表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/105

芸術戦闘開幕

「拉致します。はいどうぞというわけにはいかないな」

俺はヴェルに話しかけるが、まだヴェルは笑ってる。


「そうね。展示想像すると面白いけどね」


とはいえ、武器はおろか水着姿で防衛など頭にない俺たち。


そこにフィーナが割ってはいる。


「聖撃宗セト派フィーナと申します」


名乗りをあげて橋の真ん中で仁王立ちだ。

鍛えられた体と白いビキニが眩しい。


というか宗派名そんな感じなのね。


普段と違う凛としたフィーナはかっこいい。裸足とビキニだが、様になっている。

あと筋肉信者がすごい盛りがってるな。


「鍛えら上げられた体なのに、そのような提案をされることを残念に思います。レンはもとより魔王セトを軽く見てますね」


ビキニで仁王立ちするフィーナの姿に、橋の向こうのビキニアーマーたちがざわつく。


「なにあれ……美の体現してる」「神々しさすら感じる……」「あの腹筋……」

なんだ、あっちの兵士たちにも筋肉信仰者が混ざってるらしい。いや、拝むな。おまえら敵だろ。


フィーナは続ける。


「我ら聖撃宗セト派は、肉体の鍛錬と心の律を求める宗派。お相手しますよ」


筋肉信者も端の前に陣取る。


橋の上のは栗毛のビキニアーマー少女とフィーナ。


少女はにこりと笑った。


「私は“帝国認定勇者”、モウラ・レヴィン。かつて第六天魔王ノブ様より、《芸術戦闘の象徴》と讃えられました」


ビキニとは思えぬ姿勢の良さ。背筋が一直線で、まるで聖像のようだった。


「……芸術戦闘? そんなの聞いたことないな」

俺は首を傾げる。


「戦いを美とする流派です。聖撃のような鍛錬の徒とは……考えが違います」

フィーナの目が鋭くなる。


「神を信じ、己を鍛え、魔王を崇める。私たちには……譲れない信念がある」

「ではその“信念”、拝見します。勝者が語る美こそが、真なる芸術ですから」


モウラは剣を橋に突き刺し仁王立ち。


橋の両橋から筋肉信者とビキニアーマー集団の歓声が上がる。

「最初の一撃は、祈りとともに!!」

「腹筋は信仰、上腕は律、拳は神罰!! いざ清めよ!」


あーこっちは聞き覚えあるの混じってるな。


「行くぞォォ! 美の幕開けだッ!!」

「戦いの 美は刹那に宿るッ!お披露目タイムだ、全員注目ッ!!」

筋肉信者に負けない声量と盛り上がり。さては敵も筋肉阿呆だな。


フィーナが手を合わせ、静かに祈る。


「──鍛えしこの身に、迷いなし」


一方、モウラはバスターソードを片手で持ち上げ、くるりと回して背中に回す。


「美の重み、受け止められますか?」

一歩。もう一歩。ふたりは正面から歩み寄り──

バチィン!!橋の中心で、拳と剣の根元が激突する。


観客席代わりの橋の両端が沸き返る!


「筋肉こそ信仰ゥゥ!!」

「黄金比でぶっ叩けェ!!」

「構えが美しいッ!」

「脚線美が極まったああああ!!」



モナがひとこと。


「……あれ、戦いとして成立してるの?」


「わかんねぇけど、盛り上がってるな……」


ビキニとビキニの戦いは幕を開けたのだった。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