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転生先は悪役令嬢?破滅ルート?そんなことより推し「モブ文官」に全力推し活ですわ!!〜推し活令嬢はハッピーエンドを望まない〜  作者: 逢華
第2章 リリアーナ(11) やっぱり推しは最高ですわ!

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第79話 成長中のお嬢様

「リリアーナ様。この問題、どのように考えればよいか説明していただけますか?」


マダム・ヴァレンティーノが差し出したのは、複数の条件を整理して答えを導き出す問題だった。


「まず、こちらの数字を比べますわ。そうすると、次に確認すべきところが分かりますもの」


リリアーナは答案の一部を指で示しながら、順序立てて説明していく。


「なるほど。では、条件が一つ増えた場合はいかがでしょう?」


「その場合は、先ほどの計算をそのまま使うのではなく、こちらを先に確かめますわ」


迷いのない返答に、マダムは答案へ目を落とした。

正解を出すだけではない。なぜその答えになるのか、別の条件ならどう変わるのかまで理解している。


「大変よくできています。以前よりも、物事を順序立てて考える力が身につきましたね」


「本当ですか?」


「ええ。知識を覚えるだけでなく、自分で考えて答えを導き出せるようになっています」


リリアーナの顔がぱっと明るくなった。


(やりましたわ! これなら王立学園へ進んでも、きっと困りませんわね!)


「ありがとうございます、マダム! 次の問題もお願いいたしますわ!」


「その意欲は素晴らしいですが、今日はここまでにいたしましょう。続きは明日の授業で」


「……もう終わりですの?」


「十分に集中して取り組まれましたからね」


マダムが教材を片づける間、リリアーナは解き終えた答案を見直した。間違いはない。自分の考えを言葉にして説明できたことが、何より嬉しかった。


♢


「お嬢様、お着替えをお手伝いいたしますね」


授業を終えて自室へ戻ると、マリーが新しい服を用意して待っていた。


袖を通し、背中の留め具を留めてもらう。ところが、胸元の布が以前より張っていることに気づいた。


「マリー。こちらの服、前より窮屈になっていませんこと?」


「そうですね。丈も少し短くなっていますし、胸周りも余裕がなくなってきています」


「まあ……!」


リリアーナは鏡の前に立ち、姿を確かめた。

いつの間にか背丈が伸び、以前は余裕のあった服も合わなくなっている。


「わたくし、ちゃんと大きくなっているのですわね」


「はい。お嬢様は成長なさっていますから」


「でしたら、新しい服を仕立てる必要がありますわね。今度はどんなデザインにいたしましょう!」


鏡の中の自分を見つめながら、リリアーナは新しい服のことを考え始めた。


♢


夕食後、家族が集まる食堂には、エレノアが用意したケーキが運ばれてきた。


「今日はリリアーナの好きなケーキにしてもらったのよ」


「まあ! ありがとうございます、お母様!」


「授業も頑張っていると聞いたよ。マダムからも、理解力が伸びていると報告を受けた」


アルベルトの言葉に、リリアーナは嬉しそうに頷いた。


「はい! 今日の問題は、自分の考えを説明することもできましたの」


「それは素晴らしい。これからも楽しみだね」


「お父様、わたくし、もっと勉強を頑張りますわ!」


「期待しているよ。ただし、無理はしないようにね」


エレノアが切り分けたケーキを前に、リリアーナは目を輝かせた。


「いただきます!」


ひと口食べると、甘いクリームと果物の味が口いっぱいに広がる。


「おいしいですわ!」


「気に入ってくれてよかったわ」


家族に祝ってもらい、今日できるようになったことを話し、大好きなケーキを食べる。そんな何気ない時間が、リリアーナにはたまらなく幸せだった。


(勉強も、成長することも、家族と過ごす時間も。全部、大切にしていきたいですわ)


リリアーナはもうひと口、ケーキを頬張った。


十一歳の毎日は、今日も温かく過ぎていく。

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