ミドリは、かなみの制服のスカートにすがりつく。

「わあ、くっつかないで!? 貧乏神なんだから、貧乏になるぅッ!?」

「君の場合、これ以上貧乏になる方が難しいかもだけどね」

 マニィは言う。

「これ以上借金が増えることはあるかもしれないのよ」

「ああ、それはあるかもね」

「やっぱり、貧乏神には出て行ってほしいわね」

「なあ、頼むからそんなこと言わないでくれよ! 奴は俺をかぎつけてここまで追ってくるかもしれないんだ!! かくまってくれよぉぉッ!!」

「福の神なら是非うちに来てほしいんだけど……」

 そうして、願わくば福をもたらして、借金を減らしてほしいと思う。

「それにしても、福の神ってどんな神様なのかしら?」

 かなみは福の神に興味を持ち始めた。会ってみたいとも。

「おいおい! そんなこと言ってると、奴が来ちまうぞ!!」

「そんな言い方してると、まるでお化けみたいじゃない。……ちょっと怖い」


ピンポーン!


 部屋のインターフォンが鳴り出す。

「キャッ!?」「ヒャッ!?」

 お化けの話をした後に鳴ったので、かなみは驚く。

「ほ、ほらほら、話をしてたら、もう来ちまったぞ!?」

「まさか、そんな……」

 かなみは扉の方へ歩み寄る。

 そもそも、今は仕事が終わって夜更けの時間。

 かなみの部屋を訪ねてくる人は限られてくるし、その心当たりがあるような人はインターフォンを鳴らさずに入ってくる人ばかりだ。

(誰が来たのかしら……?)

