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転生先は悪役令嬢?破滅ルート?そんなことより推し「モブ文官」に全力推し活ですわ!!〜推し活令嬢はハッピーエンドを望まない〜  作者: 逢華
第2章 リリアーナ(11) やっぱり推しは最高ですわ!

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第83話 お揃いの髪飾り

「マリー、あちらのお店を見にいきましょう!」


花園の小道を歩いていたリリアーナは、道の先にある小さな売店を見つけると、ぱっと顔を輝かせた。


木造の店先には、花をあしらった小物が並んでいる。乾燥させた花を閉じ込めた小さな飾りや、花びらを模したブローチ、色とりどりのリボン。そして、細い金具に小さな花を添えた髪飾りもあった。


「どれも可愛らしいですわ!」


リリアーナは並んだ品々を前に、目を輝かせた。

先ほど花壇の前でマリーと交わした会話を思い出す。


お揃いの髪飾り。


そう考えただけで、胸の奥がくすぐったくなるような嬉しさが込み上げてきた。


リリアーナが手に取ったのは、小さな白い花を二輪あしらった髪飾りだった。花の中心には淡い桃色の石が埋め込まれ、細い葉を模した飾りが添えられている。華美すぎず、それでいて花園の思い出にふさわしい品だと思った。


「まあ、可愛らしいですね。白いお花がとても綺麗です」


「でしょう? こちらなら、わたくしにもマリーにも似合いそうですわ!」


「私にも、ですか?」


マリーは少し驚いたように目を丸くした。


「ええ。マリーの髪にも、きっとよく映えますわ。それに、わたくしだけが身につけるのでは、お揃いになりませんもの!」


リリアーナはそう言って、もう一つ同じ髪飾りを探し始めた。


ところが、棚に並んでいるのは花の色や形が少しずつ違うものばかり。白い花の髪飾りは残り一つしか見当たらない。


「店員さん、この髪飾りと同じものは、ほかにもございませんか?」


「少々お待ちくださいませ。こちらの箱に、同じものがもう一つございますよ」


店員が奥から小箱を取り出し、同じ髪飾りを並べて見せてくれた。


「まあ! ありがとうございます!」


リリアーナは二つを並べ、じっくりと見比べた。


花びらの形も、桃色の石の輝きも、ほとんど同じ。

けれど、よく見ると一方の花はほんの少しだけ右を向き、もう一方は左を向いている。


(まるで、並んで咲いているお花みたいですわ!)


そんなことを考えると、ますますこの髪飾りが気に入ってしまった。


「こちらを二つ、お願いいたします」


「かしこまりました」


店員が小箱に入れて丁寧に包もうとすると、リリアーナは慌てて声をかけた。


「そのままで大丈夫です、すぐつけますから!」


「ふふっ、かしこまりました」


「ありがとうございます! こちらはわたくしの分、そしてこちらはマリーの分ですわ!」


リリアーナは受け取った一つを、両手でマリーへ差し出した。


「マリー、今日の旅行の記念です。お揃いで一緒につけませんか?」


マリーは照れくさそうにするリリアーナの顔と髪飾り見つめ


「本当にいただいてよろしいのですか?」


「もちろんですわ! マリーとお揃いの物がほしかったのですもの。それに……」


リリアーナは少しだけ声を小さくした。


「いつもわたくしの髪を綺麗に整えてくださるでしょう? 今日は、マリーにもわたくしと同じように、おしゃれを楽しんでいただきたいのです」


マリーの頬が、ほんのりと赤くなった。


「……ありがとうございます。大切にいたしますね」


「ふふ、今すぐつけてみませんこと?」


リリアーナは待ちきれない様子で、自分の小箱を開けた。


髪飾りを取り出し、鏡の代わりに店先の磨かれた小さな金属板をのぞき込む。けれど、慣れない手つきでは、なかなか思いどおりの位置に留められない。


「むむ……。もう少しこちらでしょうか?」


「リリアーナ様、私がお手伝いいたします」


マリーは微笑みながら、リリアーナの髪へそっと手を伸ばした。


いつものように手早く髪を整え、白い花の髪飾りを留める。少し離れて全体を確かめると、マリーは満足そうに頷いた。


「はい、とてもよくお似合いですよ」


「本当ですの?」


「はい。白い花が、リリアーナ様の髪によく映えております」


「まあ……!」


褒められたリリアーナは嬉しそうに頬を緩めた。


「それでは、次はわたくしがマリーにつけて差し上げますわ!」


「えっ、リリアーナ様が?」


「もちろんですわ! お揃いなのですから、わたくしにもお手伝いさせてくださいませ」


リリアーナは真剣な顔でマリーの髪飾りを手に取った。


けれど、普段はマリーに整えてもらう側である。どこに留めれば綺麗に見えるのか、いざ自分でやろうとすると分からない。


「……こちらでしょうか?」


「もう少し上のほうがよろしいかもしれません」


「こ、こちらですの?」


「はい。あっ、少しだけ右へ……」


「み、右ですわね!」


二人は顔を見合わせ、とうとう笑い出してしまった。


「ふふっ、思ったより難しいですわね!」


「はい。でも、リリアーナ様がつけてくださるのなら、どこでも嬉しいです」


「マリー……!」


その言葉に感激したリリアーナは、今度こそ慎重に髪飾りを留めた。


白い花が、マリーの髪にそっと咲く。


「できましたわ!」


「ありがとうございます、リリアーナ様」


二人は並んで店先の鏡をのぞき込んだ。

同じ白い花が、それぞれの髪に揺れている。


同じものなのに、身につける人が違えば、違った印象になる。リリアーナの髪飾りは明るく華やかに見え、マリーの髪飾りは落ち着いた優しさを添えていた。


「まあ……素敵ですわ!」


リリアーナは自分の髪飾りに触れ、それからマリーの髪を見上げた。


「マリー、今日はずっとこれをつけていてくれませんか?」


「はい。もちろんですとも」


「そして、お屋敷に帰ってからも、ときどき一緒につけましょう!」


「ふふ、かしこまりました」


二人はもう一度、顔を見合わせた。


髪に揺れる、同じ白い花。


それを見るたびに、今日の楽しい思い出がよみがえるに違いない。


二人は顔を見合わせ、嬉しそうに笑い合った。

あと数話で学園編って決めてたのに、まだ書きたいことがあるから90話くらいからになりそうです:( ;´꒳`;):


次は11時頃に投稿予定です。

次回 《氷の才女、セシリア・ヴァイス》ですわ!




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