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魔王の村ができました。

ご無沙汰してますセトです。


嫁が強すぎて追放を受けた道具屋で修理工です。


今の肩書きは魔王になりました。


強いのかって?とんでもない。


嫁達が強すぎなだけです。



■■■


魔王城――というにはちょっと大げさで、実際はほぼ集落。

いや、もう村と呼んでもいいかもしれない。ここが俺、セトの追放先だ。


当面はセラの財力に頼って、食料や物資を調達しているが……

いつまでも甘えてるわけにもいかない。そろそろ、稼ぐ手段を真面目に考えないと。


とはいえ、追放された身でも、ノアとの商売は一応できるらしい。


「修復依頼の絵画、置いておくよ」


そう言って数枚の絵を俺の作業部屋に置いていくのは、セラ。

豪商の娘で、美術商で、貴族や財界にも顔が利く変態――いや、俺の嫁だ。


魔王城(仮)には、ちゃんと俺専用のアトリエがある。

そしてどういうわけか、修復依頼が途切れない。


「魔王城に飾られたとか、“魔王が修復した”って言うだけで、良い宣伝になるんだよ」


なるほど、そういう理屈か。

肩書き商法、恐るべし。


まぁ収入があるのは素直にありがたい。


「山の見回り終わったよ。何本か木も倒してきたから、あとで確認お願い」


戻ってきたのはモナ。

神獣の名を持つ獣人・モーナフェルム。そして俺の嫁。


彼女の兄弟たちのおかげで、山の手入れも夜間の警備も滞りなく行われている。助かっている。


「フィーナと若手に任せるよ」


そう返しつつ、俺は作業に目を戻す。


フィーナは元・教会任命の聖騎士で、今は俺の嫁の一人。

この地で新たな宗派を立ち上げつつあり、筋肉信者たちを引き連れてやってきた。


おかげで魔王城の改修工事は大幅に進行中だ。

鍛錬場に教会まで建て始めてるが……まぁ、大目に見よう。


その向かいには、もう一つの鍛錬場がある。

木剣がぶつかり合う音が、今日も響いていた。


あれはセラのお付きで、俺の嫁――ルナの道場。

……いや、実質は彼女の祖父・ディグの道場か。

一応ルナが道場主になっているが、爺さん、まだまだ現役バリバリだ。


その道場の門下生である冒険者たちも、この地に根を下ろし始めている。

魔王のもとに行くなんてロクなことじゃないはずだが……ルナのファンも多いらしい。


もう人妻だぞ?

……まぁ、あの可愛さならわからなくもない。


そんなことを考えていたら、金髪がふたり、俺に近づいてきた。

ヴァンパイアハーフの姉妹、アッシュとヴェルだ。


……すまん、両方とも俺の嫁である。

何人いるのかって? 大丈夫、あとひとりだ。


黒髪と銀髪が入り混じった長い髪の少女――レン。

ダンジョンで出会った、俺の最初の嫁。伝説の最強スケルトンだ。


今は肉付けして、外見だけなら人間とほぼ変わらない。

ただし中身は、骨だけ。


声帯がないので、レンとの会話は筆談だ。


【お昼ご飯だよ】


「もうそんな時間か」


俺は筆を置いて、立ち上がる。


ヴェルが手を取り、自然と胸を押し当ててくる。


「近いよ」


そう言っても、ヴェルは何も言わず微笑むだけで、歩き出す。


アッシュも、同じように微笑んでいる。


ヴァンパイアハーフとして、かつては恐れられた二人。

だがこの地では、気兼ねなく過ごせている。

……まぁ、フィーナの信者たちからはまだ恐れられているが。

そのうち慣れるだろう。たぶん。


そんなこんなで、俺は今日も――楽しく過ごしている。

お待たせしました。忙しい時期が終わったのでまた再開します。

またよろしくお願いします。


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