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最強スケルトンに恋をした ~嫁達が強すぎて魔王認定されました~  作者: Hike技研
魔王城完成 そして

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コンノ 人と人外と強さと

クバネに向かう道中。御者台は固く少し尻が痛い。


荷馬車の後ろでは、イーゼルが書物を読み。ヴェルは寝ている。

レンは流れる景色が面白いのか、ずっと後ろを見ているな。


少し伸びをすれば変わるか。

体を少し動かす。


あまり変わらないな。慣れか。


隣のコンノは涼しい顔でいるしな。



「そう言えば、旦那は魔剣とか持たないですか?」

コンノは俺に聞いてくる。

大した意味はないのだろう、ただの暇つぶしか。


「考えたことがなかったな」

道具屋で扱うにしても、高すぎてお目にかかったことさえない。


火の魔剣、光の聖剣。


「子供の頃は憧れましたけどね」

そう言う、コンノも普段は細身の棍棒しか持っていない。


「そうだな、かっこよくはあった」

俺もそれには同意だ。だが、俺の武器と言えば鉄扇。もしくはトンファー。


俺とコンノに共通していることがある。


チラリと、お互いが後ろを見る。

ヴェルがスヤスヤ寝ていて、レンが俺たちに気がつき微笑む。

その横にはハルバートとロングソードが積まれている。


そう俺たちの嫁は、規格外に強い。


前を獣姿で歩き、警戒してくれているモナ。

流れる景色を見ているようで、多分後ろも警戒しているレン。

夜に見張りをするため、今は寝ているであろうヴェル。


そしてコンノの奥さん、ヨウ。

ヨウはここにはいないが、おそらく、いや間違いなく強い。

それも相当に。

「奥さんが強くて、俺じゃなくて剣だけ強くても意味がないからな。もし、良いのがあったらレンに使ってもらうさ」


「まぁそうなりますか、そうでしたね」



「とはいえ、少しは身を守れるようになりたいが、ハルバートは振り回せないから、これくらいだ」


「俺もそうですね。指示出す時の棒でしかないです」


役割を心得てるといえば、聞こえはいいが、諦めてるとも言われる。

だが、俺もコンノも諦めてると言うよりは、他が面白いのだ。


「北区も、落ち着いたか」

「そうですね。俺の方も、ヨウもやりたい形は出来上がってきました」


「やりたい形?」

「ついてきたみんなに安心できる寝床と美味い飯ですね」


「なるほどな」


コンノはしばらく、転々と生きてきた。その道中、ならずものや、そうなりかねない子供を拾い。食わせてきた。

ヨウも、口減らしにされた娘、生贄にされかけた娘、身を売るしかなかった者たちの居場所を作り、共に動いてきた。


だが、それはどこでも日陰だったのだ。


コンノが、イーゼルを見る。まだ本に夢中になってる。


「イーゼル嬢がね。手伝ってくれないかって言ってきたんですよ」

コンノは小さく笑う。

「だけど、今になってみれば、俺たちの方が居場所を用意してもらってたんですよね」


初めから、居場所をやると言われていたら。

コンノは、リーベアへは来なかっただろう。


だから、手伝ってほしいと依頼する。


イーゼルは、誰でも使う。言葉巧みに人を動かす。

俺が自分自身をハーレム最弱だと思う理由に、イーゼルのそれがある。


セラもそうだが、言葉の使い方でイーゼルも多くの人を動かすのだ。

そして言葉だけじゃない。



「何でしょうね。有無を言わさないと言うか、ついていきたくなるというか」

コンノが言葉を選んでいるな。まぁわかる。


「前に言ってたな、神を信じないがイーゼルを信じてるって」


俺の言葉に、コンノが苦笑する。


「そうですね。考えることをやめたわけじゃないけど、イーゼル嬢の言うことなら失敗しても良いかなって思えちゃうんですよね」


「宗教だな」


「そうなんですかね?俺は礼儀として宗教の決まり事は重んじますが、そっちは疎くて」

「俺もだ」


「大司教様とイーゼル嬢を娶ってるのにそれはまずいんじゃ」


「魔王らしいだろ」



俺の言葉にコンノが吹き出す。


「そうですね。魔王らしい」





「随分仲良くなったじゃない」


いつの間にか起きたヴェルが俺の肩に顔を乗せる。


コンノの笑顔が消える。


「コンノも、いつまでも私に怯えてないでよ」

「いや、しかし」


コンノ、手も震え始めたな。



「俺が、聞いた話だと。ヴェル達とヨウの戦いを身を呈して止めたコンノが何を…」

「いや、それは違うんですよ。ヨウが、みんなの手前そう言ってくれてるだけで」



「泣いて懇願したのよね」

ヴェルがニヤニヤしてる。


「はい…」

コンノが肩を落としているが、意味がわからない。



「かっこいいじゃないか」


俺の言葉に、コンノが顔を上げる。


「旦那?話聞いてましたか?」


「ヴェルとアッシュに、涙を流して懇願しただろ」

「そうですよ、それがなんでかっこよくなるんです」


「さっき俺たちは奥さんより弱いって話をしただろ」

「ええ」


「それを知りながらコンノは間に入った。しかもそれは成功してる」


ヴェルも俺の肩の上でうなづく。


「そうよ」


その言葉を受けて、コンノの顔が少し和らいだ気がする。

そして顔を背ける。


「旦那達には敵わないな」



「私はね。コンノ達を羨ましく思ったのよ」


コンノはまだ顔を上げない。


「ヨウのあの姿を見て、しがみついて泣いて喚いて…」


「人が人外をあれだけ愛せることを見させてもらったのよ」



「ちょっと、恥ずかしくて限界なんでしばらく歩きます」

コンノが御者台を降りて歩き出す。


レンが不思議そうにその様子を見ている。


「じゃあ、私が座っちゃうわよ」

ヴェルが言うと、コンノは無言で手を上げる。


「お前、手綱握れるのか」


「握れないわよ?」


ちょっと不安になるが、馬はモナの後をついていく。

初めは馬もモナを怖がったが、今は慣れたのだろう。




【私も座りたいです】


「交代制ね」



モナがその声に振り向く。


「交代制な」


俺の声が聞こえたのか、モナは前を向き歩き出す。

少し尻尾が揺れている。

まだ、平和な道中だった。


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