 かなみはおっかなびっくりで扉を開ける。

「なんだ、コウちゃんか」

 扉の前に立っていたのは煌黄だったので、かなみは拍子抜けする。

「コウちゃん、どうしたの? いつもインターフォン鳴らさず入ってきてるでしょ」

 かなみは扉を開けて、煌黄に問う。

「すまんすまん。その方がビックリさせられると思ってな」

「どんな理由よ? 確かに、ちょっとビックリしたけど」

「そうじゃろそうじゃろ。それでな、今日はのう、客を連れてきたんじゃ」

「客?」

 煌黄の周りに人らしい人はいない。

 周りに、人はいない。

「肩に乗ってる、その、人?」

 かなみは指差して訊く。

「そうじゃ、とはいえ、人ではなく神様じゃがな」

「神様!?」

「どうも初めまして、福の神」

 肩に乗っている人、和装に羽衣をまとった妖精のような童女がペコリと一礼する。

「福の神……神様、本当に神様なんですか?」

「はい、私は神様です。敬ってください」

「そんなに堅苦しくせんでもよいではないか」

「堅苦しい、かしら?」

 どちらかというと、尊大なきらいを感じる。

「こちらに貧乏神が逃げ込んでいると伺ったのですが」

「え? そ、それは……」

 かなみは迷った。

 貧乏神が逃げ込んでいるのは本当だけど、この福の神に正直に言っていいのか。

 まるで逃亡犯を警察に突き出していいものか、みたいな心境だった。

「――いるんですね?」

 福の神の目がキラリと鋭く光る。

「え、えぇ……」

「かなみよ、隠しておくとタメにならんぞ」

 煌黄まで尋問してくる。

「うぅ……」

 仙人にそこまで言われると、かなみはもう隠しておけなくなった。

「実は」

 その直後、貧乏神が「あ~俺を売り飛ばしやがった!!」と騒ぎだした。




「う~う~」

 貧乏神はテーブルの中央に座り込んでうなだれている。

「これ大人しくせんか」

 煌黄はたしなめる。

 貧乏神は毛糸でできたロープで縛られていて、身動きができない。

「大人しくしてたらやられちまうだろ!」

 貧乏神は福の神を睨みつける。

「当然です。貧乏神は駆除対象です」

「俺はゴキブリじゃねえ!!」

 さっきも似たようなやりとりをしたような、と、かなみは密かに思った。

「当然です。貧乏神が一人いたら実は四人いたら困ります」

「俺達は四人で仲良く暮らしてたんだぞ! それをよくも荒らしてくれやがったな!!」

「貧乏神を倒すためにやったのです。責める謂れはありません」

「どうして、貧乏神を倒そうとしてるの?」

 かなみは気になって訊く。

「そんなの当たり前じゃないですか?」

「え?」

 逆に訊き返された。

「あなた達人間はゴキブリをみたら潰しませんか?」

「あ~……苦手だけど……潰すわね……」

「おいぃぃぃぃぃぃッ!!」

 ミドリは不満を上げる。

「俺はゴキブリじゃねえって何度も言ってるだろ!!」

「何度も?」

 福の神は首を傾げる。

「こっちの話なので気にしなくていいわ」

「では、気にしません。ゴキブリのことなので」

「ゴキブリゴキブリって、俺はゴキブリじゃねえ!! 貧乏神様だ!!」

「それでは、その貧乏神様を駆除させてもらいます」

「いやいやまてまて! 話し合おうじゃねえか!! 話せばわかる!! な! なぁ! なぁぁぁッ!!」

「貧乏神もああ言っていることじゃし、話を聞こうではないか」

 煌黄が福の神を諭す。

「はあ~、仕方ありませんね……」

 福の神は天女のような見た目に相応しくないため息をつく。

「それで、福の神様は、」

「フク、と呼ぶことを許可します」

「フクちゃんが貧乏神を倒そうとしてるのは、ゴキブリを潰すことと同じなの?」

「同じですが、他にも利点があるのです」

「利点?」

「貧乏神を倒すことで、徳を積み、神の(くらい)をあげられるのです」

「徳? (くらい)?」

 かなみには何のことだかわからなかった。

「オホン、儂が説明しよう」

 煌黄が教師めいた態度をとって説明する。

「神の中には(くらい)というものがあってな。要するに人間でいうところのレベルや階級のようなものじゃ。神の中にも人間と同じように序列があるんじゃ。フクがこうして儂らと会話できるのは神の中でも位が低いからじゃ」

「そ、そういうことです」

 フクは引きつった笑みを浮かべて言う。

「それで、『徳を積む』というものは神としての役割に沿った行いをすることで、神の位が上がる、といった仕組みじゃ。ゲームで言うと、フクが貧乏神を倒すと経験値が得られて神としてレベルアップする、ということじゃ」

