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転生先は悪役令嬢?破滅ルート?そんなことより推し「モブ文官」に全力推し活ですわ!!〜推し活令嬢はハッピーエンドを望まない〜  作者: 逢華
第2章 リリアーナ(11) やっぱり推しは最高ですわ!

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第69話 アルベルトとヴィクトル

「ヴィクトル。フェルナーの商品を、アドラー商会で買おう」


アルベルトがそう告げると、ヴィクトルは机の書類から顔を上げた。


「現在の商人より高い値で、ということでしょうか」


「ああ。王都の卸値は確認できた。輸送費と保管費を引いても、うちの販路なら利益が残るはずだ。商会に正式な試算を出させてくれ」


「承知しました。フェルナー男爵家への提示額も、合わせて用意させます」


ヴィクトルが手帳を開く。アルベルトは机に広げた商品一覧を指で押さえた。


「独占契約にはしないでくれ。ほかに売り先ができたら、フェルナーは自由に選べるように。それと、材料費が上がった時は買い取り額を話し合う条項も入れたい」


「商会側にも利益が残る条件でまとめます」


「頼むよ。助けたいからって、赤字の商売を始めるわけにはいかないからね」


「旦那様なら、そう仰ると思っておりました」


ヴィクトルが笑う。アルベルトも笑い返したが、フェルナー男爵家の名が書かれた紙を見ると、表情を和らげた。


「……これなら、リリアーナのお願いも叶えられそうだ」


「お嬢様には、商会の話を?」


「まだだよ。男爵家が条件を見て、受けると決めてからにする」


アルベルトはあの日のことを思い出した。リーネの隣で、リリアーナは自分がこれから欲しがるものを全部我慢してもいいと言った。


「昔はね、仕事中に『お父様、お願いですわ』って来てくれたんだ。庭へ行こうとか、一緒にお菓子を食べようとか。可愛かったなあ」


「そのたびに、旦那様は仕事を中断なさっていましたからね」


「あの時は君がいてくれて助かったよ」


「今も、助けておりますが」


「もちろん。いつもありがとう」


ヴィクトルが肩を揺らすと、アルベルトは机の端に置かれた娘の手紙へ目を向けた。


「最近は、あの子からお願いされることも減ったんだ。それが久しぶりに頼ってくれたと思ったら、自分のためじゃなかった」


「リーネ様と、フェルナー領のためでしたね」


「ああ。自分の欲しいものを全部諦めてもいいなんて言うんだよ。……あの子自身が助けてほしいと言っているみたいで、心にきたよ」


アルベルトは手紙を手に取り、折り目を指でなぞった。


「ここで動かなければ、父親失格さ」


ヴィクトルは、幼いリリアーナが父の袖を引いていた姿を覚えている。今度は友達の手を離したくなくて、父を頼ったのだ。


「旦那様。商会への指示は、私がすぐに出します」


「ありがとう。利益が出る商売なんだ。遠慮なく、いい条件を持っていこう」


「はい。フェルナー男爵家にも、施しではなく取引としてお話しできます」


「それがいい。あちらにも、これから自分たちで売り先を選んでほしいからね」


ヴィクトルが立ち上がり、扉へ向かう。アルベルトは呼び止めて、もう一つ頼んだ。


「取引が始まったら、この事業の利益は別に記録しておいてくれ。商会が働いた分は当然商会のものだ。そのうえで、リリアーナの取り分を設けたい」


「お嬢様の取り分を、ですか」


「あの子は商売を探しに行ったわけじゃない。でも、リーネ嬢と友達になって、フェルナーへ行って、私に話してくれた。だから見つかった商売だろう?」


「……ええ。お嬢様がいらっしゃらなければ、始まらなかったお話です」


「いつか自分で使い道を決められるようになったら、渡してやりたいんだ」


ヴィクトルは手帳に書き加えた。


「では、まずは商談を成立させましょう」


「ああ。リリアーナには、ちゃんと決まってから知らせたい」


「きっとお喜びになりますね」


ヴィクトルが言うと、アルベルトは頷いた。


「そうだといいな。あの子、フェルナーから帰ってきてからも、リーネ嬢のことを気にしていたからね」


「では、早くよいお返事をいただけるよう、商会へ話を通してまいります」


「頼むよ。リリアーナには、決まってから私の口で伝えたいんだ」


ヴィクトルが一礼して扉へ向かう。アルベルトはフェルナー男爵家宛ての便箋を引き寄せ、最初の一行を書き始めた。


この作品が「明日も続きを読もう」と思えるような、日々の楽しみのひとつになれたら嬉しいです!ブクマや☆で応援よろしくお願いします(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”


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