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18話 それゆけ! ぶらこんマンえくすたしー!!!

 私たちは東京に移動した。


 『じゃあ、人数確認もしたいので、順番に現実世界へ戻りますわよ。最初はぷちジャンのみなさんですわね』


 『はーい! 戻るですー!』


 『はいー!』


 『それでは、お先に失礼しますね』


 3人は、目の前で消えた。


 『大丈夫です、無事に人格データの再送信に成功しました』


 『ふう、よかったですわ。では、次は渚さんと、ネクステ18期生のみなさんですわ。ですが、喜楽里さんと藍さんはまだ残っておいてください』


 『晴人くん、現実世界に戻ったらまた連絡してね』


 渚さんが晴人にウインクする。


 『もちろんです』


 『早く戻らなくちゃね、仮想空間の方の藍が待ってる』


 3人も、すっと消えた。


 『そっか、私だけ現実の世界と同じ姿なんだよね。なんだかややこしいや』


 『そういえばっ!』


 私、完全に忘れてた。


 『リーフィ! 私の姿ってもとに戻せるの!?』


 『ええ、戻せるわよ。でも、お兄さんに会ってから元に戻したほうがドラマティックじゃない?』


 『それもそうだね! 採用!』


 『絶対忘れてただけや・・・・・・』


 『ところで、あなたがた2人はこれからどうするんですの?』


 『そうか、私たちはVスタジオで生活することになるんだよね』


 『一応、お兄様に頼めば新しく世界を作ることも出来ると思いますが・・・・・・』


 『うーん・・・・・・どうしよ』


 『この世界やったら、ずっと1ヶ月を繰り返せるねんな』

 

 『そしたら、ずっとおにいちゃんと兄弟でいられる、それに、おにいちゃんに変な虫がつくこともない』

 

 どうしよう、確かにそれは幸せなことかもしれない。でも、でも・・・・・・。

 

 『おにいちゃんと一緒に歳をとりたいな。白髪になるまでずっと兄弟でいたい』

 

 『夏芽・・・・・・』

 

 『あのさ、贅沢っていうか、無理なお願いだと思うんだけど。現実世界で暮らすことって出来ないかな?』

 

 『えぇっ? 申し訳ありませんが、それは無理・・・・・・』

 

 『僕がやったげるよーっ!』

 

  突然私たちの目の前に現れたのは、見たことのない男の人だった。

 

 『どーも! かりんの兄、律帆の父親の白夜だよ!』

 

 『えぇっ!? じゃあ、おにいちゃんの現実の姿!? でも、性格も見た目も全然違うっ!?』

 

 『おかえりですわ、お兄様。お久しぶりですわね』

 

 『突然妹が2人に増えて複雑な気持ちだよ。さて、現実の世界で暮らしたいってことだけど、それは可能だよ! とっくに人体の構成技術は確立してるからね!』

 

 『それって、SFの話じゃ・・・・・・。というか、確か人間を作るのはタブー・・・・・・』

 

 斑鳩さんが驚いている、流石の未来でもクローンとか、人間を作る技術は一般化していないみたいだ。

 

 『人体を作り出す3Dプリンターでね、ちょちょいっと作れるんだよ! いやぁー、律帆にはお世話になったなー、仮想空間に移動できる記憶の同調と、データ化、その他云々の実験台になってくれたわけだし!』

 

 『お兄様、それ、どういう意味ですの?』

 

 『赤ちゃんの律帆をね、人口羊水につけて、意識レベルの簡易化と、思考シュミレーターを作ったんだよ。それがAITuber4号、あれのおかげで次世代のAITuberの自己学習プログラムを構成できたんだっ! まぁそれは置いておいて、こっちの意識を現実の肉体に移し替えることは可能だよ。見た目もそっくりそのまま持っていける』

 

 『一体、どれだけ余罪を吐けば気が済むんですの・・・・・・。本当に、ひどい人ですわ』

 

 『待って、どこかで聞き覚えのある話じゃない?』

 

 『んー。あ! あれや! リーフィさんや! 確か人間のときに液体浸けにされとったって! その影響でお風呂に入ってないと落ち着かないって言っとったわ!!』

 

 『そういえば、リーフィってAITuber4号機・・・・・・』

 

 『え? 4号のこと知ってるの? あれは律帆に似てるのが嫌で研究だけして封印しておいたのに、僕達の探索のために解凍してたのか・・・・・・。で、それも置いておいて、どうするの? 現実世界に来るの?』

 

 『・・・・・・うん、行く。すっごい怪しい話だけど、おにいちゃんと一緒に現実世界で暮らしたい』

 

 『そこに、うちはおるん・・・・・・?』

 

 『五百井に惚気話をしなかったら、誰にすればいいっていうのよ、私とおにいちゃんとの幸せな暮らしのために、ついてきなさい』

 

 『うんっ! 絶対行く! うちも、現実世界へ!』

 

 『いやー! これまた面白くなってきたなー!! 仮想世界の人間が高次元の存在になるとは! よーし、それじゃあしばらくこっちで待機しててねー。ちゃちゃっと作っちゃうから、出来たらすぐ呼ぶよ』

 

 『それって、どれくらい時間がかかるんですか?』

 

 『こっちの世界のスピードは早いから、何十年とかちゃうか・・・・・・?』

 

 『いやいや! 世界の速さの違いとか、そんな単純な話じゃないんだよ! 凡人には理解できないだろうから割愛するけど、きっとすぐ呼ばれるよ、僕達現実の世界の人間にね!』

 