「なるほどね」

 煌黄の説明は、かなみにとってわかりやすかった。

「じゃあ、あんた倒されたら?」

「おいぃぃぃぃぃッ!? 何聞いてたんだ!?」

「福の神様が貧乏神を倒して、偉い神様になるって話でしょ」

「全然ちげえよ!! このままじゃ俺を倒されちまうよ!!」

「それでは戦いますか? 抵抗しても構いませんよ」

 フクは余裕を持って答える。

 とても神様らしい貫録ある余裕だった。

「そ、それは……」

 ミドリはたじろぐ。

 貧乏神には、戦う力はなく戦いになっても返り討ちにあうだけなのは自明の理だった。

「お、おい、なんとかしてくれよ!」

 ミドリは、かなみを頼る。

「なんとかって……」

 かなみは自分に何ができるかわからず困惑する。

「人間の出る幕ではありません。これは私達神々の問題です」

 フクの尊大な物言いに、かなみは少しムッとする。

「神様だからってエラそうに……!」

「実際偉いのですから当然のことです」

「……コウちゃん?」

 かなみは煌黄を手招きする。

「なんなの、この神様?」

 近づいてきた煌黄に耳打ちする。

「見ての通り神様じゃからな。態度もそれ相応になるというものじゃ」

「それにしても……」

「鼻につくといいたいのじゃろう。儂も同感じゃが、神様じゃからな。諦めるより他ない」

 かなみは釈然としなかった。

「あなた達、何をコソコソ話してるのです?」

「あ、い、いえ、どうしたらフクちゃんとミドリが穏便に済ませられるかなって……」

「う、うむ……どうか、平和的に友好的に解決できんか?」

 かなみと煌黄はあわててごまかす。

 しかし、それもまた本音だった。

「できませんね」

 フクは断言する。

「私はこの貧乏神を倒して、徳を積んで上位の神へと駆け上がるのです」

「俺は福の神の踏み台じゃねえ!」

「踏み台であり、糧であります」

「冗談じゃねえ!!」

 ミドリはもがいて、仙術のロープを解こうとする。

「くそ! これ、ほどけねえ!!」

「仙術で固めた毛糸じゃ。ちょっとやそっとでは解けないようにしてある」

「そう聞くと、コウちゃんの方が神様らしいかも」

 かなみは苦笑する。

「さあ、大人しく私に倒されなさい」

「嫌だああああッ!!」

「あ、あの……」

 貧乏神を見かねて、かなみは割って入る。

「何ですか?」

「いくらなんでもかわいそうな気がして」

「かわいそうなのは錯覚です。貧乏神は倒されるべきです。倒さないと不幸があなたに降りかかってきますよ」

「そ、それは、困る」

「おい、裏切るのかよ!?」

 ミドリは物申す。

「でも、あんた貧乏神だし……」

「貧乏神だって神様だぞ! 俺をかくまわせてくれたっていいじゃねえか!?」

「でも、あんたがいると貧乏になるし」

「借金してるやつが貧乏になるなんて気にしてんじゃねえ!!」

「そ、それは……!」

 かなみは反論したかったけど、借金しているのは事実なので反論できなかった。

「確かにそれは気になっていました」

 フクが、かなみをジッと見て言う。

「何が気になっていたの?」

「あなたはあまりにも貧相です。何か貧乏神クラスの不幸がとり憑いていることが考えられます」

「え? 貧乏神クラスの不幸ってなになに?」

 フクが深刻な面持ちで言うものだから、かなみは不安に駆られる。

「それはこれから視てあげましょう。場合によっては貧乏神を見逃してもいいでしょう」

「ミドリを見逃してくれるの? それに私の不幸って視えるものなの?」

「私は福の神です。他人の幸不幸は視ることができます」

 フクは得意げに言う。

「あなたにとり憑いている不幸がもし貧乏神がもたらす不幸を超えているのであれば、あるいは貧乏神を倒すよりも高い徳を積むことができるでしょう」

「とり憑いている……」

 かなみはその単語に不安を禁じえなかった。

 もしかしたら、その不幸のせいで借金を背負うことになったり、このアパートでの貧乏生活を強いられていたりしているのだとしたら、一筋縄ではいかないものになりそうな予感がする。

「ですが、安心してください。この私、福の神があなたの不幸を取り払ってあげましょう」

「え、取り払うって本当にできるんですか?」

 かなみは福の神の尊大だけど、自信ありげな物言いに希望を見出す。

「ええ、私は福の神ですよ。神様なのですよ。人間の不幸など一息で払って見せましょう」

「おお!」

 かなみにとって、フクのセリフはこの上なく頼もしい感じた。

 まさしく福音としかいいようがなかった。

「それでは、診てみましょう。まずはそこに座ってください」

「ええ!」

 希望に胸が膨らむかなみは、福の神に言われるまま、福の神の目の前に座る。

「こうすることであなたの不幸のオーラがよく視えます。オーラを視て、私の術で捉えることができれば取り払うことができるでしょう」

「よくわかりませんが、よろしくお願いするわ」

「よろしい。視えました。あなたの不幸のオーラはここです」

 福の神はヒラヒラと羽衣をなびかせて優雅に飛び、かなみの首筋に立つ。

「あなたの不幸のオーラの出元はここです。ここから引き抜きます」

不幸抜(ふこうぬ)きの術じゃ」

 煌黄がかなみに説明するように言う。

雑草抜(ざっそうぬ)きみたいな術ね」

 かなみが正直に言うと、煌黄はクスリと笑う。対して、フクは不機嫌顔で言う。

「これは、神様にしかできない術です。そのような例えで貶めないでください」

「それはすみません。どうか私の不幸を取り払ってください」

「うむ。神を敬うことが肝要なのです。その心がけを大事にしてください。それでは私は摘出術(てきしゅつじゅつ)を顕現します」

 福の神はかなみの首筋にその小さな手を掛ける。

 ああ、これで長らく悩まれ続けていた不幸から解放されて、一気に借金を返済することができる。と、かなみは思った。


バァン!


