クバネの行き方
「それで、行き詰まって私のところですか」
教会の小部屋でイーゼルは椅子に座りながら羊皮紙を眺めてる。
「こないだの本も読んだ。少しはわかってきたが、それに関しては全くわからん」
イーゼルはまだ羊皮紙から目を離さない。
「何でしょうね。私が知るものともまた違う。いや似てはいるんですが」
「イーゼルにわからないものを、俺が分かるわけはないか」
「私も精通してるとは言えませんからね」
「教会内で詳しい奴はいないのか?」
「いるにはいますが、セトさんが会うのは難しいかと」
ノア立ち入り禁止だしな。こないだ入ったけど。
「他に詳しい方で…ノアに入らなくていい場所だと…」
「この際、誰でもいいから聞いておきたいな。これが何を示すのか知っておきたい」
イーゼルはようやく羊皮紙から目を離した。
「心当たりがないわけではありません」
そう言ったあと、露骨に嫌そうな顔をする。
「会いたくない相手か?」
「行きたくない場所ですね。クバネです」
霊山だと言われたり、ペテン師の巣窟だとか言われてる場所だな。
そういえば、ヨウの蝋燭の件で会いたい人もいたな。
名前なんだっけ。
「噂通りの場所ですから。あまり期待はしないでください」
◇◇◆
お出かけと聞きつけ、ティアが行きたがっていたが、アヤネに取り押さえてもらい。
俺たちはクバネに向かう。
レン、モナ、ヴェルの三人と俺、そしてイーゼル。
コンノに荷馬車と、御者を手配してもらい。帰宅の倉庫外で出発を待つ。
「ようやく、オオタに会いに行くのかい」
気だるそうにヨウがやってきて、俺に言う。
「そうだ、オオタ」
「なんだ忘れてたのかい?」
「蝋燭だけ覚えて名前忘れてた」
「なんだいそれは。まぁいい。変な奴だが、あんたとは気があるだろう」
「ペテン師の巣窟って聞いてるぞ」
「教会から見たらそうさ。私の変化もモナの変化も説明がつかないから恐る」
「そういうもんか」
「そういうもんさ」
それだけ言うと、花街へまた消えた。
「明け方だものな、花街にしては深夜か」
コンノの用意が終わったらしく、幌がついた荷馬車がやってくる。
「ありがとう、あれ御者がいないが?」
「旦那達の頼みだ俺が行きますよ」
初めましてな人じゃないのは気が楽だが
「んじゃよろしくねコンノ」
ヴェルが挨拶をして荷馬車に乗り込む。コンノの汗がやばいな。
どれだけ恐れられてるんだヴェル。
「大丈夫か?」
「平気なはずなんですが、まだ震えますね」
落ち着くまで話し相手になるか。
俺はコンノと御者席に座って行くことにする。
レンは少し残念そうだ、俺と居たいのか、御者席に座りたいのかどっちだろう。
ともあれ、クバネ行きが出発する……
ん?、でかい獣。白虎だ。
モナが獣姿で先行してくれるらしい。
ありがたい。あとでいっぱいモフってあげよう。
いや、モフらせて。