 『社長・・・・・・なんでそんな重要な情報を私たち研究部門に送ってくださらなかったんですか・・・・・・』


 『僕さ、ワンマンプレーが好きなの。誰かに共有するとか面倒くさいしね!』


 そういうと、彼は姿を一瞬にして消した。


 本当に、デタラメで自分勝手な人だ。


 『それではわたくしたちも現実世界にもどりますわ』


 『うん、それじゃあ、また現実世界で』


 『はい、向こうでもお世話になると思います』


 『あっちの世界はBMIとか分からんことばっかやしね、教えてもらわなあかんわ』


 そういうと、2人もすぐに消えてしまった。でも、これはあくまでほんの一瞬の別れ、別に惜しむ必要もない。


 『最後に、挨拶したい人がいるからさ。一緒に回ろうか』


 『奇遇やな、うちもや』


 2人で管理施設を出て、まず向かったのはきゅー子さんの自宅だった。


 『えぇっ!? わざわざ会いに来てくれたのっ!?』


 『はい、今度こそお別れなので・・・・・・』


 『勘違いする言い方すんなや、会いに来よう思たらいつでも来れるやんか』


 『それもそっか、明日かも、1週間後かも、はたまた昨日会うことになるかも』


 『よくわかんないけど・・・・・・。分かった』


 『きゅー子さん』


 『もう2人共大人になったわね。子供の成長は早いとは言うけど・・・・・・』


 『きゅー子さんは、子供はずっと子供のままでいてほしいと思いますか』


 『出来ることならね。でも、子供の素晴らしいところは可愛いだけじゃなくって、奇跡を起こすところだと思うの。子供は可能性に溢れてて、これからたくさんの奇跡を起こして・・・・・・。大人になって良かったと思うのは、それを身近で見守れることね! だから、いいのよ、成長して、というか! 成長してもらわないと困るわ!』


 きゅー子さんは、私たちを抱きしめる。


 『次は、可愛い子供を産んで、わたしに見せてね!!』


 『頑張ります』


 おにいちゃんが好きな私だけど・・・・・・。


 『が、頑張るわ』


 幼馴染の女の子が好きなやつだけど・・・・・・。


 こう考えると、わたしたちに未来ってあるの? なんてね。


 ・・・・・・。


 ・・・・・・・・・・・・。


 かぽん・・・・・・。


 東京の隠れた温泉地で会っていたのは・・・・・・。言うまでもないか。


 『ねぇリーフィ、リーフィは律帆のこと』


 『知ってるわ。というか、気付いた。あの子、私にそっくりだものね』


 『律帆が大きなったら、リーフィさんみたいになるんやろか』


 『さぁね、でも、こんなにお風呂が好きではないだろうし、もっといい子になってると思うわ。だって、たくさんのお友達に囲まれて、挫折を経験して、そこから立ち上がってるもの、きっともっと立派に』


『きゅー子さん言っとったわ。子供は奇跡を起こすし、たくさんの可能性を持ってるって。不思議やな、環境によって変わるんや』


 『『体なんて人間を形成する要素の1%に過ぎないわ。名前は0.01%、人を区別するための基準は92%が心よ』。確か、ずっと前にリーフィはこう言ってた』


 『心に体が付随するのは否定しないわ、その逆もね。でも、誰と関わるか、何を体験するかで人は変わっていくもの。才能は遺伝子でほぼ決まってるけど、才能も能力も人間を構成する要素としては僅かなものよ』


 『92%の心は、経験や環境で変わるってことか、じゃあ確かに可能性で溢れてるってわけだ』


 これから、私たちはどうなるんだろう。私は死ぬまでおにいちゃんが好きで、五百井は死ぬまで私が好きなまま? 今は、この気持ちが燃え上がっている間は、それ以外の未来が想像出来ない。


 『さて、そろそろあがろうかしら』


 『待って、言いたいのは、そんなことじゃないの』


 『え?』


 私がリーフィに伝えたかったこと、それは。


 『ありがとう』


 『・・・・・・。ランの気持ちが少し分かった気がするわ』


 『ホンマ、ありがとうなっ!』


 『うるさい五百井、あんたはお礼を言える立場にないでしょ。あんなことしておいて』


 『うう、当たりが強い・・・・・・』


 私たち2人はいつも姦しい。そんな光景のなか、リーフィは静かに涙を流していた。


 ・・・・・・。


 ・・・・・・・・・・・・。


 『さて、じゃあ現実世界に行くわよ』


 あれから1日後、私たちはリーフィといっしょに管理施設に来ていた。


 『なんや、ちょっと不安やわ・・・・・・』


 『おにいちゃんは?』


 『先に現実世界で待っているわ』


 『よし、迷う必要なし、早く行こう』


 『でも、うちの家族もおらへんのやで、それは夏芽もおんなじや。どうすればええんや』


 『おにいちゃんさえいれば、なんとかする! あんたも、私がいるならそれだけでいいでしょっ!』


 『それも、そうやな。うん、いける気してきたわ』


 『それに、私がついているわ。専属AIなんて、贅沢でしょう』


 『なんで、そないに世話焼いてくれるんや?』


 『さあね、十数年1人ぼっちだった私に、初めて出来た友達だから、かしらね』


 『ほら! 無駄口叩いてないでさっさと現実世界へとばせー!!』


 『なんでうち、こんな傍若無人なんが好きなんやろ』


 『ふふ、お互い様ね』


 そして、私はぐっと気張る。


 『また現実世界に行くんやね。現実世界、We Are Back!! や』


 目の前が徐々に明るくなっていく。


 『それゆけー! おにいちゃんのいる新しい世界へ!!』


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