 そう思った瞬間、バクチクのような音が鳴った。

「……え?」

 かなみが振り向くと、弾き飛ばされるフクの姿があった。

「キャアッ!?」

 フクはそのまま壁に叩きつけられて、頭からに床へ落下する。

「あ、あの……?」

 かなみは不安げに問う。

「う、うぅ……なんということでしょう……」

 フクはヨロヨロと立ち上がる。

「想定以上に強い不幸です……」

「想定以上? 強い?」

「あまりにも強かったので、私の術が弾かれました……」

「え、だ、大丈夫なの?」

「大丈夫です!」

 フクは強気になって返す。

「想定以上に強いのであれば、それ以上の強い術で倒せばいいだけの話です!」

 フクは再びかなみの首元に飛び移る。


バァァァ!


 今度はより勢いよく壁に叩きつけられる。

「あ、あの……?」

 床に転がったフクに問う。

「大丈夫です!」

 フクは立ち上がる。

「そうなったら、より強い術で対抗するまでです! 私の最高の術をもって!!」

 フクは三度かなみの首元に飛び移る。

「あの……無理そうなら、無理しなくていいんだけど……」

「何を言っているのですか!? これは神の沽券(こけん)に関わることです!!」

 フクは意地になって答える。

不幸退散(ふこうたいさん)の術! せいぃぃぃぃぃぃぃッ!!」

 フクの裂帛の気合とともに首元に手をかける。


バァァァァァァン!


 しかし、三度フクは吹っ飛ばされて壁に叩きつけられて、床へ頭から落下する。

「あ、あの……大丈夫?」

 かなみは心配そうに声をかけた。

「大丈夫、では、ありません……」

 フクは弱々しい返事をして立ち上がる。

「私が持ち得る最高の術をもってしても、どうにもできないなんて……こんなことはありえません……」

 ワナワナと震えるフク。

「あの、えっと……」

 かなみはなんて声をかければいいのわからなかった。

「ひ!?」

 そんなかなみと目が合った瞬間、怯えた悲鳴を上げる。

「ど、どうしたの!?」

「――こないでください」

「え?」

 フクから信じられない

「ち、近寄らないでください! あなたのような不幸の塊をまとったような人間、本気になれば私は消滅させられるかもしれません!!」

「え、消滅?」

「不老不死である神にとって、消滅とは文字通り消えてなくなる。『死』と同義なのじゃ」

「そ、そんなこと、私させないよ!!」

「はわわわわわッ!?」

 フクは一目散に玄関へと逃げ出し、扉を開けて部屋を出ていく。

「そんな、逃げるなんて……」

「ククク、アーハハハハハハハッ!!」

 ミドリは大笑いする。

「最高! 最高だったぜ!! あの高慢チキな福の神があんなアホ面でしっぽをまくなんてよ!!!

「そんなに笑うことないじゃない」

「なんだよ、かなみ!? お前は爽快じゃなかったんか!? あんな偉そうにしてた神様が、『こないでください』なんてよ、アハハハハ!!」

 ミドリは腹を抱えて笑い転げる。まさに抱腹絶倒であった。

「うむ、確かにあれは愉快であった」

「コウちゃんまで……」

「かなみはそう思わなかったのか。あの福の神様は偉そうだったとか?」

「うーん、それはちょっと思ったけど……って、コウちゃん、そんなこと思ってたの?」

「うむ。神は仙人より位が上じゃからな。迂闊なことは言えんもんじゃ、ホホホホ」

「コウちゃんって仙人ってことよく忘れちゃうわね」

「それはお主が仙人に近づいてきたということではないか?」

「そうかしら?」

 あんまり嬉しくなかった。

